熊澤和希の活躍で流経大柏が2大会連続の決勝進出を果たした [写真]=瀬藤尚美
取材・文=森田将義(提供:ストライカーデラックス編集部)
名門校の10番を背負う熊澤和希の実力は伊達ではない。圧巻の1ゴール1アシストを記録し、流通経済大柏を2年連続での決勝に導いた。これまでは左MFとしてプレーを続けてきたが、瀬戸内との準決勝では前からの守備を徹底するため、ダブルボランチの一角としてプレー。パートナーを組む藤井海和が後方を担当するのに対し、熊澤はトップ下に近いポジションをとり、FWがかけたプレスのこぼれ球を狙った。
普段とは違う位置ではあるが、「今までどおりプレーすれば、結果も出ると思うし、チームの結果も出ると思っていた」(熊澤)。いい意味で普段どおりのプレーに徹すると、最初に見せ場が訪れたのは4分だった。相手のペナルティーリア前でボールを受けた熊澤がDF裏のスペースにスルーパスを展開すると、左から走り込んだ岡本竜が決めて先制した。以降も熊澤は中盤で起点となりつつ、武器である強肩を生かしたロングスローでも好機を演出した。
引き立て役だけに留まらず、54分には自身もフィニッシャーとして魅せる。後方から前線に浮き球が入ると、熊澤は相手のクリアボールにいち早く反応。ジャンプしながら、うまくコントロールしたボールをそのまま地面に落とさず、左足でたたき込んだ。
「いいファーストタッチができたのが、シュートにつながった。あとはシュートを打つだけだった」。2点を生み出した熊澤は、3回戦の星稜戦で警告を受けていたため、決勝戦に備えて58分にピッチを退いたが、チームへの貢献度は誰よりも高かったのは間違いない。
日本一まであと1つに迫ったが、決勝で勝たなければ意味がない。昨年も決勝のピッチに立ったものの、シュートは1本も打てず後半開始すぐに交代した。
「昨年は何もできなかったので、明後日の決勝戦で自分のプレーを発揮し、チームの勝利に貢献したい」
今年、プレミアリーグの舞台で2度対戦しながら、1度も勝てていない青森山田が決勝の相手だが、「高体連に負けちゃいけない意識を流通経済大柏は持っている。プレミアで負けている分、選手権で返したい」と話す彼にとっては好都合だ。
「相手のストロングポイントを消せれば、自分たちのストロングポイントが出せると思うので、まずは守備を意識したい」と続けたように、これまでどおり守備を徹底しながら、自分らしさをぶつけるつもりだ。