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インハイの続きは冬の選手権で…那覇西が挑む“真の強さ”への再出発

2019.07.28

地元のインターハイに敗れた那覇西は選手権へ決意を新たにした [写真]=川端暁彦

 昨年12月30日に行われた高校サッカー選手権開幕戦。地元・駒澤大学高校との試合に臨んだ那覇西高校は、後方からパスで組み立てていくポゼッション志向の強いサッカーを披露してPK戦の末に勝利。確かなインパクトを残した。

 地元開催となった今回のインターハイは当時の「続き」に位置付ける大切な大会だ。2017年に就任して3年目を迎えた平安山良太監督にとっても集大成となるシーズンである。徹底して磨いてきたスタイルを貫き、全国舞台でもう一度勝つ。

「沖縄の中学生の多くは高校で沖縄に残らず、県外へ出て行ってしまう。その流れも変えたいんです」

 平安山監督はかつてそう語っていたが、選手権開幕戦での1勝はその意味でも小さからぬインパクトがあった。「やはり勝つのと勝たないのでは大違い。それを実感させられました」。

 沖縄の高校に残ってもレベルの高いサッカーにチャレンジができて、全国大会での勝利も狙える。そうしたポジティブなイメージを発信していくためにも、この地元開催のインターハイが持つ意味は大きかった。大会に向けて大阪の堺で行われた親善大会に出場し、「一度ガツンとやられておく」(平安山監督)準備も実施。沖縄県内では体感できない強度の高いプレッシングに慣れることもできた。

 27日、二回戦から登場となった那覇西にとっての初戦。北越高校を相手に、DF仲程飛雄ら後方の選手からしっかりとパスを繋ぎ、意図をもってボールを前進させていくサッカーを披露。北越の選手から「思っていた以上に上手かった」「前から行ってもボールを取れなかった」といった言葉も漏れたポゼッションプレーを披露。試合の主導権を完全に握っていた時間帯もあり、決定機もいくつも作り出した。だが、最大の決定機となった48分の場面では、相手の相次ぐ懸命なブロックにあってゴールとならず、そこからのロングカウンターで失点を喫してしまった。

 このあとは北越の頑健な守りを切り崩しきれず。スコアは0-1のまま、那覇西の夏は終幕を迎えることとなった。

「さっきも『面白いね』と言われたんですが、『面白い』で終わりたくはなかったんです。勝つのと勝たないので大きな違いがあることは選手権で分かっていましたから……」

 指揮官はまったく見劣りしなかった内容面への手応えは感じつつも、「ゴール前でゴリゴリ行けるような選手がいなかったし、守備でも簡単に前を向かせてしまうことが多すぎた」と、あえて課題のほうへ強くフォーカスした。

 就任3年目を迎え、徹底してきたポゼッションスタイルはすっかり浸透。チームで連動してボールを運ぶ、動かす部分に関しては間違いなく大きなレベルアップを遂げている。あとは「面白いね」で終わらないための「強さ」をどう加えていくか。

 南国の情熱系指揮官は、残りの夏でのチーム再強化を誓いつつ、「また選手権で」と、冬へ向けての思いを新たにしていた。

取材・文=川端暁彦

By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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