得点王を狙う青森山田FW鳴海彰人(中央奥) [写真]=瀬藤尚美
“ゴールはFWの役割”。こだわりを持つストライカーが、夏冬連続得点王へギアを上げてきた。1月3日に行われた第95回全国高校サッカー選手権大会で、青森山田(青森)は聖和学園(宮城)に5-0で快勝。昨年度大会2回戦の雪辱を狙うドリブル軍団を1年前と同じスコアで返り討ちにした。
5得点のうち、2得点を決めたのがエースストライカーのFW鳴海彰人だ。鳴海は1年前の聖和学園戦でも先発して4点目を決めている。この日は連戦の影響で「疲労もあった」。26分に放ったヘディングシュートがクロスバーを叩いて外れるなどチャンスを生かせずにいた鳴海だが、32分にMF高橋壱晟、35分にMF嵯峨理久がゴールを決めたことで得点意欲に火がついていた。
「自分以外の人が点を取ったら、ストライカーとして取らないと恥ずかしいので、先に誰かが取ったら次は自分だと狙っていましたね」。その言葉通りに貪欲にゴールを目指したFWは前半アディショナルタイム、高橋が出したグラウンダーのクロスにファーサイドで反応。右足でゴールへ流しこむ。
「ほぼほぼ、ごっつぁんなんで。エブス(三国スティビアエブス)がニアの選手と潰れてくれたおかげで、自分がフリーでいられた。あれはエブスに感謝」という一撃でこの日1点目を奪った鳴海はさらに48分、ペナルティエリアでMF郷家友太が競ったこぼれ球を拾い、難なく右隅へ決めて2点目を奪った。
その前線で見せる推進力と運動量の多さ、得点感覚の高さは青森山田にとって欠かせない武器だ。例え可能性の高くないようなフィフティボールでも鳴海は一瞬のキレと強さで競り合いを制してマイボールにしてしまう。それは強豪校相手でも、Jクラブユース勢相手でも同じ。そしてインターハイで7得点を挙げて得点王に輝いたFWは今大会でも初戦の1得点とこの日の2発で得点ランキング首位タイに浮上している。
「個人的にも夏冬2冠を目指しているんですけど、一番いい形は自分が得点を取ってチームを助けられれば。なおかつ自分が得点王を狙っていますね」。FWとしての得点へのこだわり、そして実力も兼ね備える注目ストライカー。ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)を真似たゴールパフォーマンスにも注目の鳴海がこのまま得点王争いをリードしていけば、青森山田も間違いなく初の選手権制覇に近づいているはずだ。
文=吉田太郎
By 吉田太郎