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米子北|“あの敗戦”を糧に…原点回帰で優勝を狙う鳥取の絶対王者【選手権出場校紹介】

2020.12.28

11年連続で選手権に出場する米子北

 “鳥取の絶対王者”米子北は県予選11連覇を達成。7-0で大勝した米子東との決勝を含めて全4試合で6得点以上を叩き出し、わずか1失点で“今年も”全国進出を決めた。

 前線からのハードワークで相手に圧力をかけ、チームの柱を担うMF林莞大主将と、テクニック・アイデアを兼ね備えたMF竹中元汰がセカンドボールを拾ってサイドへ展開。2年生で10番を背負うMF佐野航大(兄はOBでFC町田ゼルビアMFの佐野海舟)らがゴール前のシーンを作り出す。1年時の選手権で決勝ゴールを決めているエースFW崎山友太と、「去年は決めきるべきところで何回も外していたので、今年は決め切るところを決めるという目標で頑張っています」という俊足FW中田来輝の強力2トップや中盤の選手たちがゴールを奪い取る。

 また、ともに下級生時から全国舞台を経験しているGK長崎勇也とCB横山凌雅が中心となるゴール前の我慢強さも特長だ。FWからコンバートされた2年生CB鈴木慎之介もカバーリング能力の高さを発揮するなど堅守・米北の安定感を高めている。スーパープリンスリーグ中国では優勝したサンフレッチェ広島ユースに敗れたものの、7勝1分1敗の成績で堂々の2位。林は選手権組み合わせ抽選会後に「(目標は)“米子北らしく”全国優勝目指して頑張ります」と誓った。

 秋以降、鳥取県内や中国地方で強さを発揮した米子北だが、チームを引き締める試合があった。それは6月の鳥取県高校総合体育大会サッカー競技(代替試合)西部地区準決勝だ。米子北は米子東に2-3で敗戦。複数の主力メンバーが先発を外れていたとは言え、09年度の選手権予選決勝(対境)の敗戦を最後に県内のトーナメント戦では10年以上無敗を続けていた“絶対王者”が黒星をつけられた。

 この敗戦で変わったのは3年生。練習、試合に臨む姿勢を変え、球際の強度や運動量を向上させた。左のサイドアタッカー・MF矢野巧也は8月に「一人ひとりが下のカテゴリーに自分たちの強い意志を伝えるためにやっている。守備でも身体を張れているし、そういうところで代替大会の負けはこれからの勝利に繋げられると思っています」と語っていた。2度とあのような不甲斐ない試合はしないと誓い、成長の糧に。選手権予選決勝では、相手のメンバーが夏とは変わっていたものの、“因縁の”米子東を圧倒し、夏から変わったところを内容・結果で示した。全国大会でも「あの負けがあったから」と言えるような戦い、米子北の「原点」であるハードワークを見せ続けて、勝ち上がる。

【KEY PLAYER】GK長崎勇也

 米子北の守護神、GK長崎勇也がリベンジの舞台へ挑戦する。2年生で先発を任された前回大会は、初戦で準優勝校の青森山田(青森)に0-6で敗戦。自身2度目の選手権は、相手エースのMF武田英寿(現浦和レッズ)に鮮やかなループシュートを決められるなど打ちのめされるような敗戦で終わった。

 ショックは大きかったはずだ。だが、長崎はこの大敗を力に変えている。「山田に多く点を入れられたことで気づくことがあった。自分の課題が多く見えたのもあるんですけど、全国の壁が大きかったというのもあったし、プロに内定している選手を見たら自分は下の方にいると感じることができました」。自分の立ち位置を確認し、より努力するためのきっかけを与えてくれたと考えている。

「勝つよりも負けた方が成長大きくさせてくれる」。そう語る長崎は今年の選手権予選で守備範囲の広さや安定した守備を披露。キャッチングから切り替え速く攻撃に移ることで、味方の数的優位な状況を作り出していた。最後の選手権はチームの勝利に一つでも多く貢献する意気込みだ。

 双子の弟・拓也は地元・岡山の新鋭、創志学園(20年度選手権岡山県予選8強)へ進んだが、長崎は米子北へ挑戦して3年間を過ごしてきた。悔しい思いも経験しながら努力してきた成果を、最後の冬に表現する。

By サッカーキング編集部

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