10月4日、ヴァンフォーレ甲府が新たな歴史を作った。AFCチャンピオンズリーグ2023 グループステージ第2節、ホームでブリーラム・ユナイテッド(タイ)を下し、初参戦のACLで歴史的初勝利を挙げた。
『Jサポに告ぐ、#甲府にチカラを』をテーマに掲げ、甲府サポーターのみならず、全Jリーグサポーターに来場を呼びかけていた一戦。平日水曜日のナイトゲーム、またあいにくの天気の中、11,802名が来場した。「『甲府を応援したい!』という方たちが来てくれるという情報は聞いています。本当にありがたいの一言です。期待に応えたい」と話していた篠田善之監督は「自分たちが思い描いた展開にならない場面もありましたが、選手たちは最初から最後まで、どんな形であれ勝ち点3をもぎ取って帰ることに向き合ってやってくれました。ヴァンフォーレ甲府にとって、歴史に残る一勝だと思います。まずは一歩踏み出せたので、次はグループステージ突破という夢を全員で叶えていきたい」と、さらなる上を見据えた。
スコアレスのまま進み迎えた90分、クリスティアーノのクロスを甲府の10番・長谷川元希が頭で合わせる。「対峙する相手のサイドバックの選手が大きくなかったので、得意なプレーではないですけど(頭で)叩けると思っていました」と長谷川。ゴールネットを揺らすと、一目散で甲府のサポーターが待つゴール裏へ向かった。「大勢のサポーターの前で決めることができて、気持ち良かったです。自分のサッカー人生でもなかなか経験できるようなことではなかったですし、それが歴史勝利につながるゴールだったので嬉しかった」と振り返った。
そして、その歓喜の輪の中にはベンチを飛び出した篠田監督の姿も。「展開的に『引き分けかな』『カウンターも危ないな』と思っていたので、クリスティアーノのクロスから元希のゴールが決まった時は頭が真っ白になりました。元希のところに走って行きましたが、なかなか追いつけなくて(笑)。ドクターやトレーナーに抜かれながら元希のところにたどり着いたので、自分のスプリント力がなかったことにショックを受けています(笑)。でも、みんなでサポーターのところに行ったので、僕も行きたいなと思いました」と冗談を交えながら回想した。
甲府は2試合を終え、1勝1分の勝ち点4でグループHの2位に付けている。長谷川は「J2でACLに出場することはなかなかないと思いますし、J2の代表としての誇りを持っています。日本の限られたチームが出場できる大会ですし、甲府が一勝することとJ1のトップクラブが一勝することは価値が変わってくると思います。残り4試合ありますけど、もちろん全部勝つつもりでいます。グループステージを突破できたら、また新たな歴史が生まれる。本当にできると信じています」と、意気込んだ。ACL第3節は10月25日(水)19時〜、アウェイで浙江FC(中国)と対戦する。
取材・文=三島大輔
By 三島大輔
サッカーキング編集部