ゾット早稲田は浜松に勝利し1次Rで唯一の“下克上”を果たした [写真]=本田好伸
PUMA CUP 2015 第20回全日本フットサル選手権大会の1次ラウンドが6日から8日までの3日間にわたって行われ、13日から始まる決勝ラウンドに進出するチームが決定。終わってみればFリーグ勢8チームが並び、2010年大会以来の地域勢が勝ち上がっていない決勝ラウンドとなった。
今シーズンからFリーグが12チームに増えリーグ戦1位と2位の1次ラウンドが免除され決勝ラウンドのシードを与えられたことが、“地域不在”になった大きな要因だった。これまでは1次ラウンド6グループの中で、2位のうち上位2チームが勝ち上がるワイルドカードがあったが、1位のみが通過できるという狭き門になったからだ。
それゆえに、今まで以上に初戦の重要性が高まったのが今大会の1次ラウンドだった。「負けたら終わり」という緊迫感と熱い気持ちがぶつかり、各グループはまさに接戦続きとなった。グループAのフウガドールすみだはヴォスクオーレ仙台と対戦。実力ではすみだが上位に立つものの、相手の気持ちと戦略に苦戦を強いられた。それでも3-2で勝ち切ったことで、そのまま3連勝で1位を決めた。
1次ラウンド再注目のグループCも初戦はペスカドーラ町田と湘南ベルマーレが激闘を演じた。町田が前半で2点を先行しながらも、36分で追い付かれ試合は終盤へ。すると1分を切って日本代表にも名を連ねる滝田学が値千金の決勝弾を放った。2戦目、3戦目は名古屋オーシャンズサテライト(東海地域第1代表)、SWHフットサルクラブ(関西地域第1代表)という地域の強豪との対戦となったが、この初戦の勝利で波に乗り確実に勝ち点9をつかみ取った。
グループFも混戦となった。Fリーグで下位に沈み今大会での巻き返しを誓うデウソン神戸は初戦でエスポラーダ北海道と対戦。前半を1-2で折り返しながらも、チームの精神的支柱である鈴村拓也の2ゴールで逆転勝利を収めた。3戦目でバルドラール浦安セグンド(関東地域第2代表)に引き分けたものの、北海道戦を勝ち切ったことで1位通過を果たした。
結果的にFリーグ勢が存在感を示した1次ラウンドだが、今年も大会の大きな見どころである“F対地域”の攻防が見られた。特に、関東を代表する3チームが意地を見せた。グループBのゾット 早稲田 フットサル クラブ(関東地域第1代表)は、最終戦でアグレミーナ浜松との接戦を演じると、同点で迎えた残り18秒、カウンターから勝ち越し点を挙げ、1次ラウンドで唯一Fリーグ勢からの勝利を収めた。
「2戦を終えて決勝ラウンドへの望みは絶たれたが、東京や関東を代表してきているので、Fリーグのチームに1勝して帰りたかった。今大会に懸ける思いは本当に強かったし、ここで僕らが勝つことで、Fリーグや日本のフットサルに一石を投じられると思っていた。だから引き分けではなく絶対に勝たないといけない、そうしないと何も示せないと思っていた」(清野潤監督兼選手)
その他にも、浦安セグンドは神戸と引き分け、FC mm(関東地域第3代表)はバサジィ大分に一時5-0とリードされながらも怒涛のゴールラッシュで5-5の同点に持ち込むなど、一矢報いてみせた。フィジカルコンディションや選手層、基礎技術や戦術の幅ではトップカテゴリーで戦うFリーグに一日の長があり、3日間の総力戦においては特に、地域チームは力負けしてしまう。ただ、この舞台を目指して1年間戦ってきた思いは強く、“気持ちで走り切る”地域勢の姿は、大会を大いに盛り上げた。
大会は13日から決勝ラウンドが始まる。Fリーグの各クラブは、日本一を目指してここからさらにギアを上げていく。一つの機転がゴールにつながり、一つのミスが失点に直結する。そんなハイレベルな攻防が繰り広げられるだろう。地域チームの思いを退けた彼らは、Fリーグの意地と使命感、そして頂点へのあくなき渇望を抱き、代々木で激突する。
文・写真=本田好伸
PUMA CUP 2015 第20回全日本フットサル選手権大会 決勝ラウンド組み合わせ
2015年3月13日(金) 準々決勝
会場:国立代々木競技場第一体育館(東京都)
12:30 ペスカドーラ町田 vs 府中アスレティックFC
14:45 フウガドールすみだ vs バルドラール浦安
17:00 デウソン神戸 vs シュライカー大阪
19:30 バサジィ大分 vs 名古屋オーシャンズ