4得点で立正大淞南が初戦を突破 [写真]=兼子愼一郎
取材・文=森田将義(提供:ストライカーデラックス編集部)
開始早々の先制点を皮切りに4得点。守備でも相手に見せ場を与えず、無失点。南健司監督が「今日の試合内容は良かった。持ち味であるバイタルエリアから、(相手DF)背後への攻撃を繰り返せたのが勝因だと思います」と口にしたように、立正大淞南が充実した内容で、選手権初戦を難なく突破した。
満点とも言えるゲーム運びができた要因の一つが、従来の4-1-3-2とは違うシステムにある。対戦相手の岐阜工は昨年と今年に2度対戦。いずれも黒星を喫したが、手の内はよく分かっている。「7番(羽鳥大貴)のスピードを警戒していたので、彼に守備をさせるために左サイドから(攻撃を)発進したかった」(南監督)ために、本来なら2トップの一角に入るエースの藤井奨也を左MFに入れ、4-1-4-1のシステムで試合に挑んだ。
試合早々に羽鳥に決定機を与えたが、豊田純平のビッグセーブでピンチを防ぐと、そこから立正大淞南は落ち着いた試合運びを披露した。藤井もいつもとは違うポジションながらも、「前半、左に開いていて、相手のマークが甘かったので、開いてから一気に中に入る動きをすれば、相手を破れると思った」と与えられた役割をしっかりと全う。左サイドから中央への動きを繰り返し、相手に守備の時間を増やすことで、攻撃されるスキを与えない。すると、前半9分には石橋克之を起点に、立正大淞南がコンビネーションでの崩しで相手ゴール前を突破。こぼれたところを藤井が押し込んだ。23分にも代名詞である中央突破でゴール前に進入し、鶴野怜樹が2点目をマーク。前半終了間際の39分にも、藤井が勝利を決定づけるPKを決めた。後半8分にも鶴野が加点し、4-0で試合を終えた。
立正大淞南らしさを存分に出し切っての勝利だが、チームに浮かれた様子は見られない。指揮官が「うまく行きすぎたことは生徒も認識している。たまたまうちがうまい具合に点が取れただけで逆の展開もあり得た。次の試合は那覇西のポゼッションのうまさとすり抜けの速さで押し込まれると思うので、粘り強く守れるか守備が破綻するかどっちかだと思う」と引き締めたように、視線はすでに次の試合に向いていた。