レギュラーシーズン首位で初優勝を目指す浦安 [写真]=SHOKO
1月18日から20日の3日間にわたり、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第22節の6試合が行われた。
立川アスレティックFCは、ホーム最終戦でボルクバレット北九州と対戦。相手GKが上がった隙を突き、開始わずか15秒で上村充哉が先制弾を突き刺す。9分には大澤将士が追加点を挙げ、2-0で第1ピリオドを終えた。第2ピリオドでは北九州が攻めの姿勢を見せ、クシヤマ・イザケが放ったシュートがポストを叩くと、これを星野祐作が押し込み1点を返す。2-1の状況が続く中、終了間際に皆本晃がダメ押しの1点を挙げ立川が3-1で勝利。来季の新たな取り組みに向けクラウドファンディングを開始した立川にとって、ホーム最終戦での勝利がプロジェクトを後押しする形となった。
敗れた北九州は、今週末から全チームが一堂に介して戦うファイナルシーズンの北九州ラウンドをホームタウンで行う。北九州市内の全小学校にチラシを配布するなど、集客施策に積極的だ。今季限りでの退任を発表している中嶋孝行監督、主将の安嶋健至に残るシーズンでどのような姿を見せたいかと問うと「“ボルクらしさ”は抽象的な言葉ではあるが、自分たちのマインドの強さを全面に出し、あきらめない姿やフットサルをリスペクトする姿勢、一人ひとりのいいものがピッチ上で重なり合うような展開だと思っている。そういった試合を見た人が勇気づけられ、フットサルと地域と社会がつながるような部分を見せたい」と中嶋監督。安嶋主将は「ボルクは一体感が売り。自然とワンプレー、ワンプレーに気持ちが入っているので、ぜひウォーミングアップからそういった姿を見てほしい。あとは勝たなくては話にならないので、勝利を届けたい。100万人都市で可能性のある北九州にフットサルが根づくよう、熱い試合をする」と躍動を誓った。
立川はレギュラーシーズンを5位でフィニッシュ。これから迎えるファイナルシーズンでどのような部分を突き詰めたいかを問うと「ゲームコントロールはまだまだうまくやらなくてはいけない。これから上位との試合が続くので、準備してきたことをしっかり出し、リズムを自分たちのものにしていくことが重要」と饗場健監督。上村充哉主将は「今シーズンから体制が変わり、オフェンスを強化してきた。プレスがかかったとしても、ボールを保持できるようにならないといけないと思っている」と課題を語った。
ペスカドーラ町田は、ホーム最終戦に2107名が詰めかけ、今季最多入場者数をマークした。しかし、フウガドールすみだとの東京ダービーではファールトラブルやすみだの粘り強さに苦しむ。15分、すみだが左CKを獲得し、栗本博生のパスに星龍太がダイレクトで合わせると、これがオウンゴールを招きリードを奪われた。0-1で折り返した第2ピリオドでは序盤から攻勢に出る町田。25分にカウンターから毛利元亮が同点弾を挙げるが、29分に退場者を出し、数的不利の状態ですみだに得点を許す。2点を追う町田は4分強を残してパワープレーを仕掛けるが、パワープレー返しを浴びリードが広がった。3度与えた第2PKはすべてGKビゴージが防ぐも、1-3で試合終了。悲願の初優勝を目指す中、ファイナルシーズンに向けて痛い敗戦となった。
デザインされたセットプレーが先制点を演出し、その後のチャンスも逃さずに得点につなげたすみだ。今季からチームを率いる岡山孝介監督は「CKは練習していた形ではないが、前回の対戦でセットプレーから中田秀人が得点を挙げているので(中田が動くと)相手がつられると思った。ボレーを打てるスペースが空いたところを狙った」と、先制シーンを振り返る。第2ピリオドでは攻められる局面もあったが「ボールは持たれたが、一方的に攻められている印象はなかったので取れると信じていた」と選手たちへの信頼をのぞかせた。
敗れた町田の甲斐修侍監督は「このタイミングで負けることが何を意味するのか、選手たち、コーチ陣も分かって臨んだゲームだったので非常に残念。準備してきたことや今季のコンセプトは高いレベルで表現できていたが、フィニッシュの精度がなかなか伴わず難しいゲームになった」と試合を総括。その上で、これまでも再三課題として挙げてきたジャッジについて「相手チームの脅威や自分たちの不甲斐なさだけで片づけられないような、勝利を手繰り寄せられない流れになるジャッジがあまりにも多かった。こういう場で発信しない限り、改善に向かう可能性はないと思っているので、声を大にして言いたい」と苦言を呈した。
前節、レギュラーシーズンでの1位が確定したバルドラール浦安は、Y.S.C.C.横浜をホームに迎えた。初優勝を狙う浦安は序盤からペースを握ると、5分にはGKピレス・イゴールのロングフィードに長坂拓海が頭で合わせ先制に成功する。11分にはセットプレーから石田健太郎が追加点。さらにロドリゴも得点をマークし、3-0で第1ピリオドを終えた。YS横浜は、GKを矢沢大夢から足元の技術に定評のある井戸孔晟にスイッチするなど、得点の機会を窺うが、浦安の守備を崩すことができない。得点を重ねた浦安がそのまま試合をクローズするかに見えた残り6秒、小宮山友祐監督がタイムアウトを取得。これが奏功し、ロドリゴのキックインがオウンゴールを誘発してダメ押しの追加点を奪った。7-2で試合を終えた浦安は、中3日で始まるファイナルシーズンに弾みをつけている。
敗れた横浜の稲葉洸太郎監督は「勝つ気で臨んだが、首位の浦安に対して“しっかり負けた”という印象。個で対峙した上でのサポートや戦術になかなかたどり着けなかった。この強度を体で覚えて常に練習から向き合うことを教訓にしたい」と試合を振り返る。ライセンス制度の変更もあり今季限りでの退任を発表しているが「成績の部分や、自分のチームマネジメントも要因」と話し「ライセンス制度は日本フットサルの発展に必要なことであり、変革の時期と自分の状況がたまたま合ってしまっただけ」と稲葉監督。ファイナルシーズンでは下位リーグに属し、まずは2試合を戦うが「もちろん全部勝つつもりで臨む。出場停止や負傷で相変わらず苦しい状況だが、2試合を乗り切れるだけの戦い方を考え、心と身体の両方を全員で合わせていきたい」と意気込みを語った。
クラブ史上で初めてレギュラーシーズンを首位で終え、悲願の初優勝を狙う浦安は、スターティング5に空涼介を入れ、FP全員をピッチに立たせるなど、選手起用で変化を見せた。小宮山友祐監督はスタメンについて「守備から入り相手の出方やバランスを見るために、ボールを保持できる空を起用した」と話し、途中出場のアサノ竜也や外林綾吾を「限られた出場時間でもファイナルシーズンで安定したプレーをするために、こちらからの要求にしっかり応えてくれえた」と評価。残り6秒でのタイムアウトは「得失点差を考えたら1点でも積み重ねたかった」とし、得点のきっかけとなったロドリゴに「彼は止められない選手。ロドリゴにマークが集まることで、他の選手も生きてくる」と信頼を寄せた。
小宮山監督も今季限りでの退任を発表しているが、現役時代から18年間通い続けたホームアリーナでの最後の試合を終え「ここは特別な場所。もうホームゲームを戦うことはないと思うと、寂しさや感慨深さがある」と話し「監督生活の最後に素晴らしい選手たちと一緒に戦うことができ、本当にしあわせだと思う。だからこそチームを優勝に導きたい」と決意を語った。
【Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第22節 結果】
立川アスレティックFC 3-1 ボルクバレット北九州
バサジィ大分 5-5 ヴォスクオーレ仙台
名古屋オーシャンズ 3-1 シュライカー大阪
ペスカドーラ町田 1-3 フウガドールすみだ
しながわシティ 6-3 湘南ベルマーレ
バルドラール浦安 7-2 Y.S.C.C.横浜
By サッカーキング編集部
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