U-20日本代表FW西川潤を擁する桐光学園が昨年のリベンジに挑む [写真]=吉田太郎
「チームを作るのが難しくて……、西川がいないリーグ戦の戦い方と一発トーナメントで西川ありきの戦い方と、周りの方たちは『巨大な戦力が帰ってきている』と思われるかもしれませんが、コンディション、戦い方、西川自身も帳尻を合わせるのが簡単ではなかった」
桐光学園の鈴木勝大監督はインターハイ予選突破後、今シーズンの難しさを口にしていた。チームの大黒柱は今年の高校サッカー界の“顔”とも言える存在のFW西川潤主将(3年)だ。昨年のインターハイでは5人抜きのスーパーゴールやハットトリック、3戦連発を記録し、チームの準優勝に貢献。その後、U-16日本代表のエースとして臨んだAFC U-16選手権では優勝と大会MVP受賞を果たし、今年はセレッソ大阪でプロデビュー。そして“飛び級”招集されたU-20日本代表でU-20ワールドカップを戦った。
本人の成長、将来のため、桐光学園は快く西川をC大阪とU-20日本代表に送り出したが、一方でチーム作りは容易ではなかった。西川を欠いたチームと西川が加わった際のチームを準備しなければならない。また、プリンスリーグ関東復帰を目指す神奈川県1部リーグと、関東大会予選やインターハイ予選では戦い方も異なる。主軸選手の負傷もあり、決して順風ではなかった。
それでも県1部リーグでは、西川を欠いての試合が続きながらも6勝3分の無敗で首位。インターハイ予選はポーランド帰りの西川が疲労を抱えながらも、初戦で2ゴール、準々決勝でも決勝ゴールを決めるなど奮闘する。
そして、チームを離れることの多い西川と連絡を取り合って情報を共有してきた副主将MF中村洸太やCB安久レオナルド高貴、MF神田洸樹、FW佐々木ムライヨセフ(いずれも3年)、GK北村公平(2年)の活躍、期待の大型CB奈良坂巧(2年)や代表決定戦(準決勝)の延長戦で直接CK弾を決めた1年生レフティー・岩根裕哉の台頭もあって全国切符を獲得した。どうしても西川に注目が集まるが、3バックと4バックのシステムに対応し、その中で技術力と堅守を発揮した選手たち、コーチ陣の力も見逃せない。
“向上心の塊”である西川自身も体重を増量し、尻周りも大きくなるなど身体を強化。また、技術力、判断力向上にも余念がない。良い意味でパワーの使い所も身に着けて臨むインターハイは注目だ。
「本当に一戦一戦やっていかないと勝ち抜けない大会。去年、準優勝で悔しい思いをしているので、しっかり優勝できるように頑張っていきたい」(西川)
最注目FWが、仲間たちとともに高校日本一を勝ち取る。
文=吉田太郎
By 吉田太郎