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最後の選手権は初戦敗退…今後を見据える作陽10番・森田美紗希「世界で戦うには…」

2020.01.04

最後の選手権を終えた作陽MF森田美紗希 [写真]=吉田孝光

 第28回全日本高等学校女子サッカー選手権大会が3日に開幕し、兵庫県内で1回戦の16試合が行われた。

 夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で初優勝した十文字高校(関東5/東京)と、皇后杯でベスト16まで勝ち進んだ岡山県作陽高校(中国1/岡山)が対戦した1回戦屈指の好カードは、3-0で十文字が勝利した。両校はインターハイ1回戦でも対戦し、その時も3-0で十文字が勝利していた。

 この日は、1年生FW藤野あおばの力強いドリブルを軸に攻める十文字に対し、作陽の前半のシュートは1本のみ。後半にセンターバックの大西歩花やボランチの森田美紗希を前線に上げて反撃した作陽だったが、後半のシュート8本はいずれも得点に至らず。インターハイ女王のゴールは遠かった。

 U-19日本女子代表の一員として秋のAFC U-19女子選手権タイ2019に出場し、アジア制覇に貢献した森田は、「皇后杯でなでしこリーグチームにも勝って自信をつけて、冬に向けてすごく仕上がってきた」と、作陽に戻ってからの手応えを話していたが、「今日は自分たちボランチが後ろに下がってしまい、気持ちの面でも十文字に負けてしまっていた」と力不足を素直に認めた。

 今でこそ作陽やU-19日本女子代表のレギュラーとして活躍する森田だが、作陽が高校女子選手権決勝に進んだ2大会前は、試合出場がなくベンチ外も経験した。

「選手権は去年もPK負けという悔しい結果だったけど、努力をしていたら誰か見てくれている人がいる。この3年間は自分がサッカーを続けていく上で本当にいい経験になった」

 敗退の直後は多くの選手が涙を流す中、森田はチームメイトの肩に手を置いて励ます側にまわり、「今大会の直前までケガでチームに迷惑かけてしまって、今日の試合も自分のミスで助けられず、みんなに支えてもらった。後悔というより、何もできなかった悔しさ。みんなが本当に頑張ってくれたので、笑顔で終わろうと言っていた」と、ピッチでは気丈に振る舞ったが、負傷中の足を気にしながら試合会場を後にした。

 高校最後の試合は消化不良に終わったが、森田はU-20日本女子代表が出場するFIFA U-20女子ワールドカップ2020を9月頃に控える。「もっともっと自分自身を高めていかないと、世界で戦うには、まだまだこのレベルではいけない。大学に行って自分磨きを続けていきたい」と、目線を世界に移して力を込めた。

 作陽の池田浩子監督も「持ち前のタフさで、相手にとって嫌なゾーンに入って行ってシュートまで持っていくところや、視野の広さをこれからも生かしてほしい」と、152センチの森田の小さな背中を押すように、今後の活躍を期待していた。

文=馬見新拓郎

By 馬見新拓郎

10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

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