長崎総科大附MF別府 [写真]=吉田太郎
オンラインで開催された組み合わせ抽選後、長崎総科大附のDF児玉勇翔主将(3年)は、「自分たちは特別上手い選手はいないのですが、よく走れるチームなので、チャレンジャー精神を持って戦っていきたいと思います。長崎県の代表として、まずは初戦を突破していきたいと思います」と意気込んだ。
現在は「よく走れる」チームに成長を遂げているが、今年は新人戦で延長戦の末に長崎日大に敗れて初戦敗退。創成館に0-1で敗れて連覇が4で止まった前年の選手権予選に続き、タイトルを逃した。1年時から先発を務める児玉は「最初はダメダメでした」と首を振り、同じく1年時に選手権全国大会でゴールを決めている10番MF別府史雅(3年)も「新チームになってすぐはダメでした」と振り返る。
長崎総科大附は国見に数々の全国タイトルをもたらした名将・小嶺忠敏監督の下、全員攻撃・全員守備で選手権予選4連覇(2016~19年)、県新人戦8連覇(2011~18年)を達成するなど長崎を代表する存在となった。
だが、それはあくまで先輩たちが残してきた成績。選手たちは、敗戦から自分たちの力を自覚し、甘えていた部分を削り、そして自分たちに目を向けてトレーニングや日常生活に取り組んできた。連続でタイトルを逃したことで「絶対に獲ろうと団結した」(別府)ことも原動力に。児玉が「挨拶だったりも全然できていなくて、バッグの並べ方一つ一つ言われていた」と説明するチームはピッチ外から成長し、インターハイ予選、県1部リーグで優勝し、選手権予選も制した。
選手権予選決勝では切り替え速い攻守で主導権を握り、創成館をゴールに近づけない。リードして迎えた終盤にもMF高良陸斗(3年)が体を張って相手ボールをもぎ取り、別府が体を投げ出してタックルを決めるなどハードワークを徹底。「よく走れる」チームは攻撃時のスプリント含めて最後まで走り切り、第100回選手権への切符を勝ち取った。
小嶺監督は以前、「人間がしっかりしていないと。頑張りがきかない」と話していた。小嶺監督の言葉から学び、強くなるため、上手くなるために自分を律して身につけてきた人間力と頑張る力。精度の部分などより磨くべき部分もあるが、長崎総科大附には80分間やり続けること、頑張ることができる強さがある。
この一年で変わった一人の別府は、今年のチームの良さについて「みんなで声を出して一人ひとり献身的にできるところ。スーパーな人がいなくてもみんなで頑張れる」。第100回選手権でも高校サッカーにおいて大事な部分を表現し、一つ一つ白星を積み重ねる。
取材・文=吉田太郎
By 吉田太郎