2得点に絡みながらもピヴォとしての責任を口にした名古屋の清水(左) [写真]=SHOKO
10月18日から20日の3日間にわたり、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第11節の6試合が行われた。
首位のバルドラール浦安がアウェーでバサジィ大分に勝利し、ここまで無敗のしながわシティがY.S.C.C.横浜との接戦を制して2位をキープするなど上位陣がそろって勝ち点を伸ばす中、3位のペスカドーラ町田は最下位のヴォスクオーレ仙台をホームに迎えた。
1300人を超える観客の後押しを受ける町田は、8分に山中翔斗のアシストからクレパウジ・ヴィニシウスが先制弾。16分には毛利元亮が10メートルを超えるミドルを決め追加点を挙げた。対する仙台は町田の守備に苦戦し、GK税田拓基のロングボール以外になかなか攻め手を作れない。終盤には森村孝志のキックインからチャンスを作るが押し込めず、逆に伊藤圭汰にゴールを許し、町田の3点リードで第1ピリオドを折り返した。
第2ピリオドでも町田がゲームを支配するが、スコアは動かず試合終盤へ。3点ビハインドの仙台は今井翔をGKに置きパワープレーを仕掛ける。しかし、町田はGK土岡優晟を中心に集中した守備を見せ、38分に野村の左CKからヴィニシウスがダイレクトボレーで追加点。さらにそのわずか30秒後には、雲切啓太が奪ったボールを毛利が前線に持ち込み自らゴールを挙げた。最後までパワープレーをつづけた仙台だったが、得点は生まれず5-0で試合終了。ホーム無敗の町田が3位をキープしている。
ディビジョン1昇格初年度でここまでリーグ戦全敗の仙台。清水誠監督は「引き分けでもいいので勝ち点がほしかった。そのための準備もしてきたので、前半はもう少しロースコアで進みたいと思っていた。後半では強度にも慣れ、ある程度コントロールしながら試合を進められたが、その分、前半がもったいなかった。今できることを少しそぎ落としながら、次に進んでいきたい」と試合を総括。平澤凌主将は「立ち上がりは押される展開だったが、それでも失点せずに試合を運べていたのに、警戒していたところでの失点してしまった。劣っていた部分が多かったのではないかと思う」と言葉少なに試合を振り返った。
仙台は25日に清水監督の解任を発表。後任を中島千博コーチが務めることが発表されている。
再開後、2試合連続で完封勝利を挙げている町田の甲斐修侍監督は「相手の状態や順位に目がいきがちなので、難しい試合になると想定していた。前節が終わったあとから口酸っぱく話してきて、全員が理解して緊張感を持って戦えたと思う。ただ、集中力も強度も高くスコアを重ねることもできたわりに、その後の決定的なチャンスを決めきれなかった。昨シーズン、苦しんだことを踏まえると反省すべき点。1点でも多く取ることや、失点が生まれる可能性があったシーンでの状況判断レベルを上げていかないといけない」と試合を振り返った。
現在の町田は、FP4人の組み合わせを3パターン組めるほどに選手層が厚い。長いシーズンを戦い抜くために3セットを準備しているのかと問うと「無理して3セットを組んでいるのではなく、メンバー外の選手も含め、誰が出てもおかしくないほど高い意識を持って取り組んでいる」と甲斐監督。「昨シーズンの終盤も伊藤圭汰がけがをして大きな影響が出たが、中村心之佑が穴を埋めるどころか安心できるほどの活躍をしてくれた。全員がそういった意識を持っているので、今後も全員で成長していきたい」と長いシーズンを戦う展望を語った。
監督からの信頼も厚く、第1ピリオド終盤のピンチを招いた時間帯に追加点を挙げる活躍を見せた伊藤圭汰主将は、自身のゴールを「タイミング的にはよかったと思う。これまで多くの得点を積み重ねるチームではなかったが、今日はそれができた」としながらも「もっとチャンスがあったので、精度高く、決めるところは決めないといけない」と課題を口にした。終了間際に試合を落とす経験も、勝利を手にする経験もしてきた伊藤は、全チームとの対戦を終え「これまで以上にもっと難しい試合がたくさんあると思うので、そういう試合で勝ち続けられるようにしていきたい」と悲願のリーグ優勝に向けた決意を語った。
絶対王者の名をほしいままにしてきた名古屋オーシャンズは、5月のオーシャンカップでは優勝を遂げたもののリーグ戦で苦戦している。第8節以降勝利から遠ざかっており、4試合ぶりの勝利を目指して立川アスレティックFCをホームに迎えた。序盤から「名古屋らしさ」を発揮し、7分には清水和也のアシストからアンドレシートが先制点。16分にはFKを獲得すると、アンドレシートのパスに清水が合わせ立川を突き放した。しかし、第1ピリオド残り54秒、カウンターを仕掛けた名古屋に対しボールを奪い返した立川が、上村の強烈なシュートで1点を返す。2-1で迎えた第2ピリオドでは、30分に鬼塚祥慶がボールを大きく前線に出したところを上村にカットされると、パスを受けた南雲颯太が同点弾を挙げる。残り5分を切り、吉川智貴をGKに置きパワープレーを仕掛けた名古屋だったが、追加点は生まれず2-2のまま試合終了。4試合ぶりの勝利とはならず、全チームとの対戦が一巡し5勝4分2敗で5位と、振るわぬ結果となった。
シーズン途中に監督に就任し、指揮を執って2試合目となった立川の饗場健監督は「先週につづいて重要な試合だった。勝ち点1は最低限の結果。今後優勝を狙うためにはこのあとの試合がより重要になってくるが、チームの戦い方に関してはポジティブにとらえている」と試合を振り返った。完山徹一主将は「両チームとも攻撃的でおもしろい試合だった。もっと点が入ってもおかしくなかったし、スピード感があり停滞した時間も少なかった。攻守においてレベルの高い競争ができたと思う。ただ、首位の浦安についていくためには勝ち点3が必要だったので、勝ち点1を取れたというより勝ち点2を落としたという印象。この先は上位チームに勝っていくことをしっかり見せていけるようにしたい」と二巡目への展望を語った。
2得点に絡み、得点源としての活躍が期待される清水和也は「自分は勝ち点3を手繰り寄せなくてはならない存在なのに、決定的な仕事ができていない」と責任を口にした。不調のシーズンにあっても個々の技術は高く、この試合でも「名古屋らしさ」を見せながらも勝ち切れない要因について問うと「調子のいい選手は、いいシュートでなくても入る。そういった「何かが乗る」というところまでいけていない。自信のある選手と対峙すると、何かしてくるという恐怖感があるが、今の名古屋がそれを相手に与えられているかというとそうではないと思う。2、3人でいかなきゃ守れないと思わせることによって隙間があいたりする。それをいかに自分たちで引き寄せられるか。ただ、リスクや試合の動かし方、クロージングも考えなくてはいけない。この苦しい流れを断ち切るには、きっかけを待つのではなく自分たちで取りにいく。死にもの狂いでやらなきゃ変わらないので、「まだあと一巡ある」ではダメだと思っている」と二巡目への覚悟を語った。
▼Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第11節 結果
ボルクバレット北九州 1-4 フウガドールすみだ
バサジィ大分 1-3 バルドラール浦安
ペスカドーラ町田 5-0 ヴォスクオーレ仙台
しながわシティ 3-2 Y.S.C.C.横浜
シュライカー大阪 1-2 湘南ベルマーレ
名古屋オーシャンズ 2-2 立川アスレティックFC
By サッカーキング編集部
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