再開初戦は広州恒大と対戦 [写真]=Getty Images
雰囲気が良かった神戸にとって痛すぎる処置
天皇杯王者としてAFCチャンピオンズリーグに初参戦のヴィッセル神戸は、クラブ史に残るメモリアルシーズンを最高の白星でスタートさせた。
ホームで開催された2月のグループG第1節ジョホール(マレーシア)戦では、クラブ生え抜きの小川 慶治朗がハットトリックと活躍すると、エースの古橋 亨梧、新加入のドウグラスも得点を決めて最終的に5-1で大勝した。
1週間後に行われた水原三星(韓国)とのアウェイでの第2節は、ジョホール戦とは打って変わって1点を争う我慢の展開になった。0-0の均衡が崩れないまま、後半アディショナルタイムに突入。引き分けかと思われたが、酒井 高徳のクロスに古橋が飛び込んで先制すると、これが決勝点となり、2連勝で神戸がグループ首位に立った。
試合後、酒井は「0-0の状態が長く続く試合で、どう戦えばいいかという共通認識のようなものができた。一つのいい経験になったと思う」と手応えを口にしている。
この時点で神戸の得失点は5(6得点/1失点)。大きな貯金ができ、かなり有利な状況でグループステージを戦えるはずだった。しかし、ここで新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて大会が中断。チームの雰囲気が良かった神戸には、痛すぎる処置となった。
最も重要なのは再開初戦
■試合日程(日本時間)
2月12日(水) 対 ジョホール 5-1
2月19日(水) 対 水原三星 1-0
11月25日(水)19:00 対 広州恒大
11月28日(土)19:00 対 広州恒大
12月4日(金) 22:00 対 水原三星
グループGは、大会再開直前にジョホールの撤退が決まったことにより、神戸、水原三星、広州恒大(中国)の3チームが決勝トーナメント進出(2位以上)を争うことになった。ジョホールとの試合はすべて無効扱いになるため、ここまでで有効な試合は1-0で勝利した水原三星との一戦のみ。現時点では、暫定ながら神戸が勝点3で首位に立っている状況だ。
とはいえ、グループGの大本命が広州恒大であることに変わりはない。2017-18シーズンにバルセロナでプレーしたブラジル代表のMFパウリーニョは負傷欠場も、代わりに登録されたのが同じくブラジル出身のリカルド・グラールと、選手層はかなり厚い。指揮官は元イタリア代表のファビオ・カンナヴァーロ監督で、2度のACL優勝を誇るアジアの雄は、今年も各チームの大きな“壁”になりそうだ。
神戸は再開初戦で、その広州恒大と対戦する。中2日という過密スケジュールで同クラブとの2連戦が組まれているが、特に重要な試合は、25日の第1戦だろう。
神戸はACL直前のJ1リーグで5連敗中。うち直近の3試合は無得点に終わっており、チーム状態は決していいとは言えない状況だ。この悪い流れを再開初戦で払拭できなければ、その後の戦いにも影響を及ぼす可能性は高い。逆に、勝てば一気に好転する可能性もある。
【KEY PLAYER】MF 8 アンドレス・イニエスタ
神戸の浮沈は、司令塔のイニエスタによって左右される。ネームバリューはもちろん、プレー面でも今大会屈指の存在だ。2月のジョホール戦では5得点中3得点に絡み、2アシストをマーク。敵将のベンジャミン・モラ監督も「想像を超えている」と舌を巻いた。
さらに第2戦の水原三星戦でも、古橋の劇的ゴールまでのパスをたどっていけば、イニエスタが酒井へ出した絶妙なスルーパスに行きつく。試合終了間際にあのクオリティを出せるのは、「さすが世界のイニエスタ」というほかない。
暫定だが、今季J1リーグでの1試合平均敵陣パス数はリーグ2位の46.1本、PA内へのスルーパス成功率などを試合数で割った1試合平均チャンスクリエイト数はリーグ3位の3.1本で、どちらもチーム内では断トツの数字。ACL初出場で初制覇の偉業は、イニエスタ次第か。
【MANAGER】三浦淳寛
トルステン・フィンク前監督の後任として今年の9月下旬に就任。スポーツダイレクターからの異例の転身で、監督経験は今回が初となった。就任後は守備の改善に着手し、初陣となる第19節の札幌戦から2試合連続で完封勝利。しかし、チームの底上げと結果の両立に苦しみ、リーグ戦1試合を残して4勝1分け8敗と負け越した。ACLに向けては「(自分たちの)実力を発揮するため、運も味方につけたい」とやや弱気な発言もあったが、リーグ戦でACL用に4バックを試すなど、用意周到な面も見られた。
文=白井邦彦
By サッカーキング編集部
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