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名古屋オーシャンズ、国内三冠達成! 5大会ぶり6度目の全日本選手権チャンピオン

2024.03.08

5大会ぶり6度目の優勝を遂げた名古屋オーシャンズ [写真]=SHOKO

 3月3日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で、第29回全日本フットサル選手権大会決勝が行われ、名古屋オーシャンズと立川アスレティックFCが対戦した。

 第27回大会と同カード(立川は当時、前身の立川・府中アスレティックFC)となった決勝戦。開始わずか9秒で甲斐稜人がファーストシュートを放った名古屋に対し、立川も酒井遼太郎、湯浅拓斗らがチャンスを作る。しかし2分、甲斐がプレッシャーをかけ奪ったボールをダルランが強烈に打ち込み名古屋が先制に成功。キックインの流れからの上村充哉のシュートやこぼれ球に詰めた新井裕生のシュートを立川が決めきれずにいると、11分には鬼塚祥慶がピンポイントで送ったパスをアンドレシートがゴールに突き刺し、リードが広がった。15分にはキックインに合わせた中村充のシュートがこぼれたところに湯浅が詰め立川が1点を返す。第1ピリオドは2-1と名古屋リードで折り返した。

 第2ピリオドでは名古屋がスタミナの差や勝負強さを見せる。26分、安藤良平のシュートを立川GK檜山昇吾がはじくと、後方から清水和也が飛び込み追加点。さらに28分にはダルランがカットしたボールを清水が右サイドから持ち込み、ゴール左隅に突き刺してリードを広げた。31分にアンドレシートのアシストから金澤空が5点目を挙げると、32分には立川のバックパスで得たFKからダルランがダメ押しの追加点。5点を追う立川がパワープレーを仕掛け、中村のゴールで1点を返したが、その後はスコア動かず6-2で試合終了。名古屋が5大会ぶり6度目の王座に輝き、MVPはダルランが受賞した。

 今大会をもって5シーズンにわたり指揮を執った名古屋を離れるフエンテス監督は、試合後の会見で「試合の入りがよく、先制点を取れてよかった。そこから落ち着いてプレーをすることができ、2点目を決めた。セットプレーから失点をしたのは、二つ目のアクションに対応がひとつ遅れたからだが、それでも顔を下げることなく継続して戦い、全員が大丈夫だと信じてプレーできた。パワープレーでも失点をしたが、残り時間もそこまでなかったので優位に試合を進めることができたし、1試合を通し優勝にふさわしいプレーができたと思う」と試合を振り返った。

 名古屋で過ごす最後のシーズン、オーシャンカップでは優勝を遂げたもののリーグ戦では苦しんだ。自力優勝の可能性が潰えた状況から逆転優勝をつかみ取って迎えた今大会。フエンテス監督自身が初の全日本タイトル獲得となり、見事三冠を達成した。「苦しんだからこそ、こういう結果になることは多い。勝者のメンタリティを持ちながら戦えたこその結果。今シーズンは世代交代の1年目であり、監督として挑戦の1年でもあった。外から見ると『名古屋だから勝った』と思われるかもしれないが、中から見るとまた違った見え方がある。背景には必ずみんなの努力があり、乗り越えないといけない問題もあった。うまくいったところも、そうじゃないところもあるが、それがスポーツのいいところだと思う。それでも戦わなくてはいけないし、勝ちにいかないといけない。望んだ形で終われてよかったと思う」と1年を振り返った。

 MVPを受賞したダルランも、今大会を最後にチームを去る。MVPを取って優勝することが目標だったと言い「どちらも達成できたのはとてもうれしい。最後に勝って、ずっと思い出に残るようないいイメージでブラジルに帰ることができる。日本で過ごした2年間は本当に最高だった」と笑顔を見せた。苦しんだシーズンは「本当に最悪の状態から、最後の最後で三冠を達成できた」と話し「5年ぶりの全日本のタイトルは本当にみんなに感謝しかない」と振り返った。

プレーヤーと通訳の”二刀流”をこなす鬼塚祥慶 [写真]=SHOKO

 通訳としての役割も務めながら決勝の2点目をアシストするなど、優勝に大きく貢献した鬼塚祥慶は「実感がないというか、うれしいはうれしいが、初めての経験で何が起こっているか正直あまり分かっていないような感じ」としながらも「シーズンの最後は常に緊張感のある試合だったので、こういった形で終われてホッとしている」と安堵の表情を見せた。めざましい活躍を見せたシーズンだったが、パワープレー返しのチャンスはFリーグ選抜同期の新井裕生に阻まれた。「やれた部分はすごく自信になったが、最後に裕生の頭に当てたようなシュートを打っているようではまだまだだと思う」と笑いを誘い「まだ伸びしろがあると感じる。苦しんだシーズンでチームも個人も成長し、絶対に今後に生きると思うが、生かせるかどうかは自分たち次第」と冷静さを見せた。

ゴールした仲間に駆け寄る田淵広史(右) [写真]=SHOKO

 GKの田淵広史は最後の砦としてチームを支え、優勝に大きく貢献した。同じくGKでキャプテンの篠田龍馬とポジションを争い、出場機会に恵まれない時期もあったが、今大会は5試合でフル出場。「達成感がある」と笑顔を見せた。GKチームとしてとても良い関係を築けていたといい、リーグ戦ではピッチに立つ篠田にベンチから田淵が声をかけ、全日本では篠田がベンチから声をかけてくれた。今大会を最後にチームを去る赤窄孝GKコーチから学んだことも多く、一番変わったことは「バタバタしないこと」。感情が表に出る田淵だが、チームを鼓舞するパフォーマンスは出しつつも、プレー面では落ち着きを得たのだという。短いオフ期間はサンパウロの実家に帰省する。コロナ禍やフットサル日本代表活動のタイミングと重なったこともあり、およそ4年ぶりの里帰り。「このタイトルをブラジルに届けたい」という思いも実り、充実したシーズンを終えた。

チーム最年長としてチームを支える安藤良平 [写真]=SHOKO

 チーム最年長の安藤良平は、昨年5月のオーシャンカップでMVPを受賞する活躍を見せ、幸先の良いシーズンのスタートを切った。しかし、その後チームは苦しみ「正直、眠れない日もあった」と本音をこぼす。「なんでこんなにうまくいかないんだろうという考えが生まれてしまって、それでもみんなが優勝することをあきらめなかったことで、奇跡のような大逆転優勝ができた。一人ひとりの取り組みが最後の最後で実を結んだと思う」と1年を振り返った。

 新たな戦力も加わり変化を見せたシーズンだったが、最年長として若手選手にどのような働きかけをしたかと問うと「声かけをするタイプではない。うまく伝える能力はないんで」と笑いを誘いながらも「僕自身が毎日、チームが優勝することを逆算しながら自分自身が成長するために過ごしているので、チーム内で良い連鎖が起きていけばいいかな、と思っている」と競技に対する日々の姿勢がチームに刺激を与えていることをうかがわせた。確かにこの日の試合後もかなりの時間をかけて入念なケアを行っていたが、トレーニングと試合の前後は1時間ほど、準備やケアに時間を割いているそうだ。準々決勝から3連戦、どれも厳しい戦いだったが、随所に安藤のプレースタイルとは異なる“らしくない”ループシュートやヒールパスも見えた。36歳になってもなお「(技術面も含め)成長したい欲はすごく強い」と話し「身体の調子もよく、3連戦を戦っても疲れを感じていない。どの試合も(相手が劣勢で仕掛ける)パワープレーに対して守備をしている試合終盤が一番元気。日ごろの取り組みが少しずつプレーにも表れてきていると思う」と、とどまることを知らない成長を感じさせた。

 シーズン最後の大会を終え、オフ期間を迎えたフットサル。今月末からはフットサル日本代表が、連覇を懸けたAFCフットサルアジアカップに向けた活動を始める。

【結果】
第29回全日本フットサル選手権大会 決勝
名古屋オーシャンズ 6-2 立川アスレティックFC

By サッカーキング編集部

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