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【Fリーグ】2人目の外国籍選手獲得はクラブ哲学の変更か? すみだ須賀雄大監督「自分たちが大事にしていることは、大事にできている」

2018.09.26

フウガドールすみだの須賀雄大監督が取材に応じた

[[9.22 練習試合 立川・府中 2-2 すみだ 府中市総合]
 フウガドールすみだは22日、立川・府中アスレティックFCと練習試合を行い、2-2で引き分けた。この試合には新加入選手のFPガリンシャが出場。後半に1アシストを記録し、リーグ戦で2試合連続ノーゴールとなっているチームで武器になりそうな存在感を示した。

 すみだは2016-2017シーズンにFPボラが加入するまで、日本人選手のみで戦ってきた。Fリーグ初年度から日本でプレーし続けており、ある程度の日本語を理解するボラの獲得はともかく、今回、日本でプレーした経験のないブラジル人選手を獲得したことは、クラブのフィロソフィがブレているのではないかという指摘もある。

 チームの代表でもある須賀雄大監督は、今回の外国籍選手獲得プロジェクトが昨年から進んでいた長期的なものだったことを明かした。そして、「フィロソフィが変わったかどうかは、見ている方の考え方次第」と前置きをしつつも「自分たちが本当に大事にしていることは絶対に大事にできていると思っている」と、

 以下、立川・府中戦後のフウガドールすみだ 須賀雄大監督のコメント

――ガリンシャのプレーを見た印象、そして獲得理由などを伺いたいと思います。
須賀 まず彼が来て1週間しか経っていません。17日に来日して、19日から練習をしたので、3日間練習をして今日初めてトレーニングマッチをしました。時差もまだ完ぺきではないし、6月くらいからうちに来る予定になっていたので、その時期からチームに所属しないでトレーニングをしていました。かなり厳しい環境でやっている中で、非常に前向きにプレーしてくれている印象を持っています。
――ブラジルの全国リーグのレギュラーシーズンが昨日終わりましたよね? 全国リーグの途中まで出ていたんですか?
須賀 そうです。本当はもう少し早く呼びたかったのですが、ビザの関係もあって。彼自身も初めての海外移籍なので、そうしたことで時間がかかったところがあります。
――ブラジル代表には入っていませんが、存在感あるプレーしますね。
須賀 そうですね。そういう意味では、自分たちがクラブとして前進するために、自分たちが成長することは大事です。また僕が要求するプレーが、こういうプレーなんだと示せることで、より選手がそういったプレーを行えます。たとえば、今日であれば左利きのピヴォと組み合わせることで、より自分の良さを出せる選手が出てきます。もしくはどういうタイミングで入っていけばシュートまでいけるのか。それを経験しないまま成長していってしまう可能性もあります。そういう意味では自分たちのクラブに絶対にいないようなタイプの外国籍選手が欲しいとは、自分たちのクラブのステップとしてすごく重要だと考えていました。そうした選手と縁があったので、ぜひ獲得をしたいと。そしてプレースタイル、人間的な部分でも、自分が見る限りは非常にクラブにあっています。たとえば、すごくタフなゲーム、荒れたゲームでも非常に冷静にプレーしていました。守備のトランジションでも、前からの守備でも、すごく献身的にやっていました。そうしたところは、自分たちのクラブのカラーに非常に合っていたことも獲得の決め手になっています。
――候補に挙がっていた選手は結構いたのですか?
須賀 そうですね。実は、この外国籍選手を獲得するプロジェクトは、昨シーズンから動いていたので。ただ、単に外国籍選手が欲しいのではなくて、自分たちが成長できる、また下部組織の模範になる選手でなければ意味がありません。それで非常に長い間、探しながら、今回、縁があったという感じです。
――単純に清水和也選手の穴を埋めてという補強ではないんですね。
須賀 そうですね。もちろん和也はプロ選手だったので、そうした予算の部分はあります。ただ、和也が仮にいても、トライしたいポイントではありました。
――今日はいきなりパワープレーの守備にも組み込んでいました。中断期間を使って、Fリーグクラブとの試合を経験させられたのは、チームにも、彼にも良い経験になりましたね。
須賀 彼は日本のスピードに慣れが必要だと話していました。「やはり日本は速い。ブラジルはもっとゆっくりだ」と言っていました。それは良い意味だけではないかもしれませんが、日本人は非常に走るので、そうしたスピード感に慣れていく必要があると話していました。それでも、すごく早く順応していると思います。今日も自分たちの守備の映像を1時間ほど前に見てもらって、それをすぐ体現するような柔軟さももっていました。ある意味、すごくフィットしていけるのではないかと思っています。
――真面目そうですよね。
須賀 すごく真面目だと思います。そのミーティング中も、1時間ずっと集中して聞いていましたし、そういう部分はたけていると思います。
――彼が入ってすみだがどうなっていくか、面白そうですね。
須賀 うちのクラブも、ボラを獲得するときから、外国籍選手を取ることにトライはしています。外国人選手だから獲得しないのではなくて……。自分たちが育てた選手でやっていくこともすごく大事だと思いますが、まだまだクラブとしても成長過程です。左利きのピヴォの選手たちが下部組織にたくさんいましたが、お手本にするような選手がこれまではいなかった。逆に左利きのピヴォとどういうプレーをしたら、自分が生きるのかというイメージがわかなかった選手たちもいたかもしれません。でも、彼らが今日、ガリンシャのプレーを見て、そうしたイメージを持てたかもしれません。やはりいろいろな意味で、クラブが前進できなければ、いくら外国人選手が勝ち点を取ってきてくれても意味がないと僕は思っていたので。クラブを前進させてくれる選手に来てもらったという感じです。
――下部組織からも選手が上がってきていて、畠山勇気選手もどんどん慣れていますし、栗本博生選手も今日、キャプテンマークを巻いてプレーして、危険な場面で体を張っていました。中田秀人選手は中心選手になりつつあります。
須賀 そうですね。そういう意味では今年は苦しいシーズンですが、自分たちが目指すものは、すごく先にもあります。そのプロジェクトとして、しっかり冷静に判断していかなければいけません。たとえば、自分たちは下部組織を大事にしているから、即戦力や外国籍選手を取らないかといえば、そうではありません。でも、そういう選手だけになってしまったら意味がありません。そこはいかにクラブのアイデンティティを継承しながら、長いビジョンでやっていくのか。しっかりディスカションしながら進めているので、そこのバランスを考えながらやっていければ、結果も残せて、且つクラブとしても成長いけるのではないかと思いますね。
――以前、日本人選手で戦うことにこだわるっていう話もありましたよね? すみだはフィロソフィを変えたのでしょうか。
須賀 関東リーグから日本人だけでやっていくという形で、ずっとそれでやってきたので、Fリーグもそれでまずは戦おうと考えていました。外国籍選手が必要な状況に面したときに、初めて獲得する可能性が出てきます。
――パワープレーを導入したのと、同じような状況ですね。
須賀 そうですね。でも、自分たちの中で目の前の選手に向き合わずに、外国籍選手を連れてくればいいじゃないかという短絡的な考えはしたくないよねと。ただ、先ほど話したように、いろいろな意図で必要なところもあります。本当であれば、和也も今までのFリーグの選手ならずっとうちに残ってやっていく選手でした。でも、彼を海外に送り出した。彼に代わる選手をゼロから育てていくときにどうするのか。ある意味、そういう選手を積極的に送り出していくスタンスを崩さない中で、外国籍選手が必要になることもあると思います。クラブとしてステージが上がれば、いろいろなことをやっていかないといけないのかなというところです。
――すみだが掲げている『2028年のアジア制覇』という目標を考えると、やっていかないといけないことでしたね。
須賀 その通りですね。ある意味、フィロソフィが変わったかどうかは、見ている方の考え方次第です。それは僕らがどうこう言えることではありませんが、自分たちが本当に大事にしていることは絶対に大事にできていると思っているので、その中でしっかりやっていきたいと思います。
――わかりました。ここからプレーオフ進出に向けて、巻き返したいところですね。
須賀 そうですね。ある意味、今年は全員が「自分が活躍しないと勝てない」と、全員が思っていると思うんです。その状況が一番伸びる。やっぱり「誰かが活躍してくれるだろう」「俺は守備だけやっていればいい」と考えるのではなくて、「自分があのチャンスを決めなかったから勝てない。だからもっとゴールにかかわっていく」。やっぱりいろいろな状況で、自分が活躍しなきゃと思うマインドは、すごく大事だと思います。そういう期間は監督としては苦しいですが、選手としてはチャンスととらえてほしいと思いますし、野心をもってやってくれれば、今年っていうのは、振り返ったときに絶対によかったシーズンになると思っています。その中で、プレーオフにここから行けるように頑張っていきたいですね。

記事=futsalX

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