FOLLOW US

Fリーグの新王者・大阪が盤石の戦いで5年ぶり3度目の日本一に…第22回全日本フットサル選手権大会

2017.03.23

Fリーグ優勝と併せての2冠を達成したシュライカー大阪 [写真]=本田好伸

 3月18日から20日の3日間、フットサルの日本一を決する大会、第22回全日本フットサル選手権大会の決勝ラウンドが国立代々木競技場第一体育館で開催され、シュライカー大阪が5大会ぶり3度目の優勝。同時に、Fリーグ優勝と併せての2冠を達成した。

 大会は18日、Fリーグ1位でシードとなった大阪が初登場すると、準々決勝で湘南ベルマーレに3-0、準決勝でデウソン神戸に6-2で勝利し、順当に決勝まで駒を進めた。一方、先週行われていた1次ラウンドから勝ち上がってきたフウガドールすみだは、準々決勝で前回大会王者のペスカドーラ町田に2-1、準決勝で府中アスレティックFCに3-2といずれも僅差で勝利し、4大会ぶりの決勝進出を果たした。

 決勝では初顔合わせとなった両者の戦いは、意外にもすみだの勢いが勝る序盤となった。2分、左サイドの西谷良介から右サイドの宮崎曉にパスが渡ると、折り返しに再び西谷が詰めて、いきなりの先制に成功。さらに3分、すみだの前からのプレスに対して、大阪はGKを使ったプレス回避を試みたが、これがすみだの守備網に引っ掛かり、ボールを奪った宮崎が無人のゴールに追加点を流し込んだ。

 立ち上がりに2点を先取したことで、すみだが勢い付くかと思われたが、Fリーグ王者は冷静だった。すぐさまタイムアウトを取って立て直しを図ると、4分、左サイドでボールを持ったアルトゥールが、中央へのカットインから狙い澄ましたシュートをゴール左隅に突き刺す。フィクソという守備的なポジションながらも、今シーズンのリーグ戦で31試合出場33得点をマークしたアルトゥールが、この日もチームに勇気を与えるゴールをもたらした。

 この試合の両者の立ち位置は、ある意味で明確だった。実力では大阪に分があるため、すみだは常にアグレッシブにボールを奪いにいく守備力で対抗せざるを得なかった。そのため、必然的に球際に激しくなり、序盤からファウルトラブルが重なっていく。そしてわずか5分で5ファウルを記録してしまう。勝負にいった末の結果だがしかし、これが最終的に勝敗を分けることとなった。

 10分、すみだの清水和也が6つ目のファウルを犯して相手に第2PKを献上すると、ここで登場したキッカーはアルトゥール。正確無比にして強烈なシュートを誇る彼は、このチャンスを確実にゴールに結び付けて、大阪が同点に追い付く。さらに17分、再び大阪が第2PKを獲得すると、またしてもアルトゥールが決めて3-2。アルトゥールのハットトリックの活躍で、大阪が勝ち越しに成功した。

 すみだにとっては、想定通り厳しい展開となったが、それでも「前半を2-3で終えたのは問題なかった。後半のプランは、アルトゥールとチアゴの強烈な縦のラインを封鎖すること」(須賀雄大監督)と、改めて相手のストロングポイントをケアしながら、カウンターで勝機を見出していく戦いを狙っていった。

 しかし大阪は、そんな狙いをあざ笑うかのように、すみだ陣内に攻め込んでいく。23分、カウンターからチャンスを作った大阪は、右サイドの小曽戸允哉がファーサイドへとパスを送り、これをチアゴが確実に決めて2点差に。今シーズンからチームに加入したチアゴもまた、リーグ戦に30試合出場して37得点を挙げたゴールゲッター。相手の隙を見逃すことなく、周到にゴールを陥れる大阪の脅威がこの試合でも猛威を振るった。

 そして30分、ゴール前のチアゴが反転シュートを決めて5-2。勝負はほぼ決していた。それでもすみだは諦めず、失点直後からGKをフィールドプレーヤーの稲葉洸太郎と交代してパワープレーを開始し、ゴールに迫っていくが、なかなか決定的なシーンを生み出せない。すると38分にアルトゥール、残り37秒でチアゴが、相手の無人のゴールに蹴り込む「パワープレー返し」で追加点。終わってみれば、両ブラジル人が全得点を挙げる圧巻のパフォーマンスで7-2とした大阪が盤石の勝利。日本一のタイトルを奪還した。

 今大会で1次ラウンドで敗退と、今シーズン国内無冠に終わった名古屋オーシャンズを尻目に、名実共に「新王者」となった大阪。「全員で一つになって、リーグ優勝に満足することなく、Fリーグ王者としてもう一度、良い試合をしてタイトルを目指そうと話してここまできた。今日も苦しいゲームだったが、全員の力で目標を達成できて、選手、スタッフを誇りに思う」(木暮賢一郎監督)と、充実のシーズンを締めくくった。

 大会MVPを獲得したアルトゥールは昨シーズン大阪に加入。「自分は大阪を助けるために、歴史を変えるために、リーグタイトルを獲るためにブラジルからやってきたので、その目的を達成できたことは嬉しい」と、2つのタイトルをつかんだ喜びを語った。同時に、「日本のフットサルがもっと発展して、プロチームが増えて、強いチームが増えていくことも自分たちの役割。今日のように多くのお客さん、多くの人がフットサルを見て、さらに発展していくことが、この先もっと必要になってくる」と、この先の日本フットサルについても言及した。

 2007年のFリーグ創設から10年が経ち、転換期を迎えた今シーズン。果たしてここから、国内フットサルシーンはどのように動いていくのか──。新時代の到来を告げる、2016-2017シーズンの幕引きとなった。

■試合結果
第22回全日本フットサル選手権大会 決勝ラウンド
2017年3月20日(日) 国立代々木競技場第一体育館
3位決定戦
府中アスレティックFC 1(0-0)0 デウソン神戸
決勝
フウガドールすみだ 2(2-3)7 シュライカー大阪

優勝:シュライカー大阪
準優勝:フウガドールすみだ
3位:府中アスレティックFC

MVP:アルトゥール(シュライカー大阪
フェアプレー賞:フウガドールすみだ

文・写真=本田好伸

By 本田好伸

1984年10月31日生まれ。山梨県甲府市出身。日本ジャーナリスト専門学校⇒編集プロダクション⇒フットサル専門誌⇒2011年からフリーとなりライター&エディター&カメラマンとして活動。元ROOTS編集長。2022年から株式会社ウニベルサーレ所属。『SAL』や『WHITE BOARD SPORTS』などに寄稿。

SHARE

SOCCERKING VIDEO