中国大会を制したオオタフットボールクラブ。この日戦った10人で、9月に今治で行われる決勝大会に出場する
8月3日、真夏の空の下でフットサル大会「EXILE CUP 2017」の中国大会が、灘崎町総合公園(岡山県岡山市)で開催された。昨年参加したチームとは顔ぶれも変わり、今回は中国地方5県の52チームが参加。8年目の大会は大いに盛り上がった。
開会式では、岡山県サッカー協会専務理事・田原伸恭(たはら・のぶやす)氏の挨拶に続いて、「EXダンス体操」を参加者全員で行った。これは大会サポーターであるEXILEのÜSAさんが考案した体操で、選手たちはリズミカルな動きを器用にこなしながら、笑顔でウォーミングアップを終了した。
いよいよ予選リーグがスタート。4チームが1ブロックとなり、13ブロックに分かれて行われる総当たり戦で、6試合が同時進行で行われる。ピッチに入り、確かめるようにゴールのポールやバーに触れる選手もいる。ホイッスルが鳴ると、「相手を見よう!」、「後ろがボールを出せるように、前の選手が動け!」と、監督から指示の声が響く。ぐんぐん上昇していく気温と比例するように、選手たちの動きも激しくなっていった。丁寧なパスやターンといった個人技で相手をかわす選手や、冷静な判断でゲームを引き締める女子選手の姿も目立った。
決勝トーナメントに進出するのは、各ブロック1位通過の13チームと、グループ2位通過で成績上位の3チーム。合計16チームが出そろったところで、組み合わせ抽選として、キャプテンが並んだボールを選び、対戦チームを引き当てた。ここからは一発勝負の決勝トーナメントだ。
ベスト8に入ったのは、PK戦でForza Joto(岡山)を下した総社ユナイテッドフットボールクラブU−12(岡山)をはじめ、FCリベルダーテ山口(山口)、COCORO.SC(広島)、FC SPITZE(広島)、オオタフットボールクラブ(岡山)、平井フットボールクラブ(岡山)、総社北サッカークラブ(岡山)、CRFジュニア(岡山)。試合数をこなしているにも関わらず、選手たちに疲れはほとんど見られず、午前中の試合よりもプレーの精度が上がっているシーンが印象的だった。
決勝に駒を進めたのは、2度のPK戦を制したオオタフットボールクラブと、高い決定力で勝ち進んだ総社ユナイテッドフットボールクラブU−12。オオタフットボールクラブの太田修平監督は、選手たちに「楽しもうぜ!」と声をかけ、総社ユナイテッドの三宅厚自監督は選手たちに具体的に戦術を確認していく。対照的な様子で試合への準備を終えると、いよいよ決戦の幕が落とされた。
キックオフの笛が鳴ると、セカンドボールを積極的に拾っていた総社ユナイテッドが、早い時間帯に先制に成功。オオタフットボールクラブもシュートを放つものの、好セーブに阻まれてゴールが遠い。後半にも追加点を決めた総社ユナイテッドが2-0と、この時点で試合を決めたかのようにも見えた。しかし、ここからオオタフットボールクラブの反撃が始まった。村木輝(ひかる)君(6年)が右サイドを抜けてシュート。これが決まって1点を返すと、その直後、村木君が仕掛けてキャプテンの奥村一友君(6年)につなぎ、これを決めて同点に。「あと2分あるぞ!」という両監督の声が飛ぶ中、奥村君のキックインから村木君が決め、オオタフットボールクラブがついに逆転に成功した。
同点弾を決めた奥村君は、持ち回りキャプテン制で今日のキャプテンを務めた。「いい感じのボールが来たので、しっかり振り抜いて枠に飛ばすようにしました。2点リードされていても、絶対に盛り返して優勝する、という気持ちでやっていました」と話す。また2得点を挙げた村木君は、「1点目は相手が疲れていた時間で、ついて来なかったから、ドリブルで仕掛けて思いきりシュートを打ちました。2点目はキャプテンのキックインからうまく決められました」と振り返る。ほかの選手たちも、「オオタと言えば、ドリブル。パスじゃなくてドリブルでゲームを決めるんです」と元気いっぱいの様子で教えてくれた。
激戦を戦い終えた両監督とも、最後まで全力を出した選手たちをねぎらった。優勝したオオタフットボールクラブの太田監督は、「最後までみんなで粘って、気持ちをこめて頑張ることができた。やることを徹底して、ドリブルで仕掛け続けたことが結果につながった」と勝因を分析。一方、敗れた総社ユナイテッドフットボールクラブU−12の三宅監督は、「決勝戦で先に2点を取れて、全国大会のことが頭にちらついた時間に失点してしまった。相手に隙をつかれた。ただ、暑い中で7試合を戦って、子どもたちは本当によく頑張ったと思います」と語った。
優勝したオオタフットボールクラブは、この日戦った10人で、愛媛県今治市で行われる全国大会に進む。
文=尾原千明 写真=近藤 駿
By サッカーキング編集部
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