EXILE CUP 2023 中国大会を制した福山ローザス・セレソン [写真]=菓子谷 梨沙
株式会社LDH JAPANが主催する小学4年生~6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP 2023」の中国大会が7月30日、山口県山口市のきらら博記念公園富士商ドームで行われた。山口県での初開催となった中国大会には、地元の山口県から24チーム、広島県から7チーム、岡山県から4チーム、島根県から1チームの全36チームが参加。9月に愛媛県今治市で行われる決勝大会への切符を懸けて激戦を繰り広げた。
会場には山口県防府市の三田尻女子(現・誠英)高校出身で、現在はLDH JAPANに所属する元バレーボール女子日本代表の栗原恵さんが駆けつけ、開会式で子どもたちにエールを送った。開会式後には、EXILE TETSUYAさんが監修し、日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」でウォーミングアップを行い、熱戦の火蓋が切られた。
予選リーグは9つのブロックに分かれて実施。試合は前後半ランニングタイム7分で行われ、ドーム内にはボールを必死に追いかける選手たちと、我がチームに声援を送る保護者らの声が響きわたった。お昼過ぎまで行われた予選リーグでは、得失点差で順位が決まる激戦ブロックが複数あるなか、各ブロック1位の9チームと、2位の9チーム中上位7チームの計16チームが決勝トーナメントに勝ち上がった。
午後からの暑気と選手たちの熱気であふれるドーム内で、いよいよ決勝トーナメントが始まる。ここからは前後半RT5分の試合。1回戦では、予選を2位で勝ち上がったレノファ山口スクールシンバU12(山口市)とFCリベルターデ山口B(熊毛郡平生町)が対戦し、PK戦の末にFCリベルターデ山口Bが勝ち上がるという接戦もあった。
準々決勝では、予選リーグを3連勝で勝ち上がったチーム同士、バンブーFC U12(萩市)と福山ローザス・セレソン(福山市)が対戦。攻守が目まぐるしく入れ替わる中、前半に福山ローザス・セレソンが先制し、後半にバンブーFC U12が追いつくも、終了間際の決勝点で福山ローザス・セレソンが2-1で勝利。福山ローザス・セレソンはその勢いのまま準決勝で下関北SC(下関市)を1-0で下し、決勝戦に駒を進めた。
準決勝のもう1試合は、FCリベルターデ山口AとEDEVALD football labo(周南市)が対戦。開始すぐに先制したEDEVALD football laboがペースをつかみ、一時は2点をリードするが、FCリベルターデ山口Aも前半のうちに1点を返すと、後半に追いつく粘りを見せる。PK戦では先行のFCリベルターデ山口Aが2人連続で成功したのに対し、EDEVALD football laboは2人連続でGKにブロックされ、FCリベルターデ山口Aが決勝に進んだ。
決勝戦は前後半7分の試合。EXILEのBGMに合わせて両チームの選手が入場し、緊張感が漂う中でキックオフを迎える。お互いに勝ちたい気持ちを前面に出し、相手に自由を与えない引き締まった内容で試合が進むなか、FCリベルターデ山口Aが機先を制する。樋野正真君がキックインからのボールに素早く反応してシュートを決めると、後半の立ち上がりには渡辺悠斗君のゴールで2点をリード。しかし、苦しい展開を強いられた福山ローザス・セレソンの選手たちは、下を向くことなくここから怒涛の反撃を見せる。「これ以上は点を決めさせない。絶対にやらせないと気持ちだった」という若井章悟君が相手のボールを奪い、そのまま持ち上がってゴール前に送ると、「ここまで頑張ってくれた人がいたから、この試合は絶対に落とせないと思って頑張った」という村上大洋君がシュートをねじ込んで1点差。さらに終盤には永見浩希君がゴール前で右足を振り抜いて同点にし、2-2のまま3分間の延長戦に入った。
延長戦は、同点に追いついた勢いそのままに福山ローザス・セレソンがペースをつかみ、CKから村上君がこの試合2点目となるゴールを決めてついに逆転に成功する。追いつきたいFCリベルターデ山口Aは全員が前掛かりになって攻め込んだが、「相手のGKが前に出ているのが分かっていたので狙った」という福山ローザス・セレソン永見君が豪快なロングシュートを決めて勝負あり。頂点を競うにふさわしいハイレベルな大熱戦は4-2で決着した。
優勝した福山ローザス・セレソンの徳永将憲監督は、「決勝戦は2点のビハインドがある中で、1点取れば勝てるよという言葉を投げた。子どもたちが1点を取りに行くことにこだわった結果、勝利がついてきたのだと思う。子どもたちはこれから長くサッカーをやっていくと思うが、この経験を忘れないようにと伝えた」と試合を振り返った。また、チームのまとめ役の村上君は9月の決勝大会に向けて、「ビビらずに、自信を持って、声を出して頑張ってきたいと思います」と笑顔を見せた。
子どもたちの熱戦を最後まで見届けた栗原さんは、「やっぱりスポーツってすごくいいなとあらためて感じた。世界につながる選手が生まれる大会になってほしいのはもちろんあるが、スポーツを通じて交流や絆が生まれ、大人になってもそういう関係が続いて10年後、20年後にも語れるようになれば」と今大会を総括。また、悔しい思いをした子どもたちには、「私も競技生活では勝ちよりも負けのほうが多かったが、その負けから何を学ぶかで成長できたり、次の成功や勝利が生まれたりする。勝つことはもちろんうれしいが、負けた時に何をするかがすごく大事。今日感じたことはこの先に必ず生きてくるので、悔しさを忘れずにこれからもチャレンジしていってほしい」とエールを送った。
文=田辺 久豊 写真=菓子谷 梨沙
By サッカーキング編集部
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