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ハイレベルな戦い、大津の優勝で幕を閉じる…和倉ユース大会総括

2015.08.14

文・写真=安藤隆人

 大津の優勝で幕を閉じた和倉ユースサッカーフェスティバル。大津とFC東京U-18の決勝戦は、最終日レポートでも書いたが、決勝にふさわしい、非常にハイレベルな1点を争う攻防戦だった。

 優勝した大津、準優勝したFC東京U-18、そして3位となった帝京、4位習志野、そして前橋育英、東京ヴェルディユース、四日市中央工、履正社……上位に食いこんだチームは、いずれも大きな悔しさを抱えて、この大会に臨んでいた。

 大津はインターハイにおいて、優勝候補と目されながらも、3回戦でベスト4まで勝ちあがった関東第一の前に、後半だけで3失点し、1-4で敗れた。

「あの負けから、また全員の意識が変わった。あの試合、最初から全然走れず、相手の好きなようにやられてしまった。後半も動けないまま、すべて悪循環に陥ってしまった。今大会はこの反省を活かして、最後までどの試合も走りきることを意識させた」

 古賀監督がこう語ったように、今大会の大津の全体の運動量は非常に目を見張るものがあった。前線からのハイプレスだけでなく、セカンドボールの競りあいは、チーム全体の意識の高さを証明していた。何よりFW一美和成、DF野田裕喜の2枚看板がいない中で、ボランチの河原創、1トップに入ったFW原岡翼、DF眞鍋旭輝、GK中村圭佑らが急成長。

「2人がいない分、いろんなことを想定してやらないといけなかったので、走りきること以外でも、個人戦術を徹底してやりました。その中で2人がいない中での優勝は自信になった。選手個々のメンタル面が大きく成長した。例えば原岡は、インターハイで不甲斐ない出来だったのですが、今大会は1トップでしっかり時間を作って、タメを作ってくれた。秋永蓮斗はインターハイで成長して、いい状態で今大会に入ってくれたし、杉山直宏も成長した」(古賀監督)

 インターハイの苦しみが、いい薬となって和倉の地で花開く。「一美と野田が戻ってきたら、和倉組がつかんだ自信とうまく融合させて、選手権予選、プリンスリーグに臨みたい」(古賀監督)。王者は早くも次を見据えていた。

 FC東京U-18もクラブユース選手権のラウンド16で、名古屋U18に0-5で敗れた。「準々決勝以降を想定しすぎてしまった。あの負けは悔しい思いしかない。だからこそ、和倉でしっかり戦わないと、成長しない」と佐藤一樹監督が大会前に言っていたように、今大会はほぼメンバーを固定して、チームとしてのさらなる成熟を図った。1トップの佐藤亮、生地慶充と大熊健太のツーシャドーを軸に繰りだす攻撃は破壊力満点で、小山拓哉、岡崎、柳貴博のスリーバックも積極的な守備で、強力攻撃陣を支えた。最近はサブに回ることが多かったGK山口康平が、安定したセーブを披露。東京ヴェルディユースとの準々決勝ではPKをドンピシャの読みでストップするなど、2年連続のファイナリストに大きく貢献した。

「名古屋戦を受けて、一人ひとりがサッカーに向かう姿勢の甘さを痛感した。今大会は激しいハイレベルな連戦の中で、選手たちが逃げずに最後まで戦う姿勢を持ち続けてくれた事が収穫だった」。準優勝に終わったが、大津同様に悔しさから大きな成長を手にして、和倉の地を後にした。

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