『FC 25』キャリアモード担当のピート・オドネル(右)と、アンドレアス・ウィルスドルト(左)
EA SPORTSが手掛ける人気サッカーゲームシリーズの最新作『FC 25』が9月27日に発売されることが発表された。
今作では5vs5で戦うモード『Rush』の新たな導入や、現実世界の戦術をAIを用いて解析しながら戦術面においてよりリアルな動きをサポートする『FC IQ』の実装など、新たな試みがありつつ、旧来の人気モードである『Football Ultimate Team』や『キャリア』『クラブ』も進化を遂げている。
発売に先立ち、『サッカーキング』では各部門の担当者へのインタビューを実施。第2回はキャリアモードを担当するピート・オドネル氏(Pete O’Donnel)、アンドレアス・ウィルスドルト氏(Andreas Wilsdord)に聞いた。
インタビュー=小松春生
―――『FC 25』への自信のほどから教えてください。
ピート キャリアモードについて言えば、すごく楽しみにしています。私は数年間、キャリアモードに関して働いていますが、今回提供できるものは、これまでよりもさらに先を行っているように感じています。『FC IQ』や女子サッカー、アイコン選手キャリアといったような点です。これだけの機能が詰まっていますし、新作はプレーヤーにとってすごくエキサイティングなものになると思っています。
アンドレアス 私もEAに入社する前はキャリアモードを楽しむ一人のプレーヤーだったんです。そして、新作をプレーすることはすごく楽しみにしています。私たちは自分たちで生み出しているものに対して、心から楽しんでいます。ピートも言ったように、キャリアモードは長年続いてきた、最大のモードでもある。すごく楽しみですね。
ピート そして、私たちは「ゲームをする」ということ考えています。実際に手に取ってプレーしてもらうと、また違った感覚を持つと思います。新しいUI、タスクリスト、様々なプレーやセットアップ方法…。カスタマイズもできますし、いろいろな組み合わせで、まったく異なる体験ができるんです。皆さんに気に入ってもらえることを願っています。
―――新作では『FC IQ』が大きなインパクトの一つになります。キャリアモードにはどのような広がりをもたらすのでしょうか?
アンドレアス 監督キャリアや選手キャリアに自然とフィットしていくものになるでしょう。戦術、設定、次の対戦相手への対応がすべてになりますからね。また、ゲーム内には例えばティキ・タカのようなスタイルを持ったコーチシステムがあるので、それを生かしていくこともできます。もう一つはAIが試合ごとに戦術などをダイナミックに変えていく点です。現実の試合で起きたことを適応していくので、それに対応していく必要があります。これはキャリアモードに大きな影響を与えると思います。
ピート 歴史的に見れば、チームの買収や育成、選手を獲得するときにはOVRに注目するなどしていたと思いますが、今は異なるレベルにあると思います。OVRだけでなく、選手の役割や自分が表現したいプレースタイルに適応しているか、例えばゲーゲンプレッシングをしたいが、それに適応できる選手かどうか、戦術的な幅を広げたいのか、といったようなことです。本当に、本当に、本当に面白いものになっています。『FC IQ』があることで、スマートな戦術が可能になります。その場で戦術を組み立てていくことができるので、実際の試合と同様の体験を楽しむことができます。現実同様に、ダイナミックに状況を変化させないといけないシーンでもそれが可能になります。現実世界の戦術をベースにしたものなので、キャリアモードにすごく適応したシステムだと考えています。
―――よりマニアックにプレーできるということですか?
ピート そうだと思います。新作ではカスタマイズは『FC IQ』などで増えたこともあります。ただ、これは繰り返しになりますが、あくまでもそういったことはプレーする人に対して、方法や理由を与えているだけにすぎませんし、その分、キャリアモードをプレーする人がさらに増えることにつながることは間違いないと考えています。新作では8つの大きな機能が追加されました。そして、どのようにゲームを進化させてきたかという部分でも、私たち自身も楽しみにしています。様々な面で前進していますし、その経験を得られていることを、私たちもうれしく思っています。
アンドレアス 新作での大きな革新の一つに、ユース年代の選手と一緒にプレーできるようになったことがあります。選手たちがキャリアモードに沿って成長し、『Rush』などのピッチでプレーしている様子を見られることは本当にエキサイティングなことですね。
―――日本のサッカーファンの多くは戦術面にフォーカスすることを好みます。そういったファンに適していると言えますか?
ピート そう思います。『FC IQ』は戦術がどのように機能するのか、試すことができますし、扉を開いてくれるものだと思います。選手のプレーの役割、戦術的役割、フォーメーション、戦術のプリセットなど、すべての組み合わせが文字通り、何百万通りとあるんです。繰り返しになりますが、ゲームのプレー方法を一つに限るようなことはしたくありません。皆さんに探求してほしいと思っています。『FC IQ』で様々な戦術を共有することができますし、設定できる。本当に面白い試みだと思います。戦術の向き不向きもあるし、好みもある。入れ替えることもできますし、戦術の可能性を大きく広げてくれるものだと思っています。
アンドレアス 特に選手の役割とシステムの近代化はテーマとしてありますね。私はフランクフルトのファンなんですが、長谷部誠という素晴らしい日本人選手が在籍していました。彼は長い間、守備的な中盤の選手として知られていましたが、キャリア終盤ではセンターバックやオールドスクールなリベロという新たな役割を担うようになりました。そして彼のキャリアも変わり、タイトルも獲得しています。『FC IQ』のおかげで、誰が“ネクスト長谷部”になるのか、誰がこのような成長を遂げていくのかも、可視化されるようになります。
ピート 『FC IQ』が監督キャリアにリンクしていることは明らかですが、選手キャリアについても、ゲーム内で求められる役割があるでしょうし、デイヴィッド・ベッカムやジネディーヌ・ジダンのようなアイコン選手のキャリアをプレーすることになるかもしれません。しかも逆サイドのウインガーのような異なる役割を、です。アイコン選手が現役時代にプレーしていない新たな経験を体験することもできます。願わくは、すべてのファンが監督キャリアにしろ、選手キャリアにしろ、様々な体験をしてほしいと思っています。誰もが、それぞれに合った楽しめる方法がキャリアモードにはあると思っています。
―――女子選手についてはいかがでしょうか?導入されて、大きなインパクトもあったと思います。
ピート 『FC 24』で『FUT』に女子選手が加わり、本当にうまくいったと考えています。多くの女子選手がチームに組み込まれていたし、とてもポジティブな反応をもらいました。もちろん、我々も女子選手が『FC』内のモードを横断して含まれていることを望んでいます。『Club』でも『FUT』でも『Career』でも、です。ただ、それを保証するために難しい点として、ある程度の数のリーグやチームのライセンスが必要でした。世界の5つのリーグと女子チャンピオンズリーグの権利を有することを、非常に喜んでいます。私たちは女子選手のキャリアモードを一方的に作りたかったわけではなく、すでに世界において大きな部分を担っていることが明らかであるから、取り組んできました。女子チームの監督が導入されることもそうです。男女間をシームレスに感じてもらいたいですし、それぞれに関わることの喜びを感じてもらいたいですね。
アンドレアス 選手のキャリアについても意味があると思っています。個人的な話ですが、最近帰省したときに銀行に行くと、「仕事は何を?」と聞かれ、「EA SPORTSで『FC』に携わっている」と答えたんです。すると、その人の娘さんが『FC』を楽しんでいるんだけど、女子チームと一緒にプレーしたくてもできないと悲しんでいると聞いたんです。
ピート ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグでプレーしていたニコール・バクスターと話をしたことがあるんですが、彼女は子どもの頃に、自分のキャラクターをゲーム内で作りたかったけど、それができなかったから、“ニック・バクスター”という選手を作ったという話をしていたんです。彼女は現役を引退していますが、ゲーム内に自分を登場させることができるようになったり、女子選手のキャリアを歩むことができるようになったことをすごく喜んでいます。アンドレアスが言ったように、次世代の女の子たちは実際に自分をゲーム内に登場させることもできるし、楽しんでもらえることができると思うので、そこも私たちは喜んでいるんです。
―――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
ピート 『FC 25』のキャリアモードは最大の特徴の一つです。初めてこのモードをやる人も、“超”ベテランの人も、カスタマイズをして自分を表現したい人も、いろいろな人が楽しんでもらえると思います。僕らが楽しんで新作を制作したように、皆さんにも楽しんでプレーしてもらいたいですね。
アンドレアス ベッカムやジダンのようなアイコン選手がキャリアモードに登場することも楽しみの一つです。オーセンティックな体験になります。選手として、監督としてファンタジーの世界を生きることもできるんです。日本のファンの方には、まずはゲーム自体を心から楽しんでほしいですし、戦術にフォーカスしたり、どのようにコントロールしていくのか、どのようにプレーするのか、多種多様なので、自分の好きなように選択をしてもらって、それぞれの形で楽しんでほしいです。
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長