GKのユニフォームを着てピッチに立つ狩野 写真=Fリーグ
11月の小田原セントラルで全33試合中31試合を終えたSuperSports XEBIO Fリーグ。ここまで3勝2分26敗で最下位のヴォスクオーレ仙台は、変革の時期を迎えている。
リーグ最年少で指揮を執った佐藤隆行監督に代わり8月に就任したホセ・フェルナンデス監督は3年契約。「将来のFリーグ、日本のフットサルのために仙台の選手を育成し、次のステップに進ませるために日本に来た」と話すとおり、若手中心の起用が目立つ。その中にあって32歳とベテランの狩野新。小田原セントラルでは仙台に移籍後初めてのキャプテンマークを巻いた。
初芝橋本高校のサッカー部出身、フットサル日本代表経験もありFリーグ開幕から8年間ペスカドーラ町田でプレーした狩野は、劣勢で仕掛けるパワープレーでゴレイロポジション(サッカーのボランチのようにゲームを組み立てるポジション)に入ることが多い。名古屋セントラル2戦目、北海道戦のパワープレーでは狩野がサイドにボールを送っても受け手が切り込むことができず、ボールが返ってくるシーンが多く見られた。狩野の意図していることが実現できていないように感じ、疑問をぶつけた。
「パワープレーに関しては、”必ずこれ”といった形があるわけではないんです。ただ、崩せたりスペースが空いたり揺さぶりをかけられた部分もあったので・・・」そう話し、もどかしさを覗かせた。
第30節、ペスカドーラ町田戦で見た仙台のパワープレー。前回同様狩野がゴレイロポジションに入り攻撃を組み立てていたが、名古屋セントラルとは違った印象を受けた。決定率は伴わないものの、全体的に前へ推進するプレーが増えた。そのことについて狩野は、パワープレーだけでなく、監督が代わって少しずつ成長している部分は確かにあるのだと言う。
「ただ、最下位なのでいきなり連勝を目指すということではなく、練習から少しずつ積み上げてそれを試合で出せるようにしていかないと」
小田原セントラルの記者会見でホセ監督は若手の起用に関してこう話した。「フウガドールすみだを見ても分かるように、若い選手の勢いは止められないことがある。そういった勢いを持った選手が少しずつ経験を積み重ねていき、ベテランが持つ落ち着きと一致したときにいいチームになる」
その言葉を受けて狩野は「ホセの言うようにチームは前進しています。初めてキャプテンをやって、可能性や自信、前に進んでいるという実感がありました。もちろん、一番後ろで取られるなど細かいミスはありました。そういった部分はFリーグのピッチで戦うために、自分も含め1人1人がもっと意識していかなければ」
Fリーグ10周年となる来季、仙台はリーグ参入から3年目を迎える。狩野が最後列から見る景色はどのように変化していくのか。仙台の成長が楽しみだ。