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富山第一|規律の取れた守備組織と多彩なセットプレーで全国制覇へ…予選大会5戦は27得点無失点【選手権出場校紹介】

2020.12.28

[写真]=森田将義

 今年は新型コロナウイルスの影響によって雪辱を期していたインターハイが中止に。富山第一は大きな目標を一つ失った。昨年のインターハイで富山第一は富山県勢、北信越勢として初の決勝進出を果たしたが、決勝の後半ラストプレーで失点し、準優勝。昨年の借りを返すことを目指していただけに、選手たちは「ショックでした」、「とても残念です」と振り返る。

 だが、DF孝井捺希主将をはじめとした各選手は「選手権で全国制覇する」と掲げてリスタート。意欲的に個人練習に取り組み、5月上旬にはいち早くウェブ会議システム「Zoom」を活用してのトレーニングもスタートした。スクワットや体幹などのメニューを140人超の全部員が他の選手の動きを確認しながら、競い合う形で個人練習。また、毎朝7時30分に健康状態や自主トレーニングの内容について提出することで選手たちが生活リズムを崩さない取り組みも実施された。加えて、UEFA公認A級ライセンスを持つ大塚一朗監督が海外の動画、書籍から情報を抽出し、その考え方、動きを選手たちと共有。限られた環境の中でできることに力を注いできた成果が、今大会出場校で3位となる県予選6連覇につながった。

 昨年からメンバーは大きく入れ替わったものの、ケガで9カ月間離脱していたMF福岡輝が復調。我慢してきたという思いをピッチで表現し、そのプレーエリアの広さでチームの心臓役となっている。また、前回の選手権を唯一先発として経験したFW吉倉昇空がエースに成長。県予選全試合でゴールを叩き出した。加えて、台頭してきた左ウインクバックの富田脩平が県予選で7アシストを記録するなど、選手たちは競い合いながら自力を高めてきている。

 昨年同様、今年も5バックを採用。DF桑名創を中心に孝井やDF女川陽生らが規律の取れた動きでスペースを消し、相手の攻撃を弾き、ボールを奪うチームは県予選を無失点で制している。そしてセットプレーは今年も強み。県予選決勝では前半26分に富田の左足FKから女川が先制ヘッドを決め、後半にも富田のコーナーキックから福岡が決めている。県予選準決勝も富田の直接コーナーキックで先制し、吉倉の直接FK弾でリードを広げた。多彩なセットプレーは対戦相手の脅威になりそうだ。組み合わせ抽選会後のインタビューで孝井は「今年のチームはセットプレーなど攻撃のバリエーションも豊富だと思っているので、そこを全国でも前面に出して戦いたい」とコメント。インターハイの分の思いも込めて選手権を戦い、目標を達成する。

【KEY PLAYER】FW吉倉昇空


 富山第一のFW吉倉昇空は、180センチ近い長身と柔らかい動き、相手を欺くようなプレーが特長のエースストライカーだ。県予選は準決勝で直接FKを決め、決勝でも抜け出しからGKをかわしてゴールを決めるなど、多彩な得点パターンからゴールを量産。予選の全5試合でゴールを奪い、富山第一を全国へ導いた。

 憧れの存在はブラジル代表FWネイマール。「ボールを持つだけで観ている人をワクワクさせるし、仕事をしっかりこなしてチームを勝たせるから」という理由だ。もちろん、エースストライカーとしてチームを勝たせることを最優先しているが、見ている人を魅了するようなプレーをすることも吉倉は常に心の中に置いている。

 前回大会の県予選決勝では2アシストを記録するなど、十分に存在感のある動きを見せながら途中交代後にベンチで涙。無得点に終わったことを心の底から悔しがるなど、熱い思いや責任感を持つ。そのFWはこの一年間、自信を持ってプレーできるようにメンタル面の強化に取り組んできたという。その成果を前回大会の3試合に先発しながら無得点に終わった選手権で発揮するか。「得点王」を目標に掲げて1年間努力してきた吉倉が、県予選同様ゴールを連発して昨年の借りも返す。

By サッカーキング編集部

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