岡山学芸館の2年生守護神の平塚 [写真]=金田慎平
第101回全国高校サッカー選手権大会の決勝が9日に国立競技場で行われ、岡山学芸館(岡山)が東山(京都)に3-1で勝利。大会初優勝とともに、岡山県にも史上初めて優勝旗を持ち帰ることになった。
岡山学芸館は2年生GK平塚仁が守護神を務め、2度のPK勝ちを含む全6試合で守備を支えた。決勝でもチームを落ち着かせるボールキープや安定したハイボール処理、攻撃の起点となるロングキックなど持ち味を見せた。「最初にベスト4と目標を立て、目の前のことに一戦一戦集中して、努力して。優勝というのは信じられないです」と素直な心境を吐露。ハイボール処理は「自分の武器ですし、絶対にやらせない気持ちでやっていました。中学の時のクラブでクロスボール対応を鍛えられた。最初はキャッチもできず、手投げで練習していました。1人だけ落ちこぼれみたいな感じで悔しかったですし、みんなで練習する以外の時間を大切にしました」と述懐。正確なフィードも「小学校は前線の選手でした。攻撃が好きなので、自分も攻撃の起点になれるプレーをしたい」と、ここまでの努力とめぐり合わせが長所として今に生かされているようだ。
シュートストップでも、74分に左クロスからの阪田澪哉のヘディングがクロスバーを直撃したシーンで右手を伸ばしてコースを変えた。「中指で触って、最後までボールを見て祈っていました。試合後、ベンチの選手にはリプレイが流れても触ったかわからないから、触ったのかどうかを聞かれて。『触った』と言っているんですけど、『触ってないやろ』って。当たっていないように見られるのがちょっと悔しいです(笑)」と冗談を交えつつ、試合終盤に入るところでのビッグセーブを振り返っている。
岡山学芸館は大会通じて、選手が一体となって戦うサッカーを披露。最後尾から見つめた平塚は、「4バックやボランチは3年生。CBの井上(斗嵩)選手や田口(大慎)選手がボランチや前の選手を動かし、声で伝え、選手の距離感が良くなり、ハードワークできました。ボランチの木村(匡吾)選手、山田(蒼)選手は技術も高く、セカンドボールの回収などは一級品だと思います。苦しい時もFWの今井(拓人)選手が中心になって、サイドの裏に抜け出して時間を作ってくれたり。共通理解として今井選手のスピードとパワーを生かすために背後をシンプルに、というのはチームとしてありました。キックが自分は得意ですし、それを生かすためにも、今井選手を生かすためにも、常に狙っておかないといけないと先生にも言われていました」と、共通理解とチーム内での細かい声かけでの修正により、戦い抜くことができたと語っている。
大会優秀選手にも選ばれた平塚。「大会で活躍して名をあげたいと思っていた」と選手権で自身の力も示したいと以前から思っていたと話し、「何が何でもプロになりたい気持ちがあります。攻撃だけではやっていけないと思うので、もっとシュートも止められる選手になって、バランスの良い選手になりたいです」と、プロ入りへの強い意欲を示した。
そのプロ選手になるためにも、来年度は最上級学年の選手として岡山学芸館を引っ張る立場になる。「選手権で国立を経験させていただき、日本一にもさせていただいて。やっぱり試合に出ていないとわからないものがあります。自分が引っ張っていかないといけないですし、この日本一の景色をもう一度見るため、自分が中心となって伝えていかなければいけない」と、同期や後輩を引っ張り、新たな挑戦に向かう。
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長