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[日大藤沢]闘志に火をつけた“日本一”のライバル…才能たちの目標は「全国制覇です」【高校サッカー選手権】

2020.01.01

神奈川県予選決勝でライバルを倒した日大藤沢が全国制覇に挑戦する

 注目された神奈川県の選手権出場権はインターハイ日本一の桐光学園ではなく、日大藤沢がもぎ取った。桐光学園のエースFW西川潤はセレッソ大阪内定、U-20とU-17のワールドカップ出場。世界でも評価を高めた西川は今年の“高校サッカー界の顔”とも言える存在だった。彼を中心に桐光学園は快足左SB佐々木ムライヨセフや2年生CB奈良坂巧ら複数のタレントを擁していたが、日大藤沢は観衆約7000人が集まった神奈川県予選決勝で1-0勝利。昨年度の選手権予選、今年のインターハイ予選といずれも惜敗していた宿敵を真っ向勝負で破って全国切符を勝ち取った。

 試合後、佐藤輝勝監督は「本当に悔しい思いをしてきて、選手権も、インターハイも桐光さんに敗れて悔しい思いをしてきたから、半歩でも勝てるようにやってきた」と振り返っていたが、夏の敗戦から取り組みの姿勢から変わったという選手たちが成し遂げた打倒・桐光。4-3-2-1システムで相手を外へ押し出す守備など戦術面や個の質の高さも光るが、何よりも“全国制覇”という大目標への思いをピッチでぶつけたことが勝利に繋がった。

 インターハイ優勝校を破ったから、目標が全国制覇に変わった訳ではない。現3年生は1年時に関東、静岡の有力校によって争われるRookie Leagueで流経大柏や市立船橋、前橋育英、静岡学園などを抑えて優勝。全国Rookie League交流大会も制して日本一に輝いている“日本一世代”だ。特にMF植村洋斗は同大会MVP。同年のインターハイでは唯一1年生レギュラーとして出場し、準優勝に貢献するなどその技巧でJクラブからも注目を集めた。

 昨年は植村やCB青木駿人主将ら現3年生が先発の大半を占め、今年は期待の世代が最終学年となった。柔らかいドリブル突破に注目の右SB岡田怜がシーズン開幕前の段階で「日本一ということだけを考えてやりたい」と語り、2年時にレギュラーを務めていたFW布方叶夢も「(目標は)全国制覇です」と意気込んでいたように、今年は全国制覇を掲げてシーズンをスタート。“裏選手権”で準優勝するなどフェスティバルや練習試合でも強さを示して関東大会予選も制したが、インターハイ出場を逃し、ライバルの桐光学園に日本一を奪われたことで才能たちの闘志に火がついた。

 青木は「『全然今のままでは甘いぞ』という話を全員でした」と振り返り、佐藤監督はその変化について「この夏負けて、全員が手を抜かなくなってから」と分析する。インターハイ予選で桐光学園に敗れた試合も内容では決して劣っていなかったが、一瞬の隙が失点と敗戦に繋がった。その隙を全員で消すこと、どんな状況でも100%の力を出し切ることに集中。また、「桐光が日本一を取って、自分たちも本当に全国出ればもっともっとやれるという自信があった」(青木)という自信も胸に冬へ向かったチームは、仲間に対しても容赦なく厳しい言葉をかける青木の下、一丸となって戦い「まずは」全国切符を勝ち取った。

 ポジショニング、身体の向きの良さ、運動量を活かして県大会無失点。その堅守は全国屈指だ。加えて、鮮やかなドリブル突破で優勝ゴールを演出した植村のテクニックや岡田、左SB吉本武の両SBの縦突破、FW平田直輝の身体を張ったポストプレーなど攻撃力も高い。また、2年生の逸材FW鈴木輪太朗イブラヒームや布方らベンチの層も厚く、優勝争いに加わる可能性は高い。青木は桐光学園戦直後に西川から「頑張ってくれよ」という声を掛けられたという。注目校を倒して全国に臨む“日本一世代”が、日大藤沢にとって初の全国制覇、激戦区・神奈川県勢の夏冬連覇を懸けて選手権に挑戦する。

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By サッカーキング編集部

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