3年ぶりの出場となったFCサウサーレが、EXILE CUP 2017 九州大会で2度目の優勝を果たした
7月1日、株式会社LDH JAPANが主催する小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP 2017」の九州大会が、鹿児島県霧島市の国分運動公園陸上競技場で開催された。8年目を迎えた今年は、県外からの13チームを含む九州全域から36チームが集結。大会は1ブロック4チームずつの9ブロック(A〜I)に分かれて総当たりの予選リーグを戦い、各ブロック1位チームと各ブロック2位の成績上位7チーム(計16チーム)が、決勝トーナメントへと駒を進める。九州ナンバーワンに輝き、9月に愛媛県今治市で行われる決勝大会への切符を手にすべく、初戦からエキサイティングな戦いが繰り広げられた。
開会式では、大会アドバイザーを務めるFC今治のオーナーでサッカー日本代表元監督の岡田武史さんが登場。「昨年の決勝大会で優勝したチームは、ドイツ遠征でドルトムントU−12のチームと戦って圧勝しました。今年も決勝大会で優勝すれば、きっと海外遠征が見えてくると思います。海外に行って日本の強さを示せるチームが出てくることを期待しています!」と選手たちへ激励の言葉を送った。続いて、大会恒例の「EXダンス体操」でウォーミングアップ。選手たちは慣れない動きに少し戸惑いながらも、リズムに合わせて元気いっぱいに体を動かした。
雨天の予報に反して日差しが強くなってきた午前9時、いよいよ真剣勝負の戦いが幕を開けた。試合前、岡田さんが「九州は素晴らしい選手を輩出しているし、地域にサッカーが根差していてレベルが高いんじゃないかな」と期待を寄せていたように、九州大会には多くの実力者が集った。
ゴール前でのアイデアが豊富なチームや爆発的な得点力を見せつけたチーム、そして全員守備・全員攻撃の熱いチームプレーを披露する戦いなど、それぞれの持っている力を前面に出して懸命にボールを追い掛ける選手たちの姿が印象的だった。そんななか、予選リーグで最も注目を集めたのは、3年前に鹿児島県で開催された同大会を制している優勝候補のFCサウサーレ(鹿児島)。個の力やチームワークだけでなく、劣勢の場面でも落ち着いたプレーを見せるメンタル面でも力を示し、安定して主導権を握ると3戦全勝でブロックを首位通過した。
そして午後1時、長時間に及んだ予選リーグが終了。決勝トーナメントへと駒を進めた全16チームが出揃った。
しばしの休憩を挟んで決勝トーナメントの組み合わせ抽選会が実施され、より集中力と決定力が求められる一発勝負の戦いが始まった。完成度が高く明確な戦術を持つチームが集まった決勝トーナメントでは試合中、「シュートを打たなければ勝てないんだぞ!」と喝を入れる選手や、「最後まで諦めずにやり切ろう!」とベンチから声を掛ける選手の姿も見られ、予選リーグとは異なる緊迫した雰囲気も漂っていた。
決勝トーナメント1回戦を終え、F.Cuore U−12(鹿児島)、FCサウサーレ、キングスユナイテッド(大分)、川上FC(鹿児島)、小山田フットサルクラブA(鹿児島)、ヴェントノーバFC(宮崎)、FC CRAQUE(熊本)、桜ヶ丘サッカースポーツ少年団(鹿児島)がベスト8に進出。攻守ともにバランスが取れた雄健なチームが勝ち残った。
続く準々決勝では、互いにブロックを2位で通過した小山田フットサルクラブAとヴェントノーバFCが激突。互角の戦いを見せたが、相手の隙を見逃さずチャンスをモノにした小山田フットサルクラブAが試合を制した。他にも好勝負を演じた熱闘の末、キングスユナイテッド、FCサウサーレ、FC CRAQUEがベスト4へと勝ち抜けた。
準決勝ではキングスユナイテッドとFCサウサーレ、小山田フットサルクラブAとFC CRAQUEが対戦。2試合ともに一進一退の攻防で得点は入らず、前半は0−0で終了した。後半に入って先に試合が動いたのは、キングスユナイテッド対FCサウサーレだった。FCサウサーレが自陣でボールを奪い相手ゴール前まで一気に攻め上がると、ゴール前で流れるようなパスワークから先制点を挙げた。直後にも追加点を奪い、その後はキングスユナイテッドに強烈なミドルシュートを打たれながらもGKが好セーブ。勢いそのままに、さらに追加点を奪って圧倒した。
一方の小山田フットサルクラブA対FC CRAQUEは、後半は攻守の入れ替わりが早いスピーディーな展開に。しかし互いにビッグチャンスを決めきれず、無得点でPK戦に突入かと思われた終了間際。小山田フットサルクラブAが思い切りのいいミドルシュートを放つと、ボールは一直線に相手GKの股をすり抜けてゴールネットを揺らし、値千金の決勝点を挙げた。
そしてついに、九州大会ナンバーワンを決める小山田フットサルクラブA対FCサウサーレの決勝戦がキックオフ!
前半から乱打戦となる名勝負を披露した両者。先制点を挙げたのは意外にも小山田フットサルクラブAだったが、FCサウサーレも得意の連係プレーですぐさま同点弾を奪って勢いは与えない。気の抜けない試合展開のなか、小山田フットサルクラブAが追加点を挙げて突き放しに掛かった。しかし、前半終了間際にFCサウサーレがCKからゴールネットを揺らして、再び同点に追いつき2-2で前半を終えた。
後半に入ってもシーソーゲームは続く。FCサウサーレが相手を左右に揺さぶりながら相手陣形を崩して逆転に成功すると、直後に小山田フットサルクラブAがCKから同点弾を奪って食らいつく。しかし徐々に流れがFCサウサーレに傾き、ついにシーソーゲームに終止符が打たれた。
同点弾を決められて3−3となった後、FCサウサーレが逆転弾を奪って一気に攻勢に出たのだ。右サイドから仕掛けるとゴール前へ低い弾道のラストパス。これを落ち着いて決めて5−3とすると、さらに自陣で体を張って相手の攻撃の芽を摘み取り、一気に攻め込んで3点差に。小山田フットサルクラブAの選手たちも最後まで諦めない気持ちを見せたが、反撃はならずタイムアップ。FCサウサーレが6−3で逆転勝利を収め、3年ぶり2度目の出場で九州大会を制覇した。
閉会式には、昨年まで鹿児島ユナイテッドFCでプレーし現在は同クラブのスクールコーチをしている新中剛史さんが駆けつけ、「大事なことは『上手くなりたい、負けたくない』と努力し続けること。目標が高ければ高いほど、それに近づけるようにいっぱい努力できるはずです。いつも支えてくれる方への感謝の気持ちを持って、これからも頑張ってください」と選手たちにエールを送った。
大会終了後、FCサウサーレのキャプテンで多くのゴールでチームに勢いをもたらした伊地知龍之介君に話を聞くと「勝っていくにつれてどんどん対戦相手が強くなっていきましたが、『自分がゴールを決めてチームを盛り上げたい』と思いながら一生懸命プレーしました。技術以上に気持ちの面で相手に勝つことを心掛けています。今日のように一人ひとりがやるべきことを考えて頑張って、決勝大会も勝っていきます!」と力強いコメントを残してくれた。3年前に決勝大会へ出場した先輩たちは惜しくも予選リーグで敗れてしまっただけに、雪辱を果たす意気込みだ。
また、同チームの安部昌紀代表は「開催地である鹿児島のチームが優勝を飾りたいという思いがあった」と優勝に懸けた強い思いを明かしながら、「決勝トーナメントの初戦こそパフォーマンスが悪く連係が取れていませんでしたが、その後はしっかりと修正してくれました。決勝戦ではトレーニングでやってきたセットプレーや、一人ひとりの判断というところが出せて良かったです」と、いかなる状況でも自分たちの戦いを貫いた選手たちの戦いぶりを讃えた。
さらに決勝大会へ向けては、「まずは九州代表として恥ずかしくないプレーを見せたいです。みなさんに『楽しい』と思ってもらえるフットサルを披露したい」と活躍を誓った。
チームのテーマに“自立と判断”を掲げているFCサウサーレ。九州大会で見せたそれのように、彼らの真骨頂を決勝大会のピッチでもきっと表現してくれることだろう。
文=橋本知英 写真=南 修一郎、中野雅厳
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト