日本のサッカーファンに届けたい現場の“声” ~中村俊輔編~

中村俊輔がつぶやいた一言に「もしも…」と考えさせられた

 サッカーキング編集部が取材現場で聞いた印象的な“台詞”を紹介する連載企画。第4回はジュビロ磐田の中村俊輔がつぶやいた一言をお届けする。

 2017年4月、中村俊輔はアディダス主催「YOUNG ATHLETES CHALLENGE(ヤングアスリートチャレンジ)」というイベントにゲストとして登場した。「 “若きアスリート”を応援する」ことを目的に開催された同イベントでは、トークセッションに参加。招待された子どもたちへ自身の経験を基にアドバイスを送ったり、その場でサインを書いてあげるなど、交流を楽しんだ。

 イベント後は各メディアの取材や撮影に対応。サッカーキングも中村のインタビューを行い、撮影は屋外で行うことになった。撮影に適したロケーションを探し、「“YOUNG ATHLETES”の文字を背景に写真を撮りましょうか?」と聞くと、中村は

「えぇ!? 俺もう38歳だぜ?(笑)」

と笑って答えた。自虐的に言い放ったその一言を聞いて思わずハッとした。「中村俊輔は38歳なのか…」と。

 華麗で強烈なプレーの数々は、年齢なんて忘れさせてくれる。1997年の高校サッカー選手権で名を挙げると、日本のみならずヨーロッパでも活躍。チャンピオンズリーグでマンチェスター・ユナイテッドを相手に決めたフリーキックは記憶に新しい。ワールドカップには2度出場し、10番を背負い日本代表を牽引した。大ベテランの域に達しても、黄金の左足は今なお健在だ。ジュビロ磐田へ移籍した昨シーズンは2つの直接フリーキックでゴールを奪い、自身が持つJリーグ最多記録を「24」に伸ばした。

 たった1つのキックで観客を虜にしてしまう男を日本のサッカーファンは待ち望んでいる。日本代表は「司令塔不在」が囁かれ、2013年以来直接FKでゴールが生まれていない。そのせいか、2010年南アフリカW杯を最後に代表引退を表明した中村の復帰を望む声も上がるほどだ。中村は今年で39歳を迎える。そして、勝負の世界に「もしも…」はないが、待望論を耳にするたび考えてしまう。「もしも、日本代表に中村俊輔がいたら……」と。
(編集部注:日本代表直近の直接FKは、2013年キリンチャレンジカップ、グアテマラ戦にて遠藤保仁が記録)

(2017年4月掲載)「人との関わりを大切にしたい」…中村俊輔が磐田でたどり着いた新境地

(2017年4月掲載)中村俊輔が子供たちに届けた思い…「悔しさをバネに頑張ってほしい」

モバイルバージョンを終了