背番号10を背負い、チームを牽引する林結人
大きな期待を背負ってきたアタッカーが、選手権で輝く。
鹿島学園(茨城)は選手権予選で3連覇を達成。その原動力となったのが10番のMF林結人(3年)だ。初戦の4ゴールを皮切りに準決勝まで3試合連続ゴール。鈴木雅人監督が「本当にうまい」と評するMFは、選手権で十分に活躍できる実力の持ち主だ。
林が台頭したのは2年生の時。インターハイ予選決勝の延長前半、左後方から飛んできたロングボールに対して走り込んだ林は、ボールを落とさずに左足でトラップし、落ち際を右足でたたいてスーパーゴールを決めた。この試合は後半に同点ゴールも決めており、チームを優勝へ導く大活躍。鈴木監督は「別格ですね。練習を見てても(プロへ)行くと思いますよ。上田と同じ香りがします」と、同じく教え子のFW上田綺世(サークル・ブルッヘ)の名を出して、その将来性に太鼓判を押していた。
上田は高校時代、Jクラブからの評価こそ得られていなかったものの、茨城県1部リーグの得点記録を更新するなど抜きん出た存在だった。インターハイ、選手権でも活躍した上田の動きは、鹿島学園の練習でも明らかに異質だった。林も2年時から練習で全くボールを失わないなど、上田クラスにあることを指揮官は感じ取っていた。
林はが特に自信を持っているのがドリブルだ。当時から「嫌なDFはいたけれど、全然抜けないというのはないです」と語っていたが、近年、次々と名手を輩出している1FC川越水上公園(埼玉)で9年間磨かれた武器は、高校年代でも威力を発揮している。
絶妙なファーストタッチ、ターンで前を向き、わずかに空いたスペースへ一気に潜り込んでいく。スキルの高い技巧派だが、176センチ、67キロの林は身体能力も兼備。相手を見て逆を取る形でのドリブルに加え、スピードだけでDFを振り切ることもできる。そして、強敵相手でもゴールや、アシストを連発。プリンスリーグ関東1部でJクラブユース相手にも個の力を発揮してきたMFは、選手権で1年前からの成長を示す意気込みだ。
前回大会は3回戦で前橋育英(群馬)に1ー2で敗戦。林は同点ゴールを決めたが、優勝争いをするチームとの差を痛感したという。「(前橋育英は)攻守の切り替えのスピードが自分たちと全然違っていて、圧倒されてしまったので、それを基準にしないとベスト16の壁は超えられないと言われていた。チームがもう1つ、2つ上へ行かないと(自分も)見てもらえないというのがあるし、チームを勝たせる選手にはまだなっていない」
今年はインターハイで初戦敗退。全国舞台で名を広めることはできなかった。だが最後の冬こそ、日本代表FW上田の後継者となる背番号10がチームを過去最高のベスト4以上へ引き上げ、評価を勝ち取るはずだ。
By サッカーキング編集部
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