先制点を挙げた名古屋の水谷(右)と主将の吉川(中央) [写真]=SHOKO
12月28日、29日の2日間、2024年最後のFリーグ2024-2025 ディビジョン1の試合が行われた。
勝ち点40で2位のしながわシティは、5位の立川アスレティックFCをホームに迎えた。
4分、GK黒本ギレルメを起点に攻撃を組み立てカイオが先制点を奪うが、10分にキックインの流れから上村充哉に同点弾を許すと、30秒足らずで皆本晃にカウンターから逆転ゴールを奪われる。しかし、第1ピリオドのうちにリードを奪うと、3-2で迎えた第2ピリオドで得点を重ねた。立川のパワープレーもチャンスに変え、パワープレー返しで追加点。6-2で勝利し、勝ち点を伸ばした。
初優勝を目指すシーズン、しながわは12月に入り2022-2023シーズンに在籍していたチアゴ・セウバックの獲得を発表した。2016-2017シーズンには当時所属していたシュライカー大阪でリーグ優勝を経験しており、プレーのみならずその経験をチームに還元していくことも期待される。
そのチアゴは、第19節で初出場を果たすと早速得点をアシスト。今節では「膝の痛みがありプレーを抑えた」としながらも、ヘディングで復帰後初ゴールをマークした。
比嘉リカルド監督もチアゴがチームに与える影響について「経験ももちろんだし、技術の面でも決定力が高く、試合を読むことができる。若い選手の見本になれると思う」と期待を寄せる。
試合後のチアゴに話を聞くと「オファーを受けたときはとてもうれしかった。日本は自分のホームのように思っているので、海外に来た感覚ではなく、帰ってきたという気持ち」と笑顔を見せた。自身の経験をどのように還元していきたいかを問うと「優勝を経験したことのないクラブにとって、その挑戦は難しいもの。特にピッチ外の働きかけが大切だと思う。選手、スタッフとの信頼関係があるからこそ、お互いに指摘し合い、支え合うことができる。誰かが悩んでいることは、私が経験してきたことかもしれない。そうやって役に立てればいいと思っている」とベテランの風格を見せた。
悲願のリーグ優勝を目指す首位のバルドラール浦安は、アウェイで名古屋オーシャンズと対戦した。名古屋は第19節終了時点で勝ち点38の3位。浦安とは9ポイント差がついており、8連覇を狙う上で絶対に勝たなくてはならない試合だった。
試合は序盤に動きを見せる。3分、後方の吉川智貴からパスを受けた水谷颯真が自らシュートを放ち先制に成功。つづく4分には吉川の右CKに清水和也が合わせて追加点を奪った。2-0で第2ピリオドを迎えると、浦安はGKピレス・イゴールを上げた攻撃でチャンスを作る。しかし1点が遠く、残り2分半を切ったところでシュート力もあるGKの成田宇弘を投入。2-0のまま時間が経過し、残り1秒、名古屋の6つ目のファウルで第2PKを獲得する。本石猛裕がシュートを放つも、名古屋GK田淵広史これを防ぎ試合終了。名古屋が2-0で勝利を収め、3試合ぶりに白星を獲得した。
2点を追う展開でロドリゴとレアンドロを同時に起用し、攻撃に厚みを出したかった浦安だが、レアンドロが負傷交代。プランの変更を余儀なくされた。浦安を率いる小宮山友祐監督にどのような策を講じたかと問うと「ひとつはGK攻撃で押し込んで相手コートでプレーをすること。名古屋にほとんどシュートを打たれなかったし、今日であれば吉田(圭吾)などは非常にアグレッシブにシュートまでいってくれた。名古屋はパワープレーの守備がうまいので、GKを上げた形での定位置攻撃で活路を見いだせたらと思っていた」。
この試合がFリーグデビューとなったGK成田の起用については「名古屋との対戦が今日で最後なら(FPを使った)パワープレーをしたかもしれないが、ファイナルシーズンでもう一度対戦する中で見せる必要があるか、修正力の高いチームに情報を与えるかどうかというところ。成田は足元がFP並みにうまいので、1点を取れる自信はあった。通常のパワープレーとGKを上げての攻撃では守り方が違うので、成田に対する警戒は薄くなると思ったし、薄くなるのであれば彼はシュート力がある。寄せてこなければ打てると考えたが、やはり相手はさすが。しっかり寄せてきていた。あとちょっとの部分だったと思う」と悔しさを語った。
「まだ首位にはいるが、シンプルに目の前の試合に負けたことが悔しい」と話す主将の石田健太郎に、この敗戦から学ぶ部分を問うと「攻めているからといって勝てるわけではないのが最近のFリーグ。自分たちのスタイルは変えずにいきたいが、相手によって変えなくてはいけないシーンは出てくると思うので、選手としてのクオリティを今シーズンの残り7試合のうちにもうひとつレベルアップできたら」と、初優勝に向けての意気込みを見せた。
名古屋を率いるイマノル監督は「まずは先制点を取ることができてよかった。より良いプレーができ、しっかりと戦った。今まで見られていなかった部分が、その戦うといったところで見られたと思う。それが結果につながった」と試合を総括。
主将の吉川智貴は「今日負けたら本当に終わりだったので、首の皮一枚つながった。いいゲームができたとは思っていないが、勝ち点3を取ることが大事だったのでそのためにしっかり戦えたと思う。ただ、状況は変わっていないので今日の試合での戦う気持ちや姿勢を最低限にしてプレーをしていかなくてはならない」と厳しい表情を見せる。
3点差から追いつかれた前節の立川アスレティックFC戦後には「切り替えるより受け入れるしかない」と話していた吉川。重要な一戦に向けどのような一週間を過ごし、どのような気持ちで臨んだのか。「正直、一週間いい雰囲気で練習ができていたかというとそうではなかったと思うし、ただそういうものも必要だと思っている。常にいい雰囲気でいる必要もないし、試合でも苦しい状況は出てくるので、練習でもピリつくような部分も必要だと自分は思っている。今週は練習でそういう部分が出ていた。今日、全員が集まったときの顔色や雰囲気を見て、いい入りさえできればひとつになれるという感覚があった。ただ、これが最低限なので」と、最低限の出来であることを強調した。
第20節「湘南ベルマーレ対ヴォスクオーレ仙台」は、1月5日に開催される。
▼Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第20節 結果
バサジィ大分 1-4 ペスカドーラ町田
ボルクバレット北九州 6-5 Y.S.C.C.横浜
しながわシティ 6-2 立川アスレティックFC
シュライカー大阪 2-1 フウガドールすみだ
名古屋オーシャンズ 2-0 バルドラール浦安
湘南ベルマーレ 6-3 ヴォスクオーレ仙台 ※1月5日開催
By サッカーキング編集部
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