大分トリニータへの加入が内定している米子北のDF高橋祐翔 [写真]=森田将義
大分トリニータへの加入が内定している米子北のDF高橋祐翔(3年)の秘めたポテンシャルは、間違いなく大会No.1だ。全国でも数少ない、190cm近い身長を持つ左利きのCBで素走りの速さもチームで1番。大分を含めた3つのJクラブが獲得に動いたのも頷ける将来のスター候補生だ。
入学時から将来性の高さを見込まれ、早期からAチームでのプレーを続けてきたが、これまでは脆さが見えたのも確かだ。中学まではFWとしてプレーし、高校入学後はボランチにコンバート。CBを務めてから日が浅いせいもあるが、守備の軽さによる失点が多かった。加えて、線の細さが原因で当たり負けする場面も少なくなかったが、食への意識が低かったため、高いポテンシャルを発揮できずにいた。
それでも、素質の高さを見込まれた高橋は、昨年10月にU-17日本代表入りを果たし、初めての日の丸を経験。翌月には、2年生ながらもレノファ山口FCの練習に参加し、プロの世界を一足早く味わった。中学時代はトレセンに選ばれた経験すらない無名の存在。自分が上のステージでプレーすることすら考えたことすらなかったが、2つの経験を通じ、「自分の甘さに気付かせてもらった」という高橋の意識はここから、変わっていく。
最終学年を迎えた今年は、「昨年は自分のせいで失点する試合が多くて、チームにたくさん迷惑をかけた。今年は、『自分がやらなくちゃいけない』という気持ちが出てきた」と自覚が芽生えたことも成長を後押しした。高さを活かした競り合いの強さに加えて、身を投げ出してピンチを防ぐ場面が増えた。変化はメンタル面にも及んでおり、高橋はこう口にする。
「米子北の先生方が一番成長して欲しいと思っている人間性の部分も成長できたと思う。下級生の頃は私生活やサッカーに対する気持ちがダメで、自分を追い込めなかったけど、年を重ねるごとに変わってきた。食生活も気に掛けるようになった」
加入を決めた大分の練習に参加したのも成長を後押しした。当初はビルドアップが不安だったと振り返るが、いざゲームになると自らの想像以上に通用することが分かった。また、アットホームな先輩たちの存在も彼にとっては大きく、「紅白戦の相手チーム入ったFWの人が、『君のボールの持ち方だとボールを奪いやすいから直した方が良い』などとアドバイスしてもらえたのが嬉しかった」と口にする。
確かな成長によって、今夏のインターハイでも飛躍が期待されたが、直前の怪我でメンバーから外れた。「外から試合を観て、自分が出たいという気持ちが強かった。試合に出て失点を無くし、セットプレーで点を獲ってチームの勝利に貢献したかった」と振り返る通り、全国大会での勝利に飢えている。高校最後の晴れ舞台となる選手権では、勝利に貢献するプレーを披露し、3年間の成長を示すつもりだ。
取材・文=森田将義
By 森田将義