1年生GK藤井陽登は実力で先発を勝ち取り、選手権の舞台に挑戦する
矢板中央の高橋健二監督は、昨年の段階から「第100回大会の選手権で優勝したい」と2年後の第100回全国高校サッカー選手権優勝への強い意欲を口にしていた。現1年生は2年後の第100回大会を3年生で迎える世代。高橋監督は今年、有能な1年生たちが入学してきたことを喜んでいたが、その期待のルーキーたちが早くもAチームで活躍を見せている。
栃木県予選準決勝では、矢板中央グラウンドで活動する矢板SC(矢板中央のコーチ陣が兼任で指導)の第1期生に当たるMF星景虎(1年)が躍動。0-1の後半24分から途中出場すると、投入5分後に混戦から豪快な右足シュートをニア上に突き刺した。
矢板中央の系列組織である矢板SCで力を磨いてきたMFはスピードを活かした攻守が特長。「(クリスティアーノ・)ロナウドのようなパンチ力のあるシュートとかドリブルで相手を圧倒したい」と語っていた星は、そのパンチのあるシュートでチームを救った。また、DF島崎勝也は186cmの高さを活かした守備に加え、ロングスローで準決勝、決勝とゴールを演出している。
そして、「100回大会の選手権で全国優勝したい」という1年生GK藤井陽登は早くも“実力で”先発を奪取。シュートストップとキック力を特長とするGKは優勝の立て役者となった。宿敵・佐野日大との決勝戦ではPK戦で味方の1人目が失敗したが、暗雲が漂う中で続く佐野日大の2人目のシュートを右へ跳んでストップする。悪い流れを断ち切った藤井は佐野日大5人目のシュートも右への跳躍から止めてヒーローになった。
藤井の持ち味はまるで手が伸びてくるかのようなセービングだ。そして、「クロスとかハイボールに対して飛び出せるところ」や飛距離が伸びてきたキックも武器としている。青森県の中体連、十和田中から誘いを受けて関東の強豪校へ進学。来年からトップチームで活躍することを目指していたGKは1年生チームでの活躍などによって信頼を勝ち取り、選手権予選で優勝に大きく貢献した。
矢板中央は一昨年度の選手権がベスト4、昨年度もベスト8へ進出している。今年は決して前評判の高いチームではなく、プリンスリーグ関東では前年度の優勝から最下位に。だが、CB長江皓亮主将を中心とした3年生の努力、成長によって栃木県内の覇権を守り、3冠を達成した。
まだまだ失点を減らしきれていないことも確かだが、今年も守備意識は高く、最後の局面で身体を張ることのできる選手が多いことは間違いなくトーナメント戦を勝ち上がる上での強みだ。台頭してきた1年生たちは堅守や交代カードの部分でプラスアルファをもたらし、2年後ではなく、今年の日本一に貢献する。
By サッカーキング編集部
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