第1戦ではホームで1-3と敗れた柏。中国の地で大逆転なるか [写真]=Getty Images
文=鈴木潤
AFCチャンピオンズリーグ準決勝へ進むためには、柏レイソルは3-0か、もしくは4点以上を奪った2点差以上の勝利を挙げなければならない。そして3-1の勝利のみ、延長・PKとなる。Jリーグ勢がこれまで1勝6敗と相性の悪い広州恒大のホームスタジアム、天河体育中心体育場でこの条件は難題と言わざるを得ないだろう。
ただ、敗れたとはいえ第1戦に見えた光明を挙げるのなら、3失点はいずれもセットプレーで、しかもそのうち2つはオフサイドを見逃され、もう1点はパウリーニョ自身が「生涯最高のゴール」と評したスーパーゴールだったことから、実際には“やられた”という印象は薄い。むしろ、試合の後半にエデルソンと大津祐樹を投入し、組織的な攻撃によって後半途中からは広州恒大を押し込んだため、あの相手を撹乱したリズムを敵地でも表現できれば十分3点以上を奪う可能性はある。また、第1戦を負傷で欠場した大谷秀和は直近の明治安田生命J1リーグ・セカンドステージ第10節の浦和レッズ戦で戦列に復帰した。戦術と精神面でチームを支える大黒柱の復帰は、必ずプラスに働くはずだ。
一方、広州恒大も第1戦で欠場したエウケソン、もしくはロビーニョの強力なアタッカーが出場する可能性がある。確かに彼らが加わることで広州恒大の攻撃力ははるかに増すが、第1戦で柏が苦戦した理由の1つに、広州恒大の“予想外”の守備が挙げられる。中国人FWガオ・リンが前線からプレスを仕掛け、柏が得意とする後方からのビルドアップを封じにかかった。その位置にエウケソンかロビーニョが入るならば、おそらく第1戦ほど前線からの守備の強度は出せなくなる。鈴木大輔、エドゥアルドのCBコンビとアンカーに入る茨田陽生が、その緩さを見逃さずに攻撃の入口を作れれば、柏が主導権を握る展開へ持ち込める。
気をつけなければならないのは広州恒大のカウンターだ。2年前のACL準決勝でも、第1戦での3点差のビハインドを返そうと第2戦で攻撃的に戦った結果、柏は広州恒大のカウンターの餌食になり0-4で敗れた。もちろん早い時間帯に先制し、可能性を広げた状態で試合を進めることが理想ではあるものの、今回はあの二の舞は避けなければならないため、無得点の時間が長く続いてもコンパクトな陣形を保ちながら焦れずに試合を進めたい。
1年前のブラジル・ワールドカップ準決勝で、ホームの圧倒的な後押しを受けながら1-7とドイツに叩きのめされた経験をもつルイス・フェリペ・スコラーリ監督だけに、大きなアドバンテージを握っている状況でも決して手綱を緩めずに手堅い策を講じてくると思われる。しかし別の意味では、ブラジルほどのサッカー王国でも、ひとつ歯車が狂えば立て続けに失点し、「サッカーは何が起こるか分からない」という言葉の象徴とも呼べる試合だった。
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