EXILE CUP 2024 四国大会を制したgrand merry [写真]=宮田 雅生
小学校が夏休みに突入した最初の週末は、まさに夏本番という言葉がふさわしい天候。強く照りつける太陽と澄み渡った青空のもとで、子どもたちが躍動した。
去る7月21日、株式会社LDH JAPANが主催する小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP」の四国大会が、愛媛県今治市の今治市営スポーツパーク人工芝グラウンドで開催された。9月15日に行われる全国大会への出場権を懸け、四国4県から集った36チームが汗を振り絞って競い合った。
大会には株式会社LDH JAPANからEXILE ÜSAさんと橘ケンチさん(EXILE/EXILE THE SECOND)が応援に駆けつけ、夢を追いかける子どもたちに熱いエールを送った。
「今日は日頃の練習の成果を十分に発揮し、仲間と力を合わせて最高のプレーをたくさん見せてください」(EXILE ÜSAさん)
「勝っても負けても、相手チームをたたえ、チームメート、コーチやスタッフの皆さんにも感謝しながら、皆さんの成長につなげて欲しいと思います」(橘ケンチさん)
試合に先がけ、参加選手全員がEXILE TETSUYAさん監修のもと日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」でウォーミングアップ。笑顔を見せながらリラックスした様子で体をほぐすと、いよいよ各チームは真剣勝負のピッチへ向かった。
大会は4チームずつ9グループに分かれて総当たりの予選リーグを戦い、各グループ1位の9チームに加えて、各2位のチームから上位7チームが決勝トーナメントに進出。最終的にトーナメントを勝ち上がった優勝チームは、9月に愛媛県今治市のアシックス里山スタジアムで行われる決勝大会の舞台へと進む。
試合は予選リーグから白熱した。印象的だったのは技術や体格差、男女に関係なく、汗がほとばしる全力プレー。7分ハーフという限られた時間の中で、チャレンジを貫く姿だった。そんな中で、ひときわ目を引いたのはFC.LACOTORTE(今治市)でフィクソを務めた村上逢輝くんだ。個でボールを持てる選手を育成することに主眼を置くチームの中にあっても、足元の技術の高さ、判断力の的確さは際立っており、圧倒的な存在感を見せた。司令塔としてゲームをコントロールしながら、要所では個の力でゴールを量産。「自分が相手を引きつけ、空いている仲間にパスを出して、もう一度自分が受けてフィニッシュにつなげるところが良かった」(村上くん)と語るサッカー観は大人顔負けのものだった。
予選リーグ全54試合を終え、決勝トーナメントにはいずれも実力派ぞろいの16チームが勝ち上がった。ゴールが量産された予選リーグとは打って変わり、決勝トーナメントでは1点を争うノックアウト形式ならではの緊張感が漂い、攻守で激しく競り合う試合が相次いだ。接戦続きの試合を勝ち上がって準決勝へと進出したのは、いずれも予選リーグから全勝のまま駆け上がってきた4チームだ。
弓削サッカースポーツ少年団A(愛媛県越智郡上島町)は準決勝で、四国大会2連覇中の松茂スポーツ少年団リベルテSC(徳島県板野郡松茂町)に挑み、一進一退の攻防を繰り広げる。スコアレスで試合を折り返し、後半は互いに1点を奪う大接戦の末、勝負はPK戦へ。そこで気を吐いたのが、準々決勝でもPK戦を経験し、2本のPKを阻止したリベルテSCのゴレイロだった。5本目の相手PKを執念のシュートストップで防ぎ、チームを決勝の舞台へと導いた。
決勝戦に名乗りを挙げたもう1チームは、前回大会の準々決勝で涙を飲んでいたgrand merry(愛媛県松山市)だった。準決勝では、圧倒的な個の力を武器に快進撃を見せてきたFC.LACOTORTEに対し、grand merryが個と組織力を融合させて終始ゲームをコントロール。前半こそイーブンスコアで折り返したものの、相手の足が止まりかけた試合終盤に立て続けにゴールネットを揺らし、悲願へ一歩近づいた。
大会連覇中の試合巧者リベルテSCと、試合を重ねるごとに勢いを増すgrand merryとの決勝戦。キックオフとともに力強く主導権を握ったのはgrand merryだった。序盤からシュートがポストを叩くなど、複数の決定機を演出しながら敵陣に攻め入るgrand merryは、まさにここまでの戦いぶりを象徴するような勢いで難敵を圧倒していく。一方、守勢に回ったリベルテSCもここまで接戦をモノにしてきた粘り強さを発揮。苦しみながらも前半をスコアレスでしのぎ、「あと7分、楽しんで帰ろう!」というコーチの掛け声のもと、選手たちは後半に勝負をかけた。
後半に入って勢いを増したのはgrand merryだった。ゴール前の混戦から長谷輝斗くんが先制点を奪い、その1分後にも再び長谷くんのゴールでリベルテSCを突き放す。何とか追い付きたいリベルテSCは試合終盤に豪快なロングシュートで1点を返して意地を見せたものの、その直後に長谷くんがハットトリックを達成する3点目を奪い、勝敗は決した。
四国大会36チームの頂点に立ったのは、予選から決勝まで盤石の戦いぶりを見せたgrand merry。チームを指揮する武村和樹U-12監督は「選手たちが頑張ってくれました。戦術的な部分も含め、普段のトレーニングでやっていることがすべて出たことが一番。選手たちの表情を見て、成長を実感しました」と、全勝で駆け上がってきた選手たちを手放しで賞賛した。今大会で12ゴールを奪ったチームのエース、永易意晴くんは「チーム全員で初タイトルを取れるように頑張りました。タイトルが取れてとてもうれしいです」と笑みをこぼしつつ、「決勝大会も全員で協力して勝ちたいです」と次なる大きな目標に目を向けた。
試合後、表彰式のプレゼンターを務めたEXILE ÜSAさんと橘ケンチさんは、炎天下で熱いプレーを繰り広げた子どもたちの姿に感銘を受けたという。
「最後まで足を伸ばし、諦めない気持ちがすごくプレーにも表れていました。今大会が13回目になりますけど、この舞台が子どもたちの夢につながっていることをうれしく思います」(EXILE ÜSAさん)
「純粋にボールを追いかけ、チーム一丸となる姿はやっぱり美しいし、スポーツの可能性を感じます。大会を通じて、夢を追いかけることにどん欲な精神を養ってもらえたらうれしいですね」(橘ケンチさん)
夢の続きは9月15日。さらなるハイレベルな戦いが待ち受ける決勝大会の舞台が今から待ち遠しい。
文=松本 隆志 写真=宮田 雅生
By サッカーキング編集部
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