直近のJリーグ仙台戦でケガから復帰した主将の東 [写真]=©F.C.TOKYO
若手が穴を埋められるか
FC東京が過去出場した2大会は、いずれもグループステージを突破し、決勝トーナメント1回戦で苦杯をなめてきた。その過去と比較しても、今大会は森重 真人、髙萩 洋次郎いった、アジアの戦いを熟知している選手たちがチームにいることは大きい。長谷川健太監督も、指導キャリアで唯一取っていないAFCチャンピオンズリーグ制覇に、開幕前から並々ならぬ思いを口にしてきた。
迎えたグループステージでは、まずまずの滑り出しを見せた。初戦の蔚山現代戦は、敵地で1-1の引き分け。続くパース・グローリー戦は本拠地で1-0の勝利と、確実に勝ち点を積み重ねた。そのなかで、アダイウトン、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロのブラジル人トリオが躍動し、紺野 和也、安部 柊斗ら新戦力の活躍も目立った。
だが、その後、新型コロナウイルスの感染拡大により大会は延期。その中断期間中に、チームは大きく様変わりした。今夏に室屋 成、橋本 拳人が海外へと移籍し、ACL再開直前には守護神の林 彰洋が右ヒザを負傷して長期離脱を余儀なくされた。今大会を勝ち進めていくには、台頭してきている若手選手がどれだけその穴を埋められるかに懸かっている。
上海との連戦が決勝トーナメント進出のヤマ場
■試合日程(日本時間)
2月11日(火) 対 蔚山現代 1-1
2月18日(火) 対 パース・グローリー 1-0
11月24日(火)19:00 対 上海申花
11月27日(金)22:00 対 上海申花
11月30日(月)19:00 対 蔚山現代
12月3日(木) 19:00 対 パース・グローリー
いよいよ再開するグループステージは、上海申花との連戦で幕を開ける。
その上海は昨夏から長年、全北現代を率いてきた、チェ・ガンヒ監督が指揮を執る。前線に長身選手を配し、縦に速い戦いを好むチームだ。主力に多くのケガ人を抱えているため、再開後のACLでは若手を多く起用している印象もある。
彼らと対峙するFC東京は、ここ数試合、なかなか思うように勝てていない。直近のJ1リーグではベガルタ仙台と2-2で引き分け、決戦の地ドーハに乗り込んでいる。大黒柱の森重は、こう口にする。
「個人的には右肩上がりに来ているとは思っていない。少し波があったとも感じていたので、新たな戦いに向けて気持ちを入れ直すことが大事かなとは思う」
主将の東 慶悟の復帰はうれしいニュースだろう。7月に右第五中足骨を骨折し、長期離脱を余儀なくされていたが、直近の仙台戦で実戦に復帰。攻守両面だけでなく、精神的な支柱としても大きな役割を担うはずだ。
いきなりタフな戦いとなるが、上海との2試合の結果次第でグループステージ突破も見えてくる。それだけに、ここが決勝トーナメント進出のヤマ場といっていいはずだ。
【KEY PLAYER】MF 10 東 慶悟
FC東京の背番号10と主将を担う、頼もしい存在だ。今季はケガに泣き、長期離脱を余儀なくされていたが、ACL直前に実戦に復帰した。たくさんのゴールを生み出すような派手さはないが、いるといないとでは段違い。その声と体を張ったプレーで、チームをまとめる圧倒的なプレゼンスが彼にはある。負傷中も、ホームでの試合後のロッカールームに必ず顔を出すなど、チームと寄り添ってきた。若手のここからの躍動を下支えする存在としても欠かせない。
長谷川監督も、東の復帰を喜んだ一人だ。「慶悟がいると、チームに一本芯が通ったようだ」と、賛辞の言葉を惜しまない。
頼れる主将は、アジアの戦いに向けて「まだまだ強いチームになっていかないといけない。ACLでは厳しい試合が待っている。一人ひとりの意識で変われる。そこにこだわっていきたい」と意気込む。
【MANAGER】長谷川健太
1965年9月25日、静岡県生まれ。静岡県立清水東高校、筑波大学を経て日産自動車に加入。その後、Jリーグ発足に伴い、清水エスパルスに移籍した。1999年限りで現役を引退し、2005年から2010年まで古巣の清水で指揮を執る。2013年からガンバ大阪の監督に就任すると、1年でのJ1復帰を果たし、翌年に国内タイトルを総なめにする。2017年からFC東京の監督に就任し、2019年にはクラブ史上最高のリーグ2位へ、今季は11年ぶりにYBCルヴァンカップ決勝に導いた。
文=馬場康平
By サッカーキング編集部
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