『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN北信越』を制した松本山雅FC [写真]=日刊スポーツ
3月13日、14日の2日間にわたり、石川県金沢市の金沢市民サッカー場において『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN北信越』が開催された。北信越5県の予選を勝ち抜いた12チームが、北信越チャンピオンの座を巡る戦いを繰り広げた。
初日の13日は3チームずつ4つのグループに分かれてのリーグ戦を実施。あいにくの雨模様となったが、4つのコートでは熱戦が繰り広げられ、GRANZAS FC(富山)、フットボールクラブ湖北ジュニア(石川)、大虫フットボールクラブ(福井)、松本山雅FC U-12(長野)の4チームが準決勝に駒を進めた。
続く14日は一転して晴天となり、準決勝、決勝の他にも、前日のグループステージで2位になったチーム同士、3位になったチーム同士のトーナメントも開催され、選手たちは前日にも増してはつらつとしたプレーを見せていく。得点やチームの勝利に喜びを爆発させる選手がいる一方、惜しくも敗れてしまい、涙を流しながら引き上げていく選手も。大会に参加した各チームの真剣さが伝わるシーンが続出する中、決勝に進出したのはGRANZAS FCと松本山雅FCだった。
GRANZAS FCはグループステージを1勝1分けで勝ち上がると、フットボールクラブ湖北ジュニアと対戦した準決勝では開始早々に先制するなど2点を奪取。第2ピリオド、第3ピリオドには相手に何度かチャンスを作られたもののしのぎ切り、2-0で決勝へと駒を進めた。
一方の松本山雅FCはグループステージで2連勝すると、準決勝では大虫フットボールクラブを7-2と圧倒した。矢田部匡監督はチームの特徴の一つに「第1ピリオドで勢いを付けられること」を挙げており、その言葉が示すように第1ピリオドで6点を奪い、一気に流れを引き寄せての快勝だった。
迎えた決勝戦第1ピリオドの立ち上がり、GRANZAS FCが持ち味である縦へのパワーとスピードを生かした攻撃を仕掛けていったが、その直後に松本山雅FCは大野田和希のスルーパスに抜け出した田中琉磨がペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得。田中は自ら冷静にキックを沈めて幸先よく先制する。GRANZAは失点後も力負けすることなく攻め込み、GKが相手のシュートを2連続でストップするなど見せ場を作ったが、第1ピリオド中ほどにも再び大野田→田中のホットラインが開通し、松本山雅FCがリードを広げる。
第2ピリオドの序盤は一進一退の攻防となったが、CKの流れから廣田悠人がミドルシュートを叩き込んで松本山雅FCが3点目を奪うと、柴田力が1ゴール、渡邊創太が終盤に2ゴールを決めてリードを広げる。矢田部監督はチームのもう一つの特徴に「第1ピリオドと第2ピリオドで選手を入れ替えても力量差が変わらない」ことを挙げたが、両チームともに選手を入れ替えたこの第2ピリオドで松本山雅FCが攻勢を強める形となった。GRANZA FCは第2ピリオド半ばにFKのチャンスを獲得し、能登創士のキックがGKに弾かれたところを二口煌成が押し込んで1点を返したものの、そこから盛り返すことはできなかった。
第3ピリオドは松本山雅FCが攻守両面でGRANZAS FCを上回る集中力を発揮し、早い時間帯で大野田が2ゴールを奪ってリードをさらに広げる。GRANZAS FCも最後まで諦めることなく必死に反撃を続けたが、ついに3ピリオド36分間の戦いが終了。8-1で大勝した松本山雅FCが2017年の第22回大会以来4年ぶり(2020年の第25回大会は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止)に北信越チャンピオンに輝いた。
優勝した松本山雅FCは、5月3日から5日にかけて神奈川県横浜市で開催される『JA全農チビリンピック2021 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会』に北信越代表として出場する。矢田部監督はコロナ禍の影響で通常どおりの活動ができなかったこの1年間を「コロナ禍だからこそ自立しないといけないと考え、成長するためにどのような日々を過ごせばいいかを自分たちで考え、継続的にやってくれているのが成長した部分」と選手たちを称えるとともに、全国大会に向けて「このような公式戦を戦うと選手たちの成長度合いが違うと改めて感じました。全国大会に向けてはどう準備するのかが重要になると思うので、個人の成長を期しつつ、チームとしてもう一度まとまって向かっていきたいと思います」と意気込みを語った。
文=池田敏明
全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施。