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名古屋が今季初完封 復帰の宮川「胸が熱くなった」/F1リーグ第21節

2023.12.11

2得点を挙げた名古屋のギレルマオ(右) [写真]=SHOKO

 12月1日から3日の3日間、Fリーグ2023-2024 ディビジョン1 第21節が行われた。

 フウガドールすみだは、ホーム最終戦に2位の名古屋オーシャンズを迎えた。今季限りでの退任が発表されている北隅智宙監督、引退を表明した田口元気にとって最後のホームゲーム。これまでも名古屋相手に名勝負を繰り広げてきたすみだは、開始8秒で中田秀人がファーストシュートを放ち、清水誠也が名古屋所属の実弟・清水和也との迫力のあるマッチアップを見せるなど気合十分で試合に臨む。しかし3分、カウンターを受けた名古屋は安藤良平がスライディングでボールを奪い返すと、ダルランが巧みなヒールパスを送る。これを受けた清水(和)がシュートを突き刺し、名古屋が先制に成功した。その後も名古屋ペースで試合がつづくと、7分にはカウンターからギレルマオが追加点。しかし、2点を追うすみだがチャンスを作り始めると、名古屋のフエンテス監督がタイムアウトを取りペースを立て直す。13分には吉川が自陣から送ったロングボールをギレルマオが足元で溜めて時間を作り、後方から走り込んだ吉川にパスを出す。すみだGK岸将太もコースを読んでいたが、吉川のシュートがゴールネットを揺らしリードを広げた。

 第1ピリオドも残り少なくなると、名古屋ベンチでは宮川泰生に声がかかる。宮川はこの日がおよそ5カ月ぶりのメンバー登録。残り3分を切りピッチに立った宮川は、負傷による長期離脱の影響を感じさせないプレーを見せた。19分にはギレルマオがこの試合2点目となるゴールを決め、名古屋の4点リードで第1ピリオドを終えた。

 第2ピリオドでは巻き返しを図りたいすみだがチャンスを窺う。27分にはカウンターを仕掛けた北村弘樹がファウルを受け、FKを獲得。田口元気がロングシュートを直接ゴール前に蹴り込むが、名古屋GK篠田龍馬に阻まれる。さらに28分には田口の左CKに中田が合わせるが、これも篠田に阻まれた。32分には金澤空のアシストからギレルマオがシュートを放ちゴールネットを揺らす。ハットトリック達成かと思われたが、直前に金澤にハンドがあったとしてこれはノーゴールの判定を受ける。しかし、36分に吉川がダメ押しの5点目を挙げ、5-0で試合終了。名古屋はこの試合で今季初の完封勝利を収めた。

 最後のホームゲームを終えたすみだの北隅監督は「スコアは0-5だったが、自分たちの可能性を示せた部分も数多くあった。年間で2回しか(名古屋との試合が)できない中でどう対策するかは、自分の想像を超えてくる部分もあり不十分だったと思うが、選手たちは勝つために何をするべきか決断をしてくれた。選手たちもまだまだ成長していくし、自分も監督として大きな学びがあった試合だったので、次の湘南ベルマーレ戦で必ず勝ってまずはレギュラーシーズンを終えたい」と試合を振り返った。

 北隅監督は今季から指揮を執り、積極的に若手を起用。今季Fリーグデビューを果たした羽生恒平や入江悠斗がフットサル日本代表候補に初選出を受けるなど、成果も出始めている。世代交代や若手の起用を「監督の勇気」と表現する北隅監督はこの成果について「若手以外の選手たちもクラブのビジョンや未来に目を向けてくれたので、そういった選手の思いもこの成果につながっているのではないか。彼ら若手がこの先、評価を得たときに『この1年があったからだ』と思ってくれたらうれしい。自分がやってきたことは日本にとってもクラブにとっても大きな価値があると自信を持って言える」と手応えを実感している。一方で、第21節終了時点で11位という現状については「やはり育成と結果の同時進行は難しいとも感じている。残留も考えると、残りの試合では勝つための起用も考えていかなくてはいけない」と語った。

 スターティングメンバーで出場した清水誠也は「5失点はすべて自分たちのファーストセット。試合後に『ファーストセットで出ている意味や価値をもっと出していかないと、こうやってゲームが終わってしまう』と選手同士で話をした。今日は大きな失敗をしてしまったと思う。名古屋のような相手にどう勝つかと言えば、1点でも失点を減らしていくことしかない。守備を徹底しなくてはいけないし、一人ひとりがゴールに向かう意識を持たないとスコアは動かない。大きく課題の残った試合だった」と振り返った。前回対戦との差を問うと「隙がなくなった感覚。名古屋とはいえ集中が切れる時間や苦しい時間があり、前回は自分たちがそこを突いて得点を動かすことができた。今日はその時間が短く、すごい集中力を感じた」と答えた。

 今季初の完封勝利を収めた名古屋のフエンテス監督は「スコアだけではなく、それ以外でもエラーがとても少なく、コンプリートな試合ができた」と振り返る。2点リードで取得したタイムアウトでリズムを立て直したことも勝因のひとつとなり「勝たなくてはならない状況で、一人ひとりが責任を持ってプレーできた」。宮川の起用については「流れもスコアも自分たちのプラスになっている流れで使いたいと思っていた。3-0になってチームがいい感覚を取り戻してくれたし、彼もいい状態でプレーできると思ったのでピッチに送り出した。彼が戻ってきたことはすごくうれしい」と笑顔を見せた。

 主将の篠田龍馬は「ここからも負けられない試合が続いていく中で、チームとしてひとつ自信になったと思う。2-0になった時間帯で監督がタイムアウトを取ったが、あの時間帯はあまり良くなく、これまではそういったところで失点をしていた。監督を先頭に選手たちも試合の中でリスク管理をして戦い、僕自身はほとんど仕事もなかったし、フィールドの選手たちがしっかりゲームをコントロールしてくれた。(宮川)泰生も復帰し、出場はなかったもののアンドレシートもベンチにいて、これからの大事な試合に向けていい雰囲気で戦っていけるひとつの要因になった」と試合を振り返った。

5か月ぶりに試合に復帰した宮川泰生 [写真]=SHOKO

 この日が復帰戦となった宮川は、7月9日の試合で選手同士の接触により頭部外傷を負い、一時は意識不明に陥った。選手生命を脅かすほどの危機を乗り越えピッチに戻った感想を問うと「ピッチに入る瞬間も仲間からたくさん声をかけてもらい、胸が熱くなる感覚があった」と振り返る。名古屋だけでなく、すみだのサポーターも宮川の名前や「おかえり」のメッセージを掲げていたが「面識のない方たちも含め、みなさんがフットサルを大好きで心から応援してくれているということが伝わり、少し緊張していた中で心が温かくなった。とてもうれしかった」と笑顔を見せる。

 練習に復帰した当初の競り合いでは少し躊躇もあったという。しかし「少しずつ感覚を取り戻していけたし、このようなチーム状況で戦えない選手は使ってもらえないので怖さはない」ときっぱり。離脱していた時期にも日本代表の活動があり「少し焦りもあった」と話すが「ファイナルシーズンを含めた6試合と全日本フットサル選手権もあり、まだまだ食い込んでいけるチャンスがある。少しも諦めることはしないし、まずはチームのタイトルに貢献できるようにがんばっていきたい」と意気込みを語った。

 F1リーグは12月9日、10日のレギュラーシーズン最終節を終えると、12月22日から始まるファイナルシーズンでレギュラーシーズンの上位6チームが優勝を争う。

<Fリーグ2023-2024 ディビジョン1 第21節>
バルドラール浦安 3-0 湘南ベルマーレ
Y.S.C.C.横浜 1-3 しながわシティ
エスポラーダ北海道 2-4 ボルクバレット北九州
立川アスレティックFC 2-4 バサジィ大分
フウガドールすみだ 0-5 名古屋オーシャンズ
シュライカー大阪 0-3 ペスカドーラ町田

By サッカーキング編集部

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