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【プレビュー】5日で3戦の過酷日程と戦う筑波大、“連続ジャイキリ”なるか…J2福岡と激突

2017.07.12

アミノバイタル杯決勝に臨んだ筑波大の先発メンバー [写真]=池田みのり

 12日に行われる第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会3回戦で、筑波大学(茨城県代表)とアビスパ福岡(J2)が対戦する。1回戦でJ3のY.S.C.C.横浜(神奈川県代表)を1-0で破り、2回戦ではJ1のベガルタ仙台と打ち合いを演じて3-2と逆転勝利を収めた筑波大。次なる相手は明治安田生命J2リーグで2位(第22節終了時点)と好調の福岡だ。果たして、快進撃は続くだろうか。

「ヘロヘロ、本当にヘロヘロだったので…。(福岡戦では)何をもってベストメンバーとするのか、というところもありますが、ファイティングポーズを取ってくれる選手を起用したいですね」

 3日前、筑波大の小井土正亮監督は冗談交じりにチームの疲労度を明かしていた。9日に行われたアミノバイタルカップ2017 第6回関東大学サッカートーナメント大会の決勝戦。14時キックオフ、猛暑の中で順天堂大学と対戦した筑波大は0-2と敗れ、関東第2代表として総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントに臨むことが決まった。メンバーを大幅に入れ替えた末に優勝は逃したが、指揮官は控えメンバーの奮起に言及し、「ポジティブに捉えています。収穫が多い大会でした。選手の底上げができました」と前向きに話している。

 大学チームにとって、3大タイトルの一つとも言える総理大臣杯。その関東予選を兼ねたアミノバイタル杯は、関東の32チームが参加するトーナメントだ。今年は8月に第29回ユニバーシアード・台北大会が行われることもあり、7月1日から9日までの9日間で全日程を集中的に消化する日程が組まれた。関東大学1部リーグ前期日程を終えて首位に立っている筑波大は順当に勝ち上がり、7月5日の3回戦で駒澤大学を破ってベスト4に進出。関東勢に7枠が割り当てられた総理大臣杯出場権を獲得した。

 ただ、それは同時に過酷な日程との直面を意味することでもあった。7月1日の1回戦から5日間で3試合を戦った後、準決勝は8日、決勝/3位決定戦は9日と“中0日”での連戦。炎天下での戦いは過酷で、選手たちは試合を重ねるごとに疲弊していった。先述の通り、ユニバーシアード大会との兼ね合いや会場確保等、様々な事情が重なったうえでの大会運営であるため、やむを得ない面も多々ある。指揮官が「ナイトゲームにならないかな、とは思いますけどね」と漏らしたように議論すべき課題が残ったことは確かだが、とにかく言えることは、筑波大が過酷な日程と戦いながら福岡との激突へ向かうということだ。

天皇杯云々というより、勝ちに行くことを考えてベストメンバーを組みました。“中0日”なので、そしてセンターバックに交代枠を使いたくはないので」という指揮官は、順天堂大との決勝でDF鈴木大誠(3年)とDF小笠原佳祐(3年)のセンターバックコンビをベンチに置いた。また、FW中野誠也(4年/ジュビロ磐田加入内定)もベンチスタートで出場機会はなし。結果的に、複数の主力選手を温存する形となった。それでも準決勝から中3日と苦しい状況ではあるが。

 決勝で1トップを務めたFW北川柊斗(4年)は「自分の実力不足」と、序盤の決定機逸を悔やみつつも「(勝って)良い流れで行きたかったですけど、逆に言えばまだまだ甘いということも再認識できました」と、気を引き締め直して福岡戦を見据えた。5月27日の関東大学1部リーグ第7節から、仙台戦を含めて公式戦9連勝中だった筑波大。決勝での敗戦を良薬として、「チームが一つになって」(北川)格上との対峙に挑みたい。

中野誠也(左)と北川柊斗(中央)、筑波大が誇る2トップの起用法に注目だ [写真]=内藤悠史

「相手がどういうメンバーで来るかはわからないですし、本当に難しい試合になると思いますけど、やるしかないですね。トーナメントなので、まずは無失点で。仙台戦と同じような戦い方ができれば」

 北川はそう言って、福岡戦を展望していた。指揮官はメンバー構成について「前の晩にギリギリまで悩むことになると思います」とコンディションを間際まで見極める考えを明かす。今季は1トップと2トップを使い分けながら勝利を重ねてきた筑波大だが、仙台戦のように中野と北川に前線を託すのか、中野の下に3枚のアタッカーを並べる形を採るのか、小井土監督の決断にも注目だ。ユニバーシアード代表MF三笘薫(2年)やMF長澤皓祐(3年)、MF西澤健太(3年)ら、突破力に秀でた攻撃陣は大学屈指の破壊力を持つ。仙台を相手に3得点を奪った自信を胸に、福岡ゴールを脅かしていきたい。

 9日間で5試合を戦ったアミノバイタル杯を経て、中2日でJクラブに挑戦する筑波大。大学勢唯一の勝ち上がりということで「意地を見せたいですね。何とか食らい付いていって、良い結果を出せるように頑張ります」と小井土監督は意気込む。福岡の指揮官は同校出身の井原正巳監督だ。今月に入って6試合目、ここ5日間で3試合目という厳しいスケジュールだが、筑波大はOB率いる福岡を相手に“ジャイアント・キリング”を起こせるだろうか。

取材・文=内藤悠史

By 内藤悠史

元サッカーキング編集部。育成年代や女子、国内サッカー、海外サッカーなど幅広く執筆。退職後はJリーグのクラブ広報に。

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