上:青森山田、下:帝京長岡 [写真]=梅月智史、佐藤博之
11日の準決勝第1試合は、前回王者・青森山田(青森)と初優勝を狙う帝京長岡(新潟)との顔合わせとなった。
“二冠”と“連覇”を目指す青森山田…注目ポイントは?
青森山田は、19年12月15日に埼玉スタジアム2002で開催されたプレミアリーグファイナルで名古屋U-18(愛知)に3-2で勝利してまず一冠。今回、準々決勝で昌平(埼玉)に競り勝ち、再び埼スタに足を踏み入れることになった。00年度、01年度大会で国見(長崎)が成し遂げて以来となる選手権連覇まであと2勝。浦和レッズ入団内定のU-18日本代表MF武田英寿主将は準々決勝突破後、「しっかりコンディションを整えて優勝したい」と力を込めた。
昨年のMF檀崎竜孔(現北海道コンサドーレ札幌)、MFバスケス・バイロン(いわきFC→未定)のような強烈なサイドアタッカーはいない。それでも、今年はどこからでも得点できる強みがある。抜群の存在感を放つ“スーパーレフティー”武田、展開力光るMF古宿理久(横浜FC内定)のJ内定コンビに加え、ブレイク中のスーパールーキー・MF松木玖生を中心にボールを繋いで攻めるだけでなく、ロングボール、サイドアタックと攻撃は多彩。そして、右SB内田陽介のロングスローなど、全13得点中6得点に繋がっているセットプレーにも注目だ。
守備面ではゴールを隠す(相手のシュートコースを消す)、相手をPAへ侵入させない、ゴール方向に走らせない部分を徹底。特に“ゴールを隠す”という点は、準決勝の対戦相手である帝京長岡からも参考にされている特長だ。今や、各校から目標、参考にされる名門は歴史に名を刻むか。準決勝を制し、青森山田にとって「初めてのことを成し遂げられるように」(武田)という連覇へ前進する。
帝京長岡は攻守両面に最高の時を迎えている
一方の帝京長岡は前回大会で敗れた準々決勝(対仙台育英)を1-0で突破。1年前のリベンジを果たすとともに、新潟県勢初となる準決勝への切符を勝ち取った。FW晴山岬(FC町田ゼルビア内定)、MF谷内田哲平(京都サンガF.C.内定)、DF吉田晴稀(愛媛FC内定)のJ内定トリオをはじめ、U-17日本代表MF田中克幸ら昨年からのレギュラーを半数以上残す“越後の技巧派軍団”。まずは1つ歴史を塗り替えたが、谷内田が「日本一しか、正解じゃない」というように目標はまだ先にある。
帝京長岡のウリは攻撃力だ。谷内田、田中、MF矢尾板岳斗と一瞬のテクニックで違いを生み出す選手たちが揃い、今年はMF本田翔英という“重戦車”アタッカーもいる。彼らが局面で数的優位を作りながらボールをテンポ良く動かし、アイディア、パワーを交えた崩しでゴールを奪い取る。3回戦でハットトリックを達成した大会屈指のストライカー・晴山の存在も心強い。
その攻撃陣に注目が集まるが、新潟県予選から通じて8試合連続無失点の堅守も光る。準々決勝では一瞬の隙を突かれて迎えたピンチでGK猪越優惟がビッグセーブ。俊足DF吉田晴、DF丸山喬大、DF吉田勇介の3バックを中心にゴール前で粘り強く守ることができている。晴山は「本当に守備陣に感謝しないといけない」。青森山田に比べると高さやパワーで劣るが、彼らがセットプレーで飲み込まれることなく戦い、攻撃回数を増やせることができれば打倒・青森山田、「日本一という景色を見たい」(吉田晴)という目標達成の可能性も広がってくる。
平成最後の選手権を優勝で飾った青森山田が令和初年度も決勝へ進出するのか、それとも帝京長岡が13年度優勝の富山一(富山)、14年度優勝の星稜(石川)という北信越勢に続くのか。雪国のハンディキャップを乗り越えてきている両校の熱い戦いに注目だ。
By サッカーキング編集部
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