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Fリーグ初のオールスターにファン大興奮! フットサルの醍醐味が詰まった“真剣勝負の祭典”に

2016.10.09

初開催のFリーグ・オールスター戦はファンも大興奮の“真剣勝負の祭典”となった [写真]=本田好伸

 2007年の創設から10周年を迎えたFリーグが10月8日、初のオールスター「Fリーグ10周年記念 オールスターゲーム supported by DUARIG」をゼビオアリーナ仙台で開催した。

 会場には2500人を超えるファンが来場し、10年目にして初の試みとなる“お祭り”を楽しんでいた。オールスターの前には、「VEGALTA SENDAI DREAMS」と「MIYAGI DREAMS」によるエキシビションマッチも開催。「VEGALTA SENDAI DREAMS」は、文字通り、ベガルタ仙台のOB選手で構成され、Fリーグ経験もある“ミスター・ベガルタ”千葉直樹や中島浩司、萩原達郎、平瀬智行、永井篤志などが参加。一方の「MIYAGI DREAMS」は、宮城県サッカー協会の大久保芳雄会長を筆頭に、FA東北地域ユースダイレクターの手倉森浩氏、仙台育英高校出身で選手権出場歴を持つお笑いタレント・パンサーの尾形貴弘、それに、元ヴォスクオーレ仙台、現役選手などが参加した。その試合は、手倉森氏や永井がそれぞれ2ゴールを決めるなど、エンターテインメント性の高い戦いが披露されたが、最後は千葉のゴールが決勝点となり、VEGALTA SENDAI DREAMSが5-3で勝利を収めた。

 そして行われたオールスター本番。日頃のホーム&アウェーやセントラル開催とはまた違う、独特な雰囲気が場内を包み込んでいた。

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 今回、出場した選手は、エスポラーダ北海道、ヴォスクオーレ仙台、バルドラール浦安、フウガドールすみだ、府中アスレティックFC、ペスカドーラ町田の選手で構成される「F-EAST」の12名と、湘南ベルマーレ、アグレミーナ浜松、名古屋オーシャンズ、シュライカー大阪、デウソン神戸、バサジィ大分の選手で構成される「F-WEST」の12名。事前にインターネットや試合会場でファン・サポーター投票が行われ、合計24選手が選ばれた。なお、F-EASTは岡山孝介監督、須賀雄大コーチ、F-WESTはペドロ・コスタ監督、木暮賢一郎コーチという、昨シーズンのリーグ戦の上位4チームの指揮官が担当した。

 そして、Fリーグ初のオールスターは、“ガチンコ対決”で幕を開ける。両チームそれぞれ、普段とは異なるメンバーとのプレーながらも、前日の1回の練習で呼吸を合わせ、いきなりハイレベルな連係を繰り出していく。さらに、守備でもあうんの呼吸でカバーリングを見せたり、体を投げ出してシュートブロックをする場面も見られたり、選手は、さながら“日本代表”を彷彿させた。GKのパフォーマンスも高く、F-WESTの先発を任された19歳の上原拓也(湘南)がビッグセーブを連発するなど、存在感を示した。

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 ある意味で、オールスターに似つかわしくないほどの真剣勝負は、0-0のまま後半へと突入すると、いよいよゲームが動いた。21分に、F-EASTが水上玄太(北海道)のゴールで先制すると、その直後にF-WESTのシンビーニャ(名古屋)がロドリゴ(湘南)との連係から同点弾を突き刺す。31分には、F-EASTのボラ(すみだ)がカウンターからゴール前で決めて勝ち越すと、34分にF-WESTのヴィニシウス(大阪)が、強烈なシュートをゴール右隅に決めて再び同点。ハイレベルなシーソーゲームはその後、37分に原田浩平(神戸)のゴールでF-WESTが初めて勝ち越しに成功する。

 試合はまだ終わらない。F-EASTはGKの藤原潤(浦安)が攻め上がり、所属チームでは見せたことのない布陣でのパワープレーで同点を狙うと、残り31秒で西谷良介(すみだ)が豪快なシュートで3-3のタイスコアに持ち込み、会場のボルテージは一気に高まった。するとその10秒後、ヴィニシウスが右サイドから切れ味鋭いカットインからのゴールで再びF-WESTが勝ち越し、勝敗は決したかに思われた。しかし、フットサルの醍醐味は、わずか数秒でゴールが生まれるところにある。残り5秒、GKから前線に送られたボールをF-EASTのボラが合わせると、こぼれ球に自らが詰めて押し込み、40分間の戦いは同点でタイムアップを迎えた。

 まさに息を付く間もない展開を見せた試合は最後、3人勝負のPKによる決着となった。両チームが肩を組むオールスターならではの光景が見られたPK戦は、3人全員が決めて迎えた4人目、F-WESTの安藤良平(湘南)のシュートを藤原がストップすると、後攻のF-EASTの稲葉洸太郎(すみだ)がきっちりと沈めて勝利を決めた。その瞬間、シュートストップを見せた藤原のもとに駆け寄ったのは両チームの選手たち。会場からも最高のゲームを披露した選手たちに惜しみない拍手が送られた。

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 オールスターは最後、ピッチで表彰式が行われ、グッドコーチング賞はF-EASTの両コーチ陣、リーグ開幕から10年間プレーを続けている選手を表彰するプレーヤーオブDECADEは甲斐修侍(町田)を始めとする8選手、エンターテイニング賞はヴィニシウス、DJ JUMBO賞は原田、ゴールデングローブ賞は上原、ゴールデンブーツ賞は西谷が、それぞれ受賞。そして、オールスターMVPは、試合中、何度もテクニカルなプレーで会場を沸かし、劇的な同点弾を含む2ゴールを挙げたボラが選ばれ、受賞後には、選手たちから胴上げされる一幕もあった。

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 初開催のオールスターは、試合のエンターテインメント性を高めるわけではなく、フットサルの魅力を表現することを意識した真剣勝負にこだわるなかで“名勝負”が生まれ、まさにFリーグ10年間が凝縮されたゲームとなった。筋書きのないドラマを目の当たりにしたファン、サポーターは、Fリーグの魅力を改めて感じたに違いない。第1回目にして、これぞ「Fリーグのオールスター」というものを世に知らしめる“真剣勝負の祭典”となった。

文・写真=本田好伸

By 本田好伸

1984年10月31日生まれ。山梨県甲府市出身。日本ジャーナリスト専門学校⇒編集プロダクション⇒フットサル専門誌⇒2011年からフリーとなりライター&エディター&カメラマンとして活動。元ROOTS編集長。2022年から株式会社ウニベルサーレ所属。『SAL』や『WHITE BOARD SPORTS』などに寄稿。

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