2008年以来、7年ぶりのアジア制覇に意欲を見せる遠藤[写真]=GAMBA OSAKA
ガンバ大阪は9月16日に、Kリーグ王者・全北現代とAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の準々決勝第2戦を戦う。ベスト4進出の可否を問う重要な一戦だ。
遡ること9年前の2006年。前年のJリーグチャンピオンとなったG大阪は初めて、ACLの出場権をつかみ、その舞台を戦った。
初戦の相手は、全北現代。そう、今回のACLの決勝ラウンド、準々決勝を戦っている相手だ。当時、今回の第1戦が行われたのと同じ全州ワールドカップスタジアムでプレーした遠藤保仁は、2-3で敗れたその初戦を「チームとして、初めてACLの厳しさを学んだ試合だった」と振り返る。
「選手のほとんどが初めてのACLでしたからね。移動や試合環境はもちろん、国内戦とは違うアウェイ戦の難しさをこの試合で初めて実感しました。内容はあまり覚えていないけど、負けたことと、お客さんが少なかったのは覚えています」
彼の言葉にもあるように、初戦の観衆はわずか2700人。それゆえ、スタジアムにはアウェイ特有の威圧感をさほど感じなかったはずだが、それでも勝ち切れなかった事実はある意味、国際試合の難しさを示すもの。実際、この年、G大阪は実力的に開きのあったダナン(ベトナム)にこそホーム&アウェイ戦ともに大勝したものの、全北現代にはホーム戦でも勝ち切れず1-1の引き分け。中国の大連実徳戦はホーム戦を3-0と勝利したが、アウェイ戦では0-2と完封負けを喫し、グループステージ敗退となった。
話を戻そう。あれから時を経て、3年ぶり7度目のACLを戦っているG大阪は、2連敗でのスタートとなった厳しいグループステージを、最終的には首位で決勝ラウンドに進出。FCソウルとのラウンド16第1戦に3-1と勝利すると、ホーム戦も3-2で勝利し、過去3度、突破できなかった『ラウンド16』の壁を打ち破り、全北現代との準々決勝へと駒を進めた。
そうして迎えた8月26日の第1戦。06年時の10倍近い、23,633人もの観衆を集めた全州ワールドカップスタジアムで『アウェイゴール』への意識高く試合に入ったG大阪だったが、結果的には0-0と引き分けた。ただし、90分を通して相手に押し込まれる時間が長かっただけに『無失点』は、9月16日のホームでの第2戦に向けて『ベスト4進出』の可能性を広げたという見方もできる。「アウェイゴールを奪えず、ベストな結果だったとは言い難いですが、ホームでしっかり勝ち切れば、次のラウンドに進める(長谷川健太監督)」のだから。
その第2戦に向け、遠藤は言う。
「相手にできる限りアウェイゴールを取らせないことも大事だし、逆に自分たちが先制できればかなり有利に試合が進むはず。そのことを意識しながら90分を通して慌てずに、落ち着いて試合を運びたい」
06年の初対戦から10年。入場者数の推移にも表れているように、ACLの注目度やレベルは年々高まってきた。その中では、アジアを拠点に戦うクラブの多くが、国内リーグと同様の価値をACLに見いだし、その頂点を目指してきたと言えるだろう。過去に1度ずつACL制覇を実現しているG大阪も、全北現代も然り、だ。いや、アジアの頂点に立つ喜びと名誉を経験している両チームだからこそ、二度目のアジア制覇実現に執念を燃やしているとも言える。
そうした両者の『勝利』への執念を思えばこそ、『ベスト4進出』が決まる大一番が、厳しい戦いになるのは必至だが、G大阪は『聖地・万博』で負けるわけにはいかない。昨年、Jリーグ史上2クラブ目となる国内三冠を実現し、JリーグチャンピオンとしてACLを戦っているプライドに懸けても。そして、06年に2度対戦して勝てなかった全北現代に、10年の時を経て、リベンジを果たすためにも。