永島俊のゴールで先制し、浜松の追撃を振り切って勝利した町田 [写真]=本田好伸
1日、Fリーグ2014/2015 powered by inゼリー第18節が行われ、ペスカドーラ町田がホームでアグレミーナ浜松と対決。開始早々に先制点を決めた町田が試合を先行し、浜松の追撃を振り切って3−2で勝利を収めた。
チームにはそれぞれがまとっている印象がある。もちろん感じ取る人の主観による部分は大きいが、それはクラブの歴史と一緒に強まっていくものであり、必ずしもいいものばかりとは限らない。そして、町田が周囲に植え付けてしまった“悪しき印象”の一つに、「下位チームを相手に敗北かもしくは勝ち点を献上してしまうことが多い」というものがある。今シーズンは、開幕節と第2節でヴォスクオーレ仙台、浜松と引き分け、第15節にはまたもや仙台に引き分けた。仙台は今シーズンからリーグに参入し、いまだ勝利がないチームである。それに一昨シーズン、参入したばかりの浜松と引き分け初の勝ち点を献上したのも、彼らに初勝利をプレゼントしたのも町田だった。この試合も、町田にとってはそんな悪夢が脳裏をよぎる試合となった。
ただ序盤からペースをつかんでいたのは町田。開始からわずか34秒で永島俊がゴールを奪って幸先良く先制に成功すると、前半終了間際には本田真琉虎洲が追加点を挙げて試合を折り返す。後半も、25分に篠崎隆樹のループシュートが決まって3-0。イゴールという絶対的な守護神を中心とした守備には定評があり、1試合の平均失点が12クラブ中で唯一2点を切るほどの町田からすれば、もはや勝利は手の中にあるはずだった。しかしここから、恐れていた例の“悪しき印象”が顔をのぞかせてしまう。
3得点目からわずか20秒後の26分、町田はカウンターから浜松にゴールを許すと32分にも自陣ゴール前のミスからゴールを決められ、1点差に詰め寄られる。巻き返す浜松が俄然勢いを増していき、もはや勝負の行方は分からなくなっていた。「勝っている時の試合運び、勝利へと向かう選手のメンタリティーが大切」とは、町田の関野淳太監督が毎年のように語ってきた言葉でもある。ただ町田は、今シーズンもその戦い方に苦戦し、この試合を前に7勝7分3敗と、リーグで最も引き分けの多い、言い換えれば“勝ち切れない”チームでもあった。その意味でこの試合、「内容では選手もスタッフも満足はしていないが、勝ち点3を取れたことはよかった」(関野監督)と、最後の最後まで食らい付いてくる浜松の猛攻をしのぎ切ったことは大きい。
関野監督は試合後、「3点差で勝っているところでゲームコントロールしなければいけない部分はあるし、どんな試合でも修正点やエラーが出ることはある。それでも勝ち点3を取り続けることが重要」と語った。町田は今シーズン、連勝は2回あるもののそれ以上の勝利を重ねられてはいない。その壁を打ち破るのは決して戦術やチームのシステムだけではないだろう。関野監督は言う。「最終的に勝敗を分けるのは、精神面や戦術以外の細かいところ。ファウル覚悟で止めにいくとかスライディングをするとか、細かいディティールにこだわる勝者のメンタリティーこそ、勝ち続けるためには必要。そこがうちにはまだ足りない」。この試合、いつものように追い付かれずに逃げ切れたことは今後につながる結果だった。果たしてこの先の町田がつかむのは、連勝なのか、それとも――。
Fリーグ2014/2015 powered by inゼリー 第18節
開催日:2014年11月1日
会場:町田市総合体育館/東京都
[試合結果]
17:00 ペスカドーラ町田 3-2 アグレミーナ浜松
写真・文◆本田好伸