ビッグセーブを連発して1-0での勝利を手繰り寄せた町田のGKイゴール [写真]=本田好伸
29日、Fリーグ2014/2015 powered by inゼリー第23節が行われ、ペスカドーラ町田がホームで北海道と対決。最後まで1点を争う好ゲームとなったが、序盤に奪った先制点を守り切った町田が勝利を収めた。
この試合で改めて際立ったのは、フットサルではいかにゴレイロ(GK)が大事なのかということだった。
試合は開始3分に横江怜の豪快なボレーシュートで町田が先制するが、スコアが動かないまま後半へと突入。そこから立て続けにビッグチャンスを作っていたのは北海道だった。「序盤の立ち上がりが悪く、足が止まっていたので、何点取られてしまうのかという不安があった」(小野寺隆彦監督)ものの、後半は徐々に選手の連係が機能し始め、素早い展開からゴール前へと侵入し、幾度となく決定機を生み出していた。33分にはカウンターを持ち上がった北海道の3人に対して町田はGKイゴールのみという絶対的なチャンスを迎えたが、十川祐樹のシュートはイゴールによって防がれてしまった。
イゴールはこの日、再三に渡る決定的なシュートをシャットアウトし、チームの士気を高め続けた。試合終盤には相手選手との接触で指を痛めるシーンもあったが、最後までゴールマウスに立ちはだかった。その気迫に呼応するように、町田の選手たちは守備に奮闘し、体を投げ出す決死のディフェンスで北海道の攻撃をふいにしていた。試合終了時点の町田のシーズン通算39失点という数字は、リーグでダントツに優れた数字だ。これはイゴールの貢献ととともに、守備組織が機能していることを証明するものに他ならない。
「僕らには二面性がある。一つは理想とするフットサルに近付けてお客さんにフットサルの魅力や面白さを伝えていくという責務。もう一つは、どんなことをしてでも勝ちにいくということ。今日は(プレーオフ進出や優勝争いに向けて)ポイントになる試合だと考えていたし、みんな強い思いを持って臨み、内容にこだわりつつも勝ち点3を取る後者のほうがパーセンテージは高かった。だからそれを達成できて良かった」(関野淳太監督)
町田の勝因は、イゴールの存在と勝利への気迫、執念。ただ北海道からすると、敗因は相手の気迫に押されたのではなく、あくまでもイゴールを含めた守備を攻略できなかった「プレー精度」にあるという。「直近の試合では、イゴールはタイミングをずらしたシュートよりも普通のミドルシュートのほうが失点をしていた。だから我々は、ゴール前でシュートで終われないよりは、そのまま打っていこうと狙っていた。ただ、工夫が足りなかったと言われればそれまで。カウンターや決めるところで決め切る精度で負けてしまった。相手の気迫で負けたとは感じていない」(小野寺監督)。
スーパーセーブを前に、工夫が足りなかった、シュートのタイミングが素直すぎたというのは結果論かもしれない。北海道が勝ってもおかしくはない展開で町田が勝利を手にできたのは、やはりイゴールという守護神の存在なしにはありえなかっただろう。ゴール前の混戦が多く、事故のようなゴールが生まれることも珍しくないフットサルにおいて、1-0で勝ち切ることは簡単なことはない(第23節終了時点で、1-0のスコアは138試合中2試合しかない)。それを成し遂げたという意味でも、町田がいかに集中した守備を見せたのかがうかがえる。そしてフットサルの試合でGKがいかに勝敗を握っているのかということも改めて示された試合だったといえる。
今節を前に勝ち点39で4位の町田と勝ち点37で6位の北海道。両者は5位以内に与えられるプレーオフ進出を懸けて、どうしても勝ち点3がほしい状況だった。そして今節を終え、町田は直近6試合で4勝2分けと6試合連続で勝ち点を挙げ、北海道は2分け4敗と6試合勝ち星から遠ざかっている。対照的な両チームは残り10試合、どんな結果を生み出していくのだろうか。
Fリーグ2014/2015 powered by inゼリー 第23節
開催日:2014年11月30日
会場:町田市立総合体育館/東京都
[試合結果]
15:00 ペスカドーラ町田 1-0 エスポラーダ北海道
写真・文◆本田好伸