監督も賛辞を送る1年生MF松木玖生 [写真]=小林渓太
“二冠”を目指す王者が圧勝スタートを切った。
第98回全国高校サッカー選手権大会の2回戦が2日に行われ、前回大会王者の青森山田(青森)が米子北(鳥取)と対戦。6-0と快勝を収め、連覇へ向けて最高の船出を迎えた。
この試合で先制点を奪ったのが、1年生ながら“7番”を背負い、レギュラーとしてピッチに立つ松木玖生だ。36分に右サイドからクロスが上がると、打点の高いヘディングでゴールに叩きこみ、選手権初ゴールをマークした。

[写真]=梅月智史
試合後、メディアの取材に応じた松木は、「負ける気はしなかったです」と、“選手権デビュー”への手応えを堂々と語った。この1年生にかかる期待は背番号が物語っている。青森山田の背番号7は、現主将の武田英寿、昨年度優勝メンバーの檀崎竜孔(現北海道コンサドーレ札幌)、2年次に同校初の選手権制覇を達成した郷家友太(現ヴィッセル神戸)らが下級生時に背負ってきた番号で、“次期10番”の象徴でもある。
その期待に応えるかのように青森山田の中盤に定着すると、11月の高円宮杯ファイナルでは2-2の場面で決勝ゴールを決め、チームを2年ぶりの「日本一」へ導いた。多くの選手をプロ選手に育て上げてきた黒田剛監督も柴崎岳(現デポルティーボ)の名前を挙げ、そのポテンシャルを絶賛した。
「松木は度胸があると思います。柴崎も1年生から試合に出ていましたが、彼が1年の時より肝が据わっているし、体もできているなと。今日の試合でも物怖じしないところがよく出ていたと思います」
参考にしているのはイングランドの新星

マンチェスター・Cでプレーするフォーデン [写真]=Getty Images
そんな松木はマンチェスター・Cに所属する19歳のフィル・フォーデンを参考にすることがあるという。フォーデンは各年代の代表に選出されてきたイングランド期待の新星で、昨シーズンは公式戦26試合に出場し7得点を記録。マンチェスター・Cの4冠達成に貢献した。
「自分と同じ左利きで中盤の選手で年齢も近いですし、ゴール前に入っていくところとかを参考にしています」
そう話す通り、4-3-3のインサイドハーフを務める松木は、ボランチまで下がってボールを引き出し攻撃のチャンスをうかがい、チャンスと見るやエリア内に侵入して積極的にゴールを狙い、シュートへの意識も強い。隣でコンビを組む武田、アンカーの古宿理久とのトライアングルはチームの心臓で、今や青森山田に欠かせない存在となった。
今大会はインターハイ準優勝の富山第一(富山)、2年前の選手権王者・前橋育英(群馬)、國學院久我山(東京B)らと同じブロックに入ったことで、戦前から厳しい戦いが予想されていた。そんな懸念を一蹴するかのように、名門・米子北に圧勝してみせた。「青森山田強し!」という戦いをしたことで、他チームからのマークはさらに厳しくなるだろう。それでも、松木は「青森山田は勝つのが当たり前で、次にしっかりと向かえるようにしたいです。そこでどんなプレーができるかだと思います」と言い放つ。
大舞台で物怖じせず、結果で見せるスーパー1年生が3回戦以降どんなプレーを披露してくれるのか。ぜひとも注目してほしい。
取材・文=サッカーキング編集部
By サッカーキング編集部
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