ロペス(左)、マテウス(中央)、水沼(右)はそれぞれゴールで勝利に貢献 [写真]=兼子愼一郎
天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会・準々決勝が25日に行われ、横浜F・マリノスとレノファ山口FCが対戦した。
横浜FMは2回戦でFC岐阜、3回戦では水戸ホーリーホック相手に、終盤の同点ゴールで延長戦に持ち込み、PK戦の末に勝利。ラウンド16のV・ファーレン長崎戦では、90+2分の失点で万事休すかと思われたが、そこから怒涛の2得点で劇的逆転勝利をやってのけた。決勝まで駒を進めた2017シーズン以来となる準々決勝まで駒を進めている。
一方、山口は今大会がクラブ史上初の8強入り。2回戦でPK戦の末にザスパ群馬を破ると、3回戦では新潟県代表のJAPANサッカーカレッジを3-0で粉砕。ラウンド16では、2024明治安田J1リーグで現在最下位に沈むサガン鳥栖を相手に、序盤に若月大和と山本駿亮がゴールを奪い、2-0で勝利した。既に準々決勝の2試合は終了しており、ジェフユナイテッド千葉が京都サンガF.C.に0-3で敗北。J2からの“生き残り”は山口のみとなったなか、“大穴”として4強入りを狙う。
横浜FMはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)も含めると公式戦3連敗中、山口もリーグ戦4連敗中と調子を崩しており、今後の戦いに向けて浮上のきっかけを掴みたい一戦。両者リーグ戦から大幅なメンバー変更を施しながら、雨が降り注ぐ『ニッパツ三ツ沢球技場』でキックオフの笛が吹かれた。
試合は立ち上がりからホームチームの横浜FMが前へ出る。アンデルソン・ロペスが良い形でゴールに迫る場面を作り出すと、16分には先手を取る。右サイド深い位置から仕掛けた井上健太がクロスボールを上げると、クリアボールを山根陸が回収。横へ預けると、ボックス手前中央で前を向いたジャン・クルードが相手を引き付けてリターンパス。最後は山根が右足でミドルシュートを突き刺し、横浜FMが良い流れのまま先制に成功した。
しかし、直後の23分には山口が意外な形で試合を振り出しに戻す。自陣右サイド低い位置でボールを受けた平瀬大が、右足で背後のスペースめがけてロングボールを蹴り込むと、飛び出したGK飯倉大樹がまさかの空振り。ルーズボールを拾った奥山洋平が無人のゴールに流し込み、スコアは1-1となった。
以降、横浜FMは個の優位性を活かしたサイドアタックで、山口は奪ってからのカウンターや中央でのコンビネーションを用いてゴールを狙う。36分には山口に決定機が到来。センターバックの間で左からのボールを引き出した末永透瑛のポストプレーから、奥山洋平が右足一閃。このシュートはクロスバーに嫌われる。このこぼれ球に対し、クルードとサーラット・ユーイェンが反応した結果、足裏を見せてタックルに行ったクルードにレッドカードが提示される。横浜FMは10人での戦いを強いられた。
だが、山口も数的優位の時間は長く続かない。直後の41分、左サイドでサイドチェンジを受けた沼田圭悟のコントロールが長くなると、井上に奪われる。この突破を止めようとした沼田に2枚目のイエローカードが提示され、山口も10人となった。
やや荒れ模様の前半を終え、後半へ折り返すと、再び横浜FMがリードを奪う。51分、自陣中央でルーズボールを回収した山根が斜めへつけると、待っていたA・ロペスが見事なボールタッチから背後のスペースへスルーパス。抜け出したエウベルがGKチェ・ヒョンチャンとの1対1を冷静に制した。
その後は山口も丁寧なビルドアップからうまく攻撃に転じるシーンを作ったが、横浜FMは71分、途中出場の両ウインガーが違いを見せる。右サイドでボールを受けたヤン・マテウスが個人技で中央を突破。ボックス左深い位置に入った水沼宏太に預けると、冷静な切り返しで板倉洸のスライディングを外し、リターンパスを送る。最後はマテウスが右足で仕上げ、横浜FMが勝利を手繰り寄せる3点目を決めた。
勢いに乗った横浜FMは続く77分、西村拓真のクイックリスタートでマテウスが右サイドを抜け出すと、GKの位置を見て冷静に横へパス。最後は水沼が押し込み、決定的な4点目。86分には左サイドからカットインした水沼が中央ヘ預け、ロペスのポストプレーから西村がスペースへスルーパス。動き直していたロペスが落ち着いて1対1を制し、チームとしてこの日5度目となるゴールネットを揺らした。
試合はこのままタイムアップ。勝利した横浜FMは、10月27日に予定されている準決勝でガンバ大阪と対戦する。
【得点者】
1-0 16分 山根陸(横浜F・マリノス)
1-1 23分 奥山洋平(レノファ山口FC)
2-1 51分 エウベル(横浜F・マリノス)
3-1 71分 ヤン・マテウス(横浜F・マリノス)
4-1 77分 水沼宏太(横浜F・マリノス)
5-1 86分 アンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)
By サッカーキング編集部
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