原田悠翔は流経大柏との一戦へ闘志を燃やしている [写真]=兼子愼一郎
取材・文=竹中玲央奈(提供:ストライカーデラックス編集部)
終了間際の80分に生まれた同点ゴールの勢いそのままにPK戦を制した秋田商業の背番号10を背負うのは、なんと1年生だ。180センチの長身に加え柔らかなボールさばきと、ゴールへ直結するパスを配給できる原田悠翔は、自身の価値を高める一戦として流通経済大柏と対峙する準々決勝を楽しみに待つ。
「秋田を離れて県外に行こうかなとも考えていたのですけど、選手権に出られるのはどこかと考えたら秋商だと。練習がきついと聞いていましたけど、選手権に出るためだったらきつい練習をして出たいと思ったので選びました」と同校への進学理由を語ったが、本人としてもまさか入学初年度からエースナンバーを任されるとは思いにもよらなかったようだ。
「最初は(プレッシャーが)ありましたけど、先輩たちが思い切ってやっていいと。自分は先輩たちの言う通り、気にしないように自分のプレーをしようと思いました。(10番は)伝統の番号なので。ただ、試合に出たら背番号は関係ない。自分のプレーをすれば周りもそれについてきてくれるので、自分がもっとゲームを組み立てられるようなプレーヤーにならなければいけない」
10番を授けられたことが逆に自身の力になったようで、ピッチでも1年生とは思えぬ落ち着きを持って堂々とプレーする。上述したように特徴はオン・ザ・ボールのときに発揮される。しかし、本人は「個人的には走るのは得意」というのだからなおさら頼もしい。
14年ぶりの初戦突破を果たしてから強豪校を倒していき、ベスト8では昨年度の準優勝校である流通経済大柏と対戦する。一筋縄ではいかないし、厳しい戦いになることは自明だ。ただその一方、そういった強豪校との一戦で活躍をすれば自身の価値が高まることも把握済みだ。
「自分の小さいころからの夢はプロサッカー選手で、それを叶えるためにはこの舞台で輝くしかない。相手が(Jクラブ)内定選手だったりして、全員うまい選手。そこで自分のプレーができれば、自分にも道が開けてくる」
期待の1年生は“打倒流経”に向け、強い闘志を燃やしている。