高校女子選手権“初”の応援マネージャーを務めている菊池日菜子さん [写真]=野口岳彦
1月9日に決勝戦を迎える第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会。今大会では新たな試みとして、応援マネージャーが新設され、女優の菊池日菜子さんが務めている。
男子の全国高校サッカー選手権大会では応援マネージャーが登竜門的な存在となっているが、初の女子選手権でのマネージャーという大役を担うのは。高校時代にハンマー投げに打ち込んでいた菊池さんとなった。
初の応援マネージャーとしての意気込みや本気で打ち込んだ部活動の魅力などについて聞いた。
インタビュー=小松春生
写真=野口岳彦
―――『第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会』の応援マネージャーに就任されました。就任が決まったときの感想から教えてください。
菊池日菜子(以下、菊池) オーディションで選んでいただきました。決まったことはサプライズで教えていただいたのですが、頭が真っ白になりました(笑)。発表と同時にお手紙をいただいたのですが、手が震えすぎて紙をめくることができないくらい動揺しました。少し落ち着いてからは嬉しさがこみあげてきましたが、それと同時に使命感も感じました。私自身、学生生活で部活動、スポーツに向き合い、いろいろな経験をしたので、自分の経験を投影しながら、選手の皆さんの真っすぐな思いを視聴者の方々にお届けするという役割を全うしたいです。
―――ご家族の反応はいかがでしたか。
菊池 母に伝えたら、すごく喜んでくれました。私は福岡県出身なのですが、応援マネージャーの活動は福岡県でも放送されるので。そこで頑張っている姿を見せたいです。
―――男子の大会では応援マネージャーがありますが、女子では初の試みとなります。
菊池 過去の大会を映像で拝見した際に、大会に出場するまでに、どんな練習をして、選手の皆さんがどんな想いを持って大会に挑んでいるのかを知りました。チームとしての団結力や空気感を目の当たりにして、選手それぞれの青春を感じたと同時に、心の底から応援したいと思いました。チームとしての団結力や選手一人ひとりの想いを大事にしながら届けていきたいです。
―――ご自身は学生時代、ハンマー投げなど、スポーツに真剣に向き合ってこられました。一方で個人競技と団体競技の違いがあります。サッカーについてのこれまでのイメージはいかがでしたか?
菊池 中学、高校と部活動で陸上をやっている中、いつも隣では男子サッカー部が練習していて、その風景をよく見ていたので身近な印象です。女子、男子関係なく高校生だからこそ成し遂げたい目標があると思います。
―――ご自身の経験でのサッカー部はどう見えていましたか?
菊池 練習の最初と最後の挨拶は必ず一列になって黙想して、揃って挨拶しているのを見て、チームとして大切にしていることがたくさんあるんだなと思っていました。パスをつなげてゴールに向かうので、全体としてのまとまりがより大切なスポーツだという印象です。
陸上競技は個人で抱えるものも大きいですし、その良さもあります。一方で団体競技は仲間を信頼していないとパスは出せないですし、現場取材で実際に練習風景を目の当たりにして、お互いを信頼しているのだとすごく伝わってくるスポーツだなと思いました。
―――ご自身は学生時代、部活動の思い出や、今に生きていることはありますか?
菊池 当時は必死で気付きませんでしたが、高校3年間で「ここまで行きたい」という目標を持って取り組む熱量は、本当に高校3年間でしか味わえないものだと思います。高校の部活動の独特な熱量は身をもってわかっているので、それを応援マネージャーとしてしっかりと伝えていきたいです。
―――ハンマー投げはなぜ始められたんでしょうか?
菊池 中学時代は陸上部で走高跳や100メートルハードルなどをやっていました。高校の陸上部の先生が、中学で陸上競技をやっていた人に声をかけていて、私も声をかけられ、いつしかハンマー投げをしていました(笑)。最初は疑問を持っていたんですが、体験入部でやってみたら、体重も大切な要素ではありますが、技術で勝負できるのだと思いました。そして何よりも楽しくて(笑)。気付いたら3年間ハンマー投げ1本でした。
―――一番の魅力は何ですか?
菊池 なかなか体験できない種目ですが、高校がハンマー投げの強豪校だったのですごく環境が整っていました。素敵な先生、仲間や先輩、後輩にも恵まれました。種目は正直、すごくスリリングな競技です。鉄球と持ち手が細い1本の鉄線のようなものでつながっているんですが、時間が経つとその線が切れるんです。回している最中に切れると遠心力で自分が飛んでしまったり、人が投げた鉄球が飛んできたりします。気をつけないとできない部活でしたが、今考えたら楽しんでいたかもしれないです(笑)。
―――仲間に恵まれたとお話しされましたが、部活動の魅力の一つですね。
菊池 私含めてハンマー投げをしていた同級生が部活動に3人いたんですが、2人は私より記録が良く、2人は全国に行けたのですが私は全国大会に行く直前で終わってしまいました。悔しい結果でしたが、全国大会を控えている2人に悔しいと言えない、という葛藤もありました。そこでしか作れない経験、関係値なので、色々な経験があっての仲間だと思っています。部活動は仲間が大事だと思います。上京したので、今は頻繁に会えませんが、一番信頼している友達ですし、何かあったら一番に相談しています。
―――今大会では同性の競技のマネージャーということになります。
菊池 同性だからこそ引き出せるものがあると思っています。大会前に取材をさせていただいたときも、私は初めての取材で緊張していたんですが、アットホームな空気感で迎えていただき、楽しい時間を過ごすことができました。選手の皆さんと話していく中で、いろいろなものを引き出していきたいです。大会に挑むにあたり、どんな経緯、どんな想いがあって、どこを目指しているのかといった、選手の人となりを見つけていきたいです。
大会前の取材では何よりもチーム全体として大きく目指しているものがあると感じました。プレーもそうですが、チームとして目指しているもの、仲間だからこそ想いあっている関係値、ご家族との関係性。そういったものを伝えていきたいと思います。
―――ご自身として、今後はどういった目標がありますか?
菊池 お芝居を頑張っていきたいです。私自身、映画を観たことがきっかけで役者を目指すようになりました。その経験と同じように、誰かの人生の転機になるような作品に出演することが一番の目標です。そのためにも今は日々勉強です。
―――最後に、初めての女子の高校選手権マネージャーとして、意気込みをお願いします。
菊池 初代応援マネージャーなので、選手の皆さんに「私でよかった」と思っていただけるような活動をしていきたいと思っています。選手の皆さんの真っ直ぐな想いを視聴者の方々にお届けする大事な仕事だと思います。自分が今まで感じたことを交えながら、私にできる応援マネージャーを頑張っていきたいと思います。
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長