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[尚志]優勝候補に走った激震…9番背負う2年生にブレイクスルーの可能性【高校サッカー選手権】

2020.01.01

染野唯月に換わって9番を背負う2年生FW阿部要門 [写真]=松尾祐希

 優勝候補の尚志に激震が走った。U-18日本代表で来季の鹿島アントラーズ入団が内定している染野唯月(3年)が、福島県予選決勝後に腰椎分離症を発症。全治3カ月と診断され、大会の登録メンバーから外れたのだ。

 昨年の高校サッカー選手権準決勝で青森山田からハットトリックを達成するなど、2年次から活躍をしてきた染野。最終学年を迎えた今季はコンディション不良に悩まされながらも、攻撃の柱としてプレーしてきた。正確なポストプレー、豊富なシュートバリエーション、類い稀な得点感覚。この年代では頭一つ飛び抜けており、染野の欠場は尚志にとって大きな痛手だ。

 チーム内でも登録期限直前までエースの処遇を議論し、精神的支柱としてメンバー入りを検討してきた。だが、最終的には本人の意向を尊重。「怪我で出場できないので、仲間のために自分の登録枠を使ってください」と申し出たため、今大会の欠場が決まった。

 エースの不在――。ただ、今季は怪我や代表活動で染野抜きの戦いを経験しており、それを補って余りあるアタッカーも揃っている。実際に夏のインターハイはその状況で勝ち上がった。膝の故障で染野をフルタイムで使えなかったが、他の選手が活躍して初めて4強に進出。右サイドハーフや最前線に入る主将の山内大空(3年)がチームを牽引し、個で局面を打開できる左サイドの松本岳士(3年)も全国で戦えることを証明した。

 また、今大会で染野の代わりに背番号9を背負う阿部要門(2年)の存在も心強い。

 阿部は185センチの大型ストライカー。中学校2年生でダンクシュートを決めていた父親から譲り受けた身体能力を持て余し、春先はトップチームの試合に絡めていなかった。だが、染野からFWの動き方を学んで急成長。インターハイでは出場機会を得て、5試合・3ゴールの活躍でブレイクの兆しを掴んだ。仲村浩二監督も阿部の成長に目を細めており、大きな期待を掛けている。

「前は機械みたいに動いていたけど、今はボールがしっかり収まるようになった。シュートに関しても染野を見て、真似をしている。横からボールが来ても良いシュートが打てるようになったし、ヘディングの飛び方も入り方も染野から学んでゴール前に入っていけるようになった。ちょっと楽しみな2年生です」

[写真]=松尾祐希

 本人も手応えを掴んでおり、得点源としての自覚も芽生えつつある。

「トップチームに最初に入ったときは技術面も含めて通用せず、唯月くんに頼ってばっかりだった。唯月君が怪我を抱えていたインターハイを経験して、自分が決めないと勝てないと気付かされた」

 すでにJクラブの練習にするなど、ポテンシャルは一級品。昨季の染野が選手権で日の目見たように、ハイレベルな戦いを経験できれば、ブレイクスルーの可能性を秘める。

 染野不在のチームだが、攻撃陣のタレントは多士済々。3年を中心にチャンスを作り、期待の2年生FWが結果を残せれば、初の日本一も見えてくるはずだ。

取材・文=松尾祐希

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