2回戦で対戦したシュライカー大阪とヴォスクオーレ仙台 [写真]=SHOKO
2月24日、25日に各地で行われた第29回JFA全日本フットサル選手権大会は、2回戦までの全日程を終え、ベスト8に進出するチームが出そろった。
リーグ戦最終節まで名古屋オーシャンズとの優勝争いを演じたペスカドーラ町田は、大会初戦で東海地域第2代表の名古屋オーシャンズサテライトと対戦。先制を許すも逆転勝利を収めると、2回戦では東海地域第3代表のデレヤオーネフットサルクラブに7-1で勝利し、準々決勝進出を決めた。
Fリーグオーシャンカップ2023、Fリーグ2023-2024で優勝を収め、3冠を狙う名古屋オーシャンズは、初戦で関東地域第3代表のフェニックス横浜に5-1で勝利。2回戦では関東地域第2代表のゾット早稲田に7-1で快勝し、次戦で湘南ベルマーレと対戦する。
今大会を最後に5選手が退団することを発表したシュライカー大阪は、初戦で関西地域第3代表のFC大阪楽笑を完封。2回戦では、前週の入替戦でF1昇格を決め勢いに乗るヴォスクオーレ仙台と対戦した。2週連続で連戦に臨む仙台だったが、疲労の影響を感じさせずに格上の大阪に挑む。しかし、序盤から幾度となく仙台ゴールを脅かす大阪は9分、フリーキックを獲得すると加藤未渚実が強烈なシュートを突き刺し先制に成功した。1-0で迎えた第2ピリオドでも多くのチャンスを作り、GK樋口就大の好守にも助けられリードを保つ。34分には加藤翼のアシストから齋藤日向がシュートを突き刺し2点をリード。仙台がパワープレーを仕掛けた直後には、清水寛治がパワープレー返しを決める。3点リードのまま試合が終了し、2戦連続で完封勝利を収めた大阪が準々決勝進出を決めた。
大阪でフットサル選手としてのキャリアをスタートさせ、キャプテンを務める齋藤日向は退団が決まっている選手のひとり。試合後には「去年は1回戦敗退で、駒沢に行けるのは2年ぶりなのでホッとしている。リーグ戦を含めると11月から勝てていなかったので、この2試合、仲間と勝利を分かち合えたのはすごくうれしい」と笑顔を見せた。
1点リードの時間が続くなか、齋藤の追加点が仙台のパワープレーを引き出した。「今シーズンの大阪は、ディフェンスのチームを作り上げてきた。だから、自分たちにとって1-0はむしろ良い状態で、次の1点が遠いという雰囲気ではなかった。結果的には僕のゴールが相手のパワープレーを引き出したが、どの時間帯であれリードしていれば訪れることが多い局面なので準備はできていた。トータルで見て自分たちらしいゲームだった」と試合を振り返る。
「(退団の)リリースが出てからはちょっとずつ『あと少しなんだな』という気持ちが出てきた」としながらも「いい結果で終われば、いい思い出になる。寂しさよりもうれしさや喜びで退団したいし、今の仲間ならできると信じている。もちろん、全チームの中で1チームしか残せない最高の成績を目指す。一瞬一瞬、魂のこもった試合をすればそこに近づくと思うし、全員が手を取り合い、ひとつになって勝つというのが今の大阪のいいところ。熱く気持ちを出して、全チームの中の1チームになりたい」と意気込みを語った。
先制点を決めた加藤(未)は仙台について「入替戦も見ていたが、北海道と戦ってF1の球際やスピードに慣れているだろうと思っていた。疲れはあっても体はキレていると想定して試合に入った」と分析。先制点のシーンは「僕と(清水)寛治が後ろにいて、寛治が打つだろうと思っていたら『イン巻きのコースがありそうです』と言ってくれた。練習試合でも同じような場所から決めていたので、信頼して託してくれたと思う。そういうなかで、壁と壁の間のコースを決められてよかった」と振り返った。
退団する選手の中でも、齋藤とは一緒に住んでいた時期が長く「そういう選手が抜けてしまうのは寂しい」としながらも「本人の意思は尊重したいし、その後の選手人生も応援している。いろいろな思いが詰まった大会なので、多少痛いところがあったとしても、ひとつになって戦いたい。駒沢に行って一緒に戦えるというのはみんなにとってもうれしいこと。まだ新たなステージに進めるチャンスがあるので、気持ちを切り替えていきたい」と思いを語った。
立川アスレティックFCは、初戦で関西地域第2代表の大阪成蹊大学フットサル部に大差をつけて勝利。2回戦ではF2リーグ所属のボアルース長野と対戦した。開始わずか53秒、今季Fリーグ得点王の新井裕生が先制点を挙げるが、3分には米村尚也に突破力を発揮され試合が振り出しに戻る。予想外の乱打戦となった一戦は、GK檜山昇吾の35メートルを超えるロングスローに合わせた中村充のダイレクトボレーや南雲颯太の2度のパワープレー返しなどで得点を量産し、立川が8-4で勝利。前身の立川・府中アスレティックFCは第27回大会で初優勝を遂げており、新生・アスレとしての優勝を目指す立川が準々決勝に駒を進めた。
6月のリーグ戦でもキックインに合わせたジャンピングボレーを決めた中村は「あのときは決まっていたセットプレーの形から狙ったが、今回は特に決まった形ではなかった」とゴールシーンを振り返る。「相手が目線を切った瞬間に裏に走ったら、昇吾くん(檜山)が投げてくれた。相手も最初はクリアしようとしたと思うが、ボールの距離的にしないと分かり、GKの準備も早くはなかったので『じゃあ、入るんじゃないかな』って。得意と言えば得意な形ではあるが、いいボールがきたら当てるだけなので」と嗅覚の鋭さを感じさせた。
選手は「立川は守備のチーム」と口をそろえるが、8得点を挙げたものの4失点。「自分たちが甘くなってしまったところがすべての失点に出ている。比嘉監督に言われてきたことができずにリーグ戦を3位で終えているし、8-4というスコアは今シーズンを象徴したものになってしまった。比嘉監督の求めるレベルを出せれば失点はおのずと減るし、たとえ1-0であってもトーナメントでは勝てばいいとしっかり考え直せば、いい成績を収められると思う」と中村。比嘉監督にシューターとしての素質を見出され、得点源や攻撃のスイッチとしての役割がフィットして成長や結果につながった。その監督の退任も発表され、現体制で最後の大会となる。「優勝に向けて全員でがんばるのはもちろんだが、1年間戦ってきて応援してくれている人たちに、どれだけいいプレーを見せられるか。どう終えられるのかは自分たち次第。声援にしっかり応えられるようにしたい」と意気込みを語った。
2回戦で2得点を挙げた新井は「得点王になってからもやることは変わらない。来た球をゴールに決めるのが仕事であり、チームで大きく求められていること。この大会でも得点王を目指したいし、ひとつでも多く勝てるようにチームを救うゴールを決めるのが自分の責任」と振り返る。4失点については中村と同じく「今シーズンのチームを象徴している」と話し「準々決勝の大阪戦や、もっと上の行ったときにはやはり守備。守備から入ることを武器にしているチームなのでもう一度自分たちの原点に立ち返りたい」。監督退任については「比嘉監督の元で飛躍できた濃密な3年間だった。恩返しの思いを込めてひとつでも上に行きたいし、(立川・府中時代につづき)もう一度全日本で優勝するということは強く意識している」と意気込んだ。
フットサルの頂点を決める戦いは、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場に場所をうつす。準々決勝4試合は、3月1日(金)に行われる。
▼第29回全日本フットサル選手権大会 準々決勝
3月1日(金) 駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
11:00 名古屋オーシャンズ vs 湘南ベルマーレ
13:15 バサジィ大分 vs バルドラール浦安
15:30 ペスカドーラ町田 vs Y.S.C.C. 横浜
17:45 立川アスレティックFC vs シュライカー大阪
By サッカーキング編集部
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