広州恒大と対戦したACL準決勝で強烈な先制ゴールを決めた浦和のファブリシオ[写真]=兼子愼一郎
先制したのは浦和レッズだった。19分に関根貴大からパスを受けたファブリシオが右足を一閃。「スバラシイ!」と自ら日本語で評した強烈なミドルシュートは広州恒大ゴールに突き刺さった。
「GKが少し前に出ていたので、枠に向けて強く打とうと思った。GKにとって難しいボールになるだろうと思ったので」とシュート直前の頭の中を報道陣に披露したが、実際に放ったシュートは「どんなボールだったか、自分でも覚えていないよ」とコメント。「GKを見て、ボールを見て、芯を捉えようと思ったんだ。でも、ちょっとアウトサイドだったかもしれないね(笑)」と笑顔を見せた。
いつもよりボールを受けてからの素早いシュートだった。「どの試合でもマークが強くてシュートをブロックされたりするんだけど、そういう状況がこれまであったからこそ、2タッチで素早いプレーを心掛けた。素早いプレーをしたから相手も追い付けなかったんじゃないかな。毎日ミドルシュートを練習しているんだけど、今日はそれげが決まって良かったよ」と明かしてくれた。
ACLでプレーすることが自分の夢だったと語ったファブリシオ。その夢だった舞台で決めた強烈なゴールに「ゴールが決まった時は感極まって何をすればいいか分からなかった」と笑顔を見せたが、リーグ戦では8試合未勝利。13位にまで順位を落としている現状を引き合いに出し、「あのゴールで自分自身もチームも少し肩の荷が下りたかな」と吐露。「毎試合、力強く応援してくれたファン・サポーターのために頑張ろうと思える高い意識が勝利に結びついた」と語った。
昨年9月、浦和レッズに加入して2カ月も経たないうちに全治7カ月の大ケガを負った。復帰したのは今年5月のこと。当時を振り返り、「人生で難しい時期を何度も乗り越えてきた」と口にしたファブリシオ。「復帰はしたけど、自分の“最高”を取り戻せていないという意味ではまだ難しい時期にいる。ポジティブに捉えながら、その時期を乗り越えようとしている。嘆いている時間はないので、ポジティブに捉えて前進するのみです」。
待ちに待った頼もしい男の完全復活まで、あともう少しの予感だ。
By サッカーキング編集部
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