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【富山第一】“最後の国立”王者、狙うは”最初の国立”王者<第100回高校選手権>

2021.12.30

富山第一の背番号10を背負うMF中川晟 [写真]=吉田太郎

“国立最蹴章”の王者が新・国立初開催の選手権で再び日本一を狙う。

 富山第一は国立競技場改修前、最後の大会として行われた2013年度選手権で初優勝。星稜との決勝は後半アディショナルタイムに大塚一朗監督の息子で主将のMF大塚翔が同点PKを決め、延長戦で勝ち越すというドラマティックな勝利で富山県勢、北信越勢初の日本一に輝いた。

 富山第一のDF渡邊快誠主将(3年)は、今大会のオンライン抽選会で「(今年のチームは)泥臭く、粘り強いサッカーができる。見ていただいている人たちに応援してもらえるようなチームです。支えて下さった人たちに感謝して、恩返しできるように、国立最後の王者として、最初の国立も優勝したいです」とコメント。新・国立競技場で初めて開催される第100回選手権で優勝することを目標に掲げた。

 現在の高校3年生は8年前の優勝時、まだ小学4年生。それでも、動画で見返してきたこともあり、その光景は脳裏に焼き付けられている。前回大会の経験者で、今年は10番を背負ってきたMF中川晟(3年)は「すごかったです。あの舞台プレーできるのはすごいなと思うし、自分も行きたいです」。スタッフからも当時の話を聞き、自分たちも全国準決勝、決勝の舞台に立つことを目指して努力してきた。

 2年前に富山県勢初のインターハイ決勝進出、準優勝を果たしたチーム同様に今年の富山第一は『5-3-2』システムがベース。今年はインターハイ出場を逃し、夏は県の新型コロナウイルス感染予防対策のために県外チーム相手の強化をすることができなかった。それでも、夏頃から台頭してきたDF能浦大嬉(3年)や注目株のDF湯川信治(2年)らを中心に堅守を構築し、アイデアとチャンスメイクを特長とする中川や突破力に秀でた左WB片山大治郎(3年)、MF吉田圭佑(3年)らが5レーンを意識した崩しとセットプレーからゴールを奪う力を磨いてきた。

 大塚監督は富山県予選開幕前に、過去の選手権で最も印象的な試合として“国立最蹴章”の決勝を挙げ、「最後の国立と言われた試合で、決勝で富山県中が沸きましたからね。今でもみんな忘れられないと言ってくれます」と説明。そして、「第100回は新しい国立の始まりということで、まず出なきゃマズイですから出て、てっぺんを狙いたい」と語っていた。その言葉通りにまず富山県予選を突破。そして、選手権に臨む。

 開幕を控えた12月16日、大塚監督がJFAアジア貢献事業の一環でモンゴル代表監督に就任することが発表された。第100回大会は富一にとっても特別な大会。一丸となって戦い、新国立で再び歓喜の瞬間を迎える。

取材・文=吉田太郎



By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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