オーストラリアのeSportsプレーヤーであるジェイミー
日本でも今年度の新語・流行語大賞のトップ10に入るなど、認知を高めているeSports。サッカーではEA(エレクトロニック・アーツ)社が手掛ける公式ライセンス製品である『FIFA』シリーズが主流となり、オフライン、オンラインを問わず大会が日夜行われている。
9月にリリースされた『FIFA 19』においてはグローバルシリーズを展開しており、様々な形式の大会を開催中。2019年夏にはグランドファイナルとして『FIFA eWorld Cup』が開催される。
オリンピックをはじめとしたスポーツ競技大会の正式種目としてeSportsが採用されるとの報道もあるなど、取り巻く環境はここ数年で急激に変化している。急速な進歩・拡大の状況を当事者はどうとらえているのか。『FIFA 19』グローバルシリーズ大会として、ルーマニアのブカレストで開催された『EA FUT Champions Cup』に参戦した、オーストラリアのプロスポーツ選手であるジェイミー・ドハーティさんにメールインタビューでお国事情を聞いた。
About to board the last flight back home to Australia. It's been an interesting week in Bucharest to say the least 😳 can't wait to get back to streaming and qualify for another event. Thanks to everyone for the messages of support, I'll do better next time ❤️ – 📸@Esportsranks pic.twitter.com/0kSvyRtmlA
— FUTWIZ Jamie (@JamieODoherty) 2018年12月3日
―――ご自身のキャリアなど、自己紹介からお願いします。
ジェイミー ジェイミー・ドハーティ、19歳です。現在はeSportsチームの『Team FUTWIZ』と『TRIVE』のライブストリーミングで、プロのメンバーとしてプレーしています。『FIFA 17』で2度、FUTチャンピオンズ・リージョナル・イベントに参加し、『FUTWIZ』と契約したのがキャリアのスタートです。
―――オーストラリアでのeSports市場規模はどのくらいでしょうか? プロチームの有無や競技人口、大会頻度や規模などがわかれば、教えてください。
ジェイミー オーストラリアでは、2018年にE-LEAGUE(AリーグのチームがそれぞれeSportsチームを持ち、総当たり戦が開催)がスタートして以来、絶え間なく成長しています。これまでは気軽にゲームをプレーしていた全国FIFAプレーヤーの多くが、もっと上手くなって、より高いレベルでプレーしたいと願っていると思います。 他国と比べれば、eSportsチームやサッカークラブと契約しているプレーヤーは多くないですが、今後E-LEAGUE が2シーズン目を迎え、他の大会も行われることなどで、各組織がより多くのプレーヤーの才能に投資してくれるようになると思います。
―――ジェイミーさん自身は普段、どのような生活をしていて、その中でどの程度『FIFA』をプレーしていますか?
ジェイミー 毎日ライブストリーミング配信をしていて、大会があるときは1日おきぐらいの頻度で『FIFA』のトレーニングをします。ライブストリーミングは仕事の一部でもあるので、すべてを合わせると、かなりの時間でプレーしていることになりますが、同時に様々な人たちと交流もしています。ゲーム以外では住んでいるアデレードで、セミプロレベルでの“リアル”サッカーをしていますし、週末はよく友達と出かけたりしていますね。
―――『FIFA』に限らずオーストラリアでのeSportsの普及、認知度はどれくらいでしょうか?
ジェイミー オーストラリア国内での“eSports”は、新しいコンセプトだと思いますし、多くの人が完全に理解していないかもしれません。でも、注目を集めていますよ。僕のようにプロの職業として携わっている人間はかなり少ないケースですが、近い将来にはもっと浸透すると思います。
―――eSportsを政府や地域の公的機関が支援する体制は整っていますか?
ジェイミー 私が知っている限りではないです。
―――国や大陸でプレースタイルの違いを実感したりはしますか?
ジェイミー 一概に「この国のプレーヤーはこのスタイル」と表現することは不可能ですが、地域によってのパターンは感じることがあります。例えば、ヨーロッパでは、多くの複雑なパスをして、確実にゴールを決めていくことで知られていると思いますが、他の地域では、ロングシュートやクロスボールから点を狙う可能性が高いように感じます。
―――一人のeSportsプレーヤーとして、今後、ゲーム業界はどのように進化してほしいですか?
ジェイミー オーストラリアのeSportsプレーヤーとして願うことは、インターネット回線の速度がもっと向上し、接続の問題がなくなることですね。これにより、世界的なイベントに参加する以外でも、毎日のように世界中にいる素晴らしいプレーヤーとオンラインで対戦することができるようになりますから。
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長